~資地計築~ 建築デザイン 木下 稔 -141ページ目

サクラサク

暖かくなった今日

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裏の銅座公園では

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桜が咲き始めました。

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季節も時代も

また、移ろい変わるんですね。

僕が目の当たりにするもの

生きる力強さ

もう一つの3.11 〜今日は家族の話〜

今から約15年前、1匹の子犬が段ボール箱に入り僕の家に来ました。

年とともに歩かなくなってきた父に、何かきっかけが無いかと

動物愛護センターでガス室送り寸前の子犬を貰って来ました。

子犬は生後3ヶ月程度。

それまで小さな箱に閉じ込められていたのか、全く歩けず

そして人間にいじめられたのか、なかなかなつかない子犬でした。

じっとうつむいて、じっと動かない寂しげな汚れたドロドロの子犬をゴシゴシ洗うと

真っ白な子犬になりました。

そんな子犬も少しづつですが僕になつき

人を噛まないように、吠えないように

最低限、人間との生活のできるマナーを厳しく教えました。

時には何時間も「待て」「伏せ」を繰り返し

口の中に手を入れたまま何分も口を開けさせたり

成犬になる前には両親の元で暮らし始めることになりました。

14年を迎える頃には、すっかり年老い

僕の家に戻って来ました。

毛は抜けはげ落ち

座ったまま血尿を漏らし、

犬にとってたった1年は衰えるに充分な時間でした。

この3月に入る頃にはやせ細り

エサはおろか水すら飲むことを拒絶し

ヨロヨロと散歩した最後の夜、家にたどり着く直前

バッタリ倒れました。

起き上がろうと首だけをエーテル人形のように何度も持ち上げては

顔を地面に叩き付ける姿に

僕は思わず糞尿で汚れたこの犬を抱え連れ帰り

自分で座ることもできない犬を寝かせてあげることしかできませんでした。

翌日

「もう、長くないのかな」

そう言いながらすでに黄ばみ剥げてしまった犬を長いこと見つめ

この15年

一度も聞いた事の無い、深く、そして長い呼吸の音を聞きながら仕事に出かけました。

(下の床が固いから、あのスポンジを敷いてあげたらいいかな…)

そう思いながら、この日の3時頃

めまいかと紛うほどの揺れと共に、東北地方にとてつもない地震がおこりました。

大阪でも電話が繋がりにくい中、犬の様子がおかしいとの留守電で

夕方5時頃一旦家に戻ると

これまで見せたことの無かった安らかな顔で眠るように息を引き取っていました。

この直前の数日間

死を前に苦しかったのかキュンキュン深夜に鳴く犬を

近所迷惑の理由から厳しく叱っていました。

この期に及んででも、犬と人間との間で厳しくしなければならないとは言え

何度も心の中で「ごめんな、ごめんな」と言いながら泣きたい気持ちで一杯でした。

これまで

厳しくしか接して来なかった

これまで

幸せに生きて来れたのか

あのままガス室に行くのと変わらない生涯だったのではないのか

安らかな顔にその答えはありませんでした。

引き取りの大阪市保健所から「段ボールに入れておいてください」に

犬を抱えたその体温はまだ温かく

東北地震のその時に息絶えたのかと思うほど、まだ温かかった。

「段ボールに入って来たお前が、段ボールに入って帰るなんて、皮肉だよな」

そうつぶやいて「バイバイ 天国で安らかに」そう段ボールに書いて送り出しました。

沢山の方が大変な被害を受けた東北地震

その片隅で僕の家族が息を引き取りました。

どこかで、この日のことを忘れないために、ここに書き記します。

僕に出来る事

だったんだろうか、あの犬の生涯

人は失ってから初めて知る事。




元から間違ってた? 〜住宅は難しい〜

茨木市総持寺で行った住宅内覧会。
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完成あと少しで最終仕上げ中ですが

この設計についてお話を少し。

内部から構造躯体が丸見えのデザインにスタッフ達は

「?」


みんな変な顔をしていました。

~資地計築~ 建築デザイン 木下 稔

「何かおかしい所あった?」と聞くと

「いや、おかしい…トコないんですが…」

「何か?」

「何て言うか、あの、ザンシンというか…」

工事中、とても人が住む家には見えなかったようです。

こんな工事中みたいな家でお客様が怒り出さないか心配していたようで

工事中何度も「ホントに大丈夫ですか?何かあったらどうするんですか?」

と聞かれました。


~資地計築~ 建築デザイン 木下 稔

しかし、出来上がって来て、家具やディスプレイを入れ
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簡単でも何かしらのインテリアで
~資地計築~ 建築デザイン 木下 稔
豹変していく内部に、内覧会当日は全員が

「!」

納得の仕上がりとなりました。


~資地計築~ 建築デザイン 木下 稔

今回気がついたこと

それは当社のスタッフの反応は、お客様を含め「日本人」独特の反応ではないかということです。

「壁はこうでないといけない」とか「天井がないのは」とか

「床材はフローリングでないと」「キッチンはメーカー品でないと」など

見た事あるものしかイメージできなかったり、信じれないという独特の反応です。

しかし、僕自身もこれまで

「こんなプランでこんな区画で、こんな内装材をこんな配置で…」とこねくり回して20数年きました。

今回、人を隔てる「配置」も無く

傷つくことを恐れる「クロスや石膏ボード」の壁も無く

有るもの有るがままで

「住む人が決定する」自由があること

僕も住宅設計を自分自身で「難しく」してきた愚か者でした。

これ程までに先が見えず「難しく」考えて来た住宅設計が

単純で何も無いことの前に脆くも崩れ去りました。

これ程までに簡単なことが「難しい」。

「一体、今まで何をやってきたのかなぁ~」


20数年、ずいぶん遠回りしてきたようです。


僕が共感したこと

お釈迦様の手にたどり着いた孫悟空の気持ち

ゼロから出直しです。