LIFE AQUATIC

LIFE AQUATIC

人生は海だ!!

Amebaでブログを始めよう!

大阪芸大には天の川通りと言う名のメインストリートがある。


なぜ天の川かは知らないが、昼間は人通りの絶えないこの通りも今は朝の5時半、人通りは全くない。


「ここにしよか」石本は通りを見下ろすレンガの広場に立ち言った。


彼の頭にはココにくるまでに、おおよその構想は出来ていたらしく、てきぱきと指示を開始した。


「オレがこの通りを、東から西へと駆け抜けるから、それをまず撮って欲しい。その後、城田にカメラを向け最後のオチをつける、まあ、これを何にするかは任せるわ」と石本は城田と僕を交互に見ながら言った。


「とりあえず、石本が駆け抜けるんやったら、オレはここから撮るわ」と僕はレンガと通りを挟んで向かいにある場所から取ることを伝えた。


「うん、せやな。そこでエエ思うわ」と石本。


「ほんで、オレがどうするかやなあ」と城田がレンガ広場に立つ街灯の下のゴミ箱に入りながら、呟いた。


ズボ。城田はすっぽりとゴミ箱の中に収まった。


「これで、イコか」と城田。


「ちょっと、待って!カメラ覗いたら、城田とゴミ箱のアミアミがカブってもうて、なんやよう分からんで」と僕は慌てて言った。


「まじで!?」と城田が『ゴッ』と言わせてゴミ箱を倒して横になった状態から出てきた。


「うん、ほら」と僕は試しに回したフィルムを見せた。


「ホンマやなあ、ゴミ箱から出てくるのはまるで、貞子やなあ」と城田は真剣な表情で街灯を見ていた。


「昇ろうか」と城田は呟いた。


「どこに?街灯に?」と僕。


「うん、ちょっと行ってくるわ」と城田はもう歩き出していた。


高さ2M少しの街灯に、ひょいと城田はつかまった。


「よし、これで、いこ」と城田は言った。


「おう、ほならオレ向こうから走ってくるから、サイ撮ってみて」と石本。


「分かった」とカメラをチェックしながら言った。


「いくで!」と石本が叫んだ。


バッ!と僕が手を上げた間無しで石本が叫びながら走ってきた。


「のけ!のけ!のけ!のけ!のけー!!!!」


誰もいない天の川通りに石本の声が轟く。


石本が走り抜けた、その後に城田にカメラを向ける。城田は街灯にコアラのようにしがみつき言った。


「なんだこりゃ」カット!



3人の確認が始まった。


”のけのけのけ・・・・、なんだこりゃ”


「なんか、足らんなあ」と石本。


「なんやろ?」と城田。


「やっぱり脱ぐか」と石本。


「せやな」と城田。


二人とも定位置に赴き、スルスルと脱ぐ、初春の朝に全裸は少々辛い。


「いくでー」と石本、股間に手をあてているもののフルネイキッドである。


城田もマッパでぶら下がる。


石本が走り出した!雄たけびを上げる。


「のけのけのけのけ!!!!」


スピードがあがる。


ビデオはその様を克明に追う。


フレームの右端から、カメラに近づき左へ駆け抜けていく。


突如、石本は全裸のまま大きく股を開いて倒れこんだ。


カパっと開いた股間と尻が悲しい。


その瞬間カメラは正面の街灯へ。


「エライこっちゃ」


城田コアラははっきりと、少し高めの声で言った。


本当にえらいこっちゃである。


撮影は終了した。



・・・・・今、あのビデオはどこにあるのだろうか?

まずは、ネタを考えようということになった。


ひとまずは、石本が全てのプランニングをし城田に指示。


僕はカメラワークをある程度決め作業に取り掛かった。


ひとまずは、レポーター城田が、疑惑の石本亭に乗り込む様子を1本撮った。


(この辺りの細かい内容は、現時点で資料が手元になく、上手く思い出されないので、ご了承戴きたい)


