免疫を高めるハーブ (2) エキナセア

 

 エキナセア(きく科の多年草のハーブで紫色の花をつける)には、風邪やインフルエンザなど、ウイルスや細菌に対する体の免疫力を高める効果があるとされています。エキナセアはその根に、免疫機能を高める成分を含み、抗ウイルス性,抗菌性,免疫強化性などがあるとする論文が出ています。エキナセアは欧米ではハーブティーとして飲まれているそうです。本当に免疫力を高めるのでしょうか? 文献的に確かめてみましょう。

 

効果・効能

・風邪やインフルエンザの症状を軽減する。

・気管支炎や咽頭炎にも効く。

・免疫機能を強化する。

・外傷、ニキビの治癒を助ける。

 

 PubMedで「Echinacea」と「immunity」をキーワードにして文献検索すると、3279報の論文がヒットします。論文数はあまり多くはありませんがが、ある程度の免疫制御の働きがあるのだろうと思われます。

 

 エキナセアの免疫系への効用に関しての知見については、Catanzaro Mらの「Immunomodulators inspired by nature: A review on Curcumin and Echinacea」(Molecules, 2018)と言う総説に包括的に紹介されていますが、Echinaceaと言うハーブの種類によって、その薬理作用に大きな差があるそうです。たとえば エキナセアの免疫調節作用はEchinace purpureaと言う種類に限られるのだそうです。また、エキナセアの花と根ではその効能に違いがあり、抽出法(水抽出、アルコール抽出、オイル抽出)によっても、または乾燥粉末を服用するのかでも薬効が変わるのだそうです。

 エキナセアの根からの水抽出画分(多糖体を多く含む)には、マクロファージの貪食能やサイトカイン産生能の増強作用、白血球の走化性やNK細胞の活性を高める作用や、樹状細胞やM1タイプのマクロファージへの分極化を亢進する作用も期待されます。一方、エキナセアの葉のエタノール抽出物はN-alkylamideを多く含むのですが、そのような作用は認められません。こうした研究は細胞内シグナル伝達系のメカニズムとの関連でも進められています。

 

 Mim HRらの「Immune enhancing effects of Echinacea purpurea root extract by reducing regulatory T cell number and functions」(Nat Prod Commun, 2014)と言う論文では、エキナセアの根の多糖体を含む各分が制御性T細胞の数と機能を高めると報告しています。殻らの論部の結果をまとめると以下のようになります。

(1) CD4+Treg細胞の脾臓中の細胞数が増加する。

(2) CD4+Treg細胞の免疫抑制活性が減弱する。

(3) 脾細胞中の抗原提示細胞の機能は亢進する。

(4) T細胞自体の増殖能には変化は見られない。

結論: エキナセアの免疫増強作用は、Treg細胞の誘導とその免疫調節活性の抑制を介するものである。

 

 また、Sullivan AMらの「Echinacea-induced macrophage activation」(Immunopharmacol Immunotoxicol, 2008)の論文では、エキナセアの多糖体画分でマクロファージを処理すると、(1) マクロファージのIL-6, TNF-a, IL-12, NO産生が増加する、(2) リステリア菌に対する感染抵抗性が増強する、(3) エキナセア多糖画分のマクロファージに対する作用は、Toll様受容体4(TLR4)からのシグナルによるNF-kBの活性化を介したものであることを明らかにしており、エキナセア多糖成分による免疫増強作用は、マクロファージ機能の増強を介するものと結論付けています。

 

結論

 PubMedと言うアメリカの公式の文献検索サイトでの報告数は、現時点で3279報もあり、信用できる論文数からすると、エキナセアには免疫調節作用があることは、かなり確実でしょう。Catanzaro (2018) 以降の論文は結構出ていますが、それほど新しい知見は報告されていません。

 最近の総説としては下記の文献がお勧めです。

 

Ahmadi F.

Phytochemistry, Mechanisms, and Preclinical Studies of Echinacea Extracts in Modulating Immune Responses to Bacterial and Viral Infections: A Comprehensive Review.

Ahmadi F.

Antibiotics (Basel). 2024;   9; 13: 947.