入社前日、内定取り消し | もっと知りたい労働法!

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 静岡市清水区三保の造船会社「カナサシ重工」(片上久志社長)が、4月入社予定だった新卒者19人の採用内定を、入社式前日の3月31日に取り消していたことがわかった。同社は、金融機関から3月末までに必要だった融資を受けられなかったとして、1日から操業を停止している。「入社しても給料を支払える見込みがない」と説明している。静岡労働局は職業安定法の規定に違反しないかどうか調査している。

 内定を取り消されたのは、大卒7人、高卒12人。同社は3月31日、主力銀行から融資約10億円を受けられなかったとして操業停止を決定。4月1日に入社式を迎えるはずだった新卒者19人に対し、31日午後から電話で内定取り消しを伝えるとともに、1日までに同社の担当者が直接会って説明したとしている。

 同社によると、19人は大半が地元静岡市の高校、大学出身者。内定取り消しを伝えられると、「納得できない」「残念だ」などと非常に落胆した様子だったという。

 同社は「採用したとしても、法的整理手続きをすることになったら解雇しなければならなくなる。内定を取り消した方がよいと判断した」と説明。「融資が実現し、操業再開できれば、優先して採用したい」としている。

(朝日新聞)

 今春の就職予定者のうち内定を取り消された学生は1845人で、取り消した企業は404社だそうです。職業安定法は採用内定の取消しを年度内に10人以上行ったうえ、次の就職先確保の支援が不十分だった場合、事業所名を公表するといっています。ということは、この「カナサシ重工」も公表の対象になるでしょうか?

 入社式前日に内定取り消しなんて、ひどすぎます!!突然の解雇と同じくらいの衝撃です。突然の解雇の場合には1カ月分の解雇予告手当(平均賃金30日分)を支払わなければなりませんが、そういったものに準じた補償を学生たちへする必要があります。次の就職活動は新卒でなくなってしまうわけだし、こんな時期の内定取り消しなんて、学生たちにとってはかなり不利益なことですよね。

 同社は前年の3月期に23億円の赤字を見込んでいるということです。1日から正社員や下請け会社の従業員500人は一時帰休となっています。厳しい現状はわかります。しかし、入社式前日の3/31に内定取り消しというのはあんまりにもひどすぎる。取り消すにしてももっと早い時期に言えるのではないでしょうか?「融資が実現し、操業再開できれば優先して採用したい」ということですが、そんなことをする会社から、もし内定をもらっても…わたしならお断りしたいですね。
 
sakurai


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