人事部29年の社労士 吉崎です。
「苦労して採用した人材が定着しない」という嘆き声をよく聞きます。私の採用セミナーでは、採用活動は入社して終わりではなく、定着、活躍して成功と言えるのですから、トータルで考えましょうと申し上げています。
人材マネジメントは採用に始まり(入口)、育成、配置、評価と報酬、退社(=代謝、出口)といったフェーズがあると言われています。その中でも入口管理である採用が非常に重要であり、それ以降の各フェーズと大きく関係があります。
つまり、採用が上手くいけば、定着もしやすいということになります。自社の経営理念に共感し、業務に耐えうる知識、スキルを持ち、社風に合う人材が採用できれば理想的。
ミスマッチをなくすために採用では最大限努力するのですが、全て満足できるはずはありません。その時(もしくは理想的な採用であっても)重要なことは・・・。給料を上げる、福利厚生を充実させる、ということではありません。大きなコストをかけなくても、できること・・・。
★従業員一人一人のキャリアビジョンを明確にすること。
担当している仕事をいつまで続けるのか。どんな力が身につくのか。会社は何を期待し、それに応えるには何を学べばいいのか。自分にできるのか。どの位の実績を残せば、収入は増えるのか。どうすれば希望するポジションに就けるのか。安定した生活ができるのか・・・。
従業員が不安に思っているなら、どんな細かいことでも、従業員本人と上長や人事担当者が話合い、方向性を決めていく。決して上長や会社が決めるのではなく、本人が会社との話し合いの中で決めるのです。
一昔前なら「自分で考えろ!」で済ませていたでしょう。しかし、その頃は、会社の指示通り働けば、「何とかなった」時代でした。今は、今後はそんな時代でないことを皆分かっています。だから不安になります。経営者も管理者もキャリアについて真剣に考えなくても、今のポジションを勝ち取った自信があるので、不安に思うことが理解できません。そこに大きな断層ができます。その溝を埋めるには根気がいりますが、継続すれば必ず埋まり定着につながります。
今日はキャリアについて書きましたが、他には、公正な評価と働きに応じた報酬(評価基準の共有)、仕事の裁量権、担当する仕事の社会性(意味のある仕事ができているか)、そしてすべてに共通するのは適正なコミュニケーション。
これらはコストを上げなくても、考え方を変えて、根気強く、手間を惜しまないで実行すればできることです。これらの重要性に気付いている担当者が、行動に移していただけることを期待しています。