さらに、今持っている物を失うのではないかと、余計な心配もしてしまいます。これでは、なかなか今持っている物を楽しむことができません。
物を持っていないと、確かに少し寂しさや哀れさを覚えますが、考え方によっては、持っていない分だけ物に縛られることもないのです。
今持っている物を、楽しむ心の余裕を持つこともできるでしょうし、これから自分が手に入れる物に対して、ワクワクしながら期待することもできるでしょう。

そう考えてみると、豊かであるかどうかというのは、現実に物をどれだけ持っているかということではなく、今持っているものに、どれだけ満足でして楽しむことができるかに関わってくるのです。
同じようなことが、私たちの経験や過去に対する思いにも言えるのではないでしょうか。
ときに、過去にしがみついて生きている人たちがいます。現在や未来は、不確定で不安が一杯です。失敗したり、自分の思うようにいかないこともあるでしょう。過去に生きていると、たとえそれがあまり満足いくものでなかったとしても、自分をとても安全なところへ置いておけるのですね。
また、自分の現在の状態や行動を正当化することもできます。「自分が今こうなのは、過去に、こんなことがあったからだ」と口にしていれば、他人や自分に、いろいろ言い訳ができるのです。
あるいは、過去だけが自分の自慢で、そこに生きていれば、うまくいっていない現在から眼を逸らすことができるということもあるでしょう。

過去を抱えていれば、確かに安全なのかも知れませんが、自分を狭い殻のなかに閉じこめることにもなってしまうかも知れません。
それに比べて、たとえば小さな子供はどうでしょうか。子供は、過去を少ししか持っていませんが、それに縛られることなどありません。自由で、喜びに満ちあふれ、その瞬間瞬間を新たな感動で生きています。
過去から学んだこと、体験したことは、私たちの貴重な財産です。でも、それを本当に活かすのは、私たちがどれだけ今を楽しんでいるかどうかが、大切なんですね。
過去をすべて捨て去る必要はありませんが、もし、自分が過去を握りしめていることに気づいたら、深呼吸をして、その手から放してみましょう。そして今という瞬間に、大きく手を広げてみましょう。そこは、とても広大な世界で、たくさんのプレゼントに満ちあふれているのです。
そして、きっと気づくでしょう。今を生きることが、どれほど豊かで素晴らしいことなのかを・・・









