「名ばかり管理職」は管理職ではない…マック訴訟が和解 | もっと知りたい労働法!

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 日本マクドナルドが直営店の店長を労働基準法上の管理監督者(管理職)と見なして残業代を支払わないのは違法として、埼玉県熊谷市で店長を務める高野広志さんが、同社に未払い残業代などの支払いを求めた訴訟の控訴審は18日、東京高裁(鈴木健太裁判長)で和解が成立した。

 同社が高野さんは管理職ではないと確認し、約4年半の残業代など約1000万円を支払うことになった。

 高野さんは、1999年に店長に昇格。残業時間が月100時間以上に及ぶこともあったが、店長は労基法上、残業代の支払い対象から除外されるとして、残業代は支払われていなかった。昨年1月の1審・東京地裁判決は「店長の権限は店舗内に限られ、経営者と一体的な立場にある管理監督者とは言えない」として、店長は管理職ではないと判断、約755万円の支払いを命じていた。

 高野さんによると、提訴後、会社の人事評価が下がったといい、和解条項の中で同社は、裁判を理由に降格や減給の処分を行わないと異例の確約をしたという。

 高野さんは和解後に記者会見を開き、「名ばかりの管理職として会社の言うまま働いてきたが、自分だけの問題ではないと思い、声を上げた。権利を認めてもらえ、意味のある裁判だった」と話した。

 日本マクドナルドは昨年8月以降、高野さんを含めた直営店の店長(約1700人)を管理職から外し、残業代を支払っている。和解成立を受け、同社は「和解は本人にとっても他の社員にとってもベストだという経営判断をした」とのコメントを出した。

(YOMIURI ONLINE)

 高野さんの言うように、名ばかり管理職と呼ばれる立場の残業代を請求する権利のある方々にとっては意味のある結果となりました。よかったですね!

 しかし、残業代を支払う経営側にとっては、早急な見直しが必要な状況になったということです!今回の判決のように、裁判で争って、権利が認められたら4年半分の残業代1000万円を支払わないといけないんです!今後は行政の調査で、『残業代がなくても十分な賃金が保証されている』など、管理職の判断基準に適合されないと判断され、遡って2年間の残業代の支払い命令が出されるケースが増えるでしょうね。管理職の賃金規程の見直しは早急に行いましょう!また、管理職の労働時間管理を把握していない企業も多いと思います。時間管理についても行政の調査対象となります。

 平成22年の4月からは残業代の割増率が上がります。現在は不況により残業は減少傾向にありますから、今後景気の回復により仕事が増えるとしても、残業をしないで効率を上げるための仕事の見直しという広い視野で、対策を立ててみるといいですね!

sakurai


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