大塚さんらによると、トステムには22日、サンワークには18日、それぞれ是正指導が出された。両社は元派遣従業員に対し、3カ月の期限付きで「派遣」と「請負」の契約を反復更新してきたが、是正指導で同局は、請負期間もトステムの指示で働いており、いわゆる偽装請負の状態だったと認めたという。
両社の雇用をめぐっては、大塚さんら解雇された派遣従業員6人が先月、賃金支払いなどを求める仮処分も水戸地裁土浦支部に申し立てている。是正指導について弁護団は会見で「公的機関が違法性を認定したので、プラスに働く」と期待をにじませた。大塚さんも「ほっとした。いいスタートを切れた」と語った。
一方、トステムは「指導を真摯(しんし)に受け止め、適切な対応をしたい。直接雇用については司法の場の判断に委ねられており、現時点ではコメントできない」としている。
(毎日新聞6/26朝刊)
大塚さんらは今年2月、JMIUトステム分会を結成し、解雇撤回と正社員化を求めています。労働局への申し立てに続き、5月末には雇用継続を求める仮処分を水戸地裁土浦支部に申請しました。
製造業の派遣契約の場合3年間の期間制限があり、その期間を超えて労働させる場合には派遣先(ここではトステム)が労働者を直接雇用しなければなりません。大塚さんらはトステムに直接雇用を求めるということですね。しかし、トステムがなぜ偽装請負にしたのかというと、もちろん安い労働力を求めていたからです。大塚さんらは司法で自分たちの権利を証明し、直接雇用されることになったとしても、今後すべての製造業派遣の労働者が偽装請負に合わず、3年間の期間制限が守られるという保証は全くありません。大塚さんらが直接雇用されえたとしても、期間工のような扱いにされないとも限らないのです。
『製造業派遣で期間制限を超えて働きいづれは正社員になれる』というのは地方から安い労働力を連れてくるための誘い文句でしかありません。派遣労働の不安定さは今回の不況でも明らかです。企業が簡単に首を切れる便利な労働力として使いたいのが派遣です。派遣労働を選択する労働者はそういったことを念頭に入れ、期間限定の働き口と思わなくていけんません。
今回派遣切りにあい辛い思いをされた方々…今後景気の回復とともに求人が増えたら、また製造業の派遣労働を選びますか?