高速道路でのわき見運転 死神は見ている

 

 数年前のことです。大雪の二日後の高速道路を軽自動車で走行していた時の出来事でした。左右二車線の高速道路の路側帯にはガードレールを覆うようにして、除雪された雪が1メートル位の高さと幅で雪堆積として残っていました。僕の前後には他の車が居なかったので、僕は普段使いの眼鏡を遠近両用の眼鏡に替えようとして、助手席に置いてあった遠近両用の眼鏡に手を伸ばしました。

 

 かなり危険だなと考えて、スピードを75キロまでに落として、真っすぐ前を向きながら、助手席に置いてある眼鏡に手を伸ばしました。その時、ふと目を逸らしたのと、無理な姿勢で眼鏡を取ろうとした所為でしょうか、知らず知らずハンドルを少し左側に回したらしく、車が路側帯に1メートルほどの高さに斜めに溜まっていた雪堆積に乗り上げてしまったのです。

 

 ガガーっと音がして、僕の車は45度ぐらいに傾いたまま300メートルほど突き進んでゆくのでした。その時、瞬間的にハンドルは動かさずに、弱くブレーキを踏み続けて、徐々に速度を落として行こうと決心しました。この判断は正しかったと見えて、スピードが時速50キロを割るころから、車の姿勢がゆっくりと元に戻り始め、それから100メートルほど走った所で、車は正常な姿勢に戻り、何とか無事に舗装された道路に戻ることが出来ました。

 

 この間、僕は「運を天に任すしかない。」としみじみ感じていました。そして、死神が僕の横に寄り添っているような感触を持ったのでした。それから10分ほど走った所のパーキングに入り、駐車場に停車してから、車の前がどうなっているのかを見てみました。案の定、雪堆積に突っ込んだ時の硬い雪の圧力で、左側のタイヤの上のボンネットが3センチほどの深さで直径20センチぐらいの円形にへこんでおりましたが、幸いにヘッドライトは無疵でした。

 

 後日、近くの自動車販売代理店に行って、車のシャーシに異常は無いかどうか調べてもらいましたが、特に問題は無いので高速道路の走行は可能であるとのお墨付きをもらえました。へこんだボンネットの修理は叩き出しでは無理なので、新しいのと交換しないといけないが、20万円はかかると言われました。

 

 この軽自動車は、どうせ5年落ちの中古で買ったものを、月1~2回の頻度で、高速道路を往復400キロメーターほどを移動するのに、8年間も使っていたものなので、今更へこんだボンネットに替えるのは勿体ないと考えて、その後、修理せずに、格好の悪い車を1年間乗り回して新車に買い替えました。

 

 と言うことで、車を運転するときの脇見は非常に危険です。自分では用心しているつもりでも、ちょっとしたハンドル操作にブレが生じて大事故に繋がると言うことです。今回のお話は、まさにその見本のようなものでした。特に、高速道路は色々なリスクがあるので、十分に注意して交通法規を守って運転しましょう。