介護認定基準 大幅見直し? | もっと知りたい労働法!

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 介護保険制度の要介護認定について、厚生労働省は28日、高齢者の心身状況に関する調査項目(74項目)のうち43項目の判断基準を修正する方針を決めた。

 基準の大幅見直しで、要介護度が前年より軽くなる傾向を改めるのが狙いだ。

 同日開かれた同省の検討会で報告し、了承された。10月にも実施する。

 要介護認定は介護の必要度を8段階で判定する。厚労省は今年4月、調査項目を減らした上で、調査員の判断基準も変更したが、介護関係者から「要介護度が軽くなる」との指摘が出ていた。同省が4、5月に認定申請した28万人を調べたところ、介護保険を使えない「非該当」の割合が2・4%と前年の0・9%より増えるなど、軽度に判定される割合が高まっていた。

 同省では、主に身体機能や生活機能に関する判断基準を修正し、軽度に判定される割合を減らす方針。例えば、「薬の内服」や「洗顔」の項目では、現在は実際に行われている介助方法を記載する。しかし、「介護者が必要な介助を行っていないケースもある。そうした場合には軽く判定されてしまう」との指摘を受け、本来必要な介助方法を記載するよう改める。

 新認定については、変更前の3月に判断基準を一部修正したほか、4月には利用者の希望に応じて従来の要介護度を維持できる経過措置を導入したため、現場で混乱が起きていた。同省は今回の修正に合わせて経過措置を廃止する方針だ。
(読売新聞7/29)

 何のための新基準だったのでしょうか?介護保険制度は2000年4月に始まりました。認定基準については3年ごとに見直されることになっています。最初の03年の見直しは「認知症重視型」、06年の見直しは「予防重視型」といわれています。膨らみ続ける費用の抑制が課題となり、できる限り「要介護」とならないように身体機能などを維持してもらおうという意味で予防重視型ということなんですね。

 しかし、介護認定の評価が地域によりばらつきがあるという不満の声から、認定作業を効率化できる新基準をつくろう、というのが09年の見直しのポイントでした。この新基準が全体的に判定を低く評価することとなっているのです。しかし、最初から本当の課題は費用の抑制なのですから、行政としては予定通りということになるのです。

 09年4月から新基準が施行されていますが、従来より低い評価となる利用者の不満を和らげるため、突然「希望者には従来の要介護度を維持できる」という経過措置がでてきて現場は大混乱。希望者には…という点で、もし知らなかったら損をするということもあるわけです。介護保険の目的は必要な人が必要なサービスを利用できることです。必要な介護を受けたいという利用者と限られた財源に、折り合いをつけることは難しいと思います。だからこの部分をもっと抜本的に議論されるべきです。

 まだ、新基準になって半年も経っていないのに、10月からもとの基準にもどすような基準を実施するという方針ということです。選挙前の政治家の思惑に振り回され、介護現場の混乱はまだまだ続きそうですね。

sakurai


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