次は、城田レポーターが風呂場に潜入するも女装ルンペンに扮する石本と遭遇、風呂場の小さな窓よりひと悶着後、脱走する様を撮った。


さて、部屋に戻って試写会。


カツゼツの良い城田のナレーションボイスに潜入ドキュメント風のカメラワーク、ナゼか逃げる石本、ギラリと振り向き様の眼光。いい仕上がりに30分ほど大爆笑した。


「なあ、メサメサおもろいなあ」と僕。


「石本のケツ、限界まで出とったなあ」と城田。


「これは、なかなかの出来や」と石本。


「なあなあ、芸大で撮ろか?」と僕は二人に聞いた。


時刻はAM5:00。


薄暗い初春の夜明けに、芸大にて何に挑むのか。


「芸大かあ・・・」石本は重く重く呟いた。


「うーん・・」城田も重く重く沈黙した。


僕は緊張しながら待った、二人のこの力を僕はカメラに収めることが出来るのだろうか。


”ゴクリ”喉が鳴る。


「どこで、撮るかやなあ・・・」石本がまたも重く呟いた。やる気になったようだ。


「いこや、いこや」僕は彼らを急き立てた。


・・・続く

NEOという集団について、川湯物語で書いた。


NEOのメンバーは8人いて、彼らがワチャワチャする姿は今から思うと貴重だったなあと思える。


基本的には山本と石本の2人がBOSSで後の連中を牽引しているような、担がれているようなそんな感じのグループだった。


LIVEを重ねるたびに、芸大の中での実力のある面々達に浸透し確かな地位を築きつつあった。


僕は、そんな彼らのLIVEを手伝うことが、何ともいえない誇りのような気持ちに、いつもなった。



ある夜中に僕は、上マン(上野学生マンション)の山本の部屋にいた。


山本は用事があり途中からいなくなってしまった。


部屋の中には、上マン住人の城田、石本がいた。


「なあ、君らって基本的にボケなん?」と僕は二人に聞いた。


「うーーーん、、せやなあ、コンビでいうとボケやな!」と城田が快活に応えた。


「ほな、君らがネタ考えてんの?」とさらに僕は突っ込んだ。


「いやああ・・・基本は二人やけど、うおおおおおおとかの辺りは大概オレやな」と石本。


「うちらは、せやなあタケマがあらかた考えて、オレが乗っかる感じやなあ」と城田も応えた。


「へえーそうなんや」と他愛のない話をダラダラとしていた。


そう、ヒマなのだった。もう、ビックリするくらい暇。ボケーっとTV見たり、なんやボツボツ喋ったり。


「せや、NEOのビデオみよか」と石本が山本亭にあったハンディカメラを見ながらいった。


「ええなあ、みよや」と僕。


NEOの上映会が始まった。


「うーん、ほー、なるほど、mmm」と石本が唸なる。


「ホンマ、佐藤はメチャメチャあほやなあ」と城田が奇声を上げる。


うははははと、爆笑する僕。こんな風にいつもの真夜中が過ぎていこうとしていた。


「やっぱり君らおもろいわ」と僕。


「なあ、テープ余ってんちゃう?」とさらに僕。


「なあ、なあ、ちょ、ネタやってや!オレ撮るからさ!君らがネタ仕込んでさ、どう?」


「うーん?」と石本と城田はお互い見つめあいながら、こいつとか・・・そんな顔をしてニヤリと笑った。



・・・・そのときの僕は、ちょっと、面白いことしてよ、そんな気持ちで言っただけだった。


そうなのだ、彼らはNEOきってのボケ男優。


この二人が後に見せる輝きを僕は忘れない。


伝説のワンナイトショー『裏NEO』の幕があけようとしていた。




僕の大学時代のアルバイト先には前借制度が充実していた。


前借するには、徳田さんという経理の人にお願いしに行かなければならなかった。


「もう、貴方たちは、なんでそんなにお金をスグ使っちゃうの?」と苦笑いしながら現金を渡してくれた。


「すんません」


さすがに薄汚い作業服は着替えて、割と綺麗な2階のオフィスへあがっていく。


「すんません」


その2階へ適当な間をおいて、一人一人登っていった。



「オレなあ、やっぱり借りるしかないんやわ」と彦太郎は、仕方がないんやわと声を張り上げた。


「まじで?」とヨッシーと僕は言った。


「いけんの?それ」と僕。


「まあ、でもよう考えや」とヨッシー。


「分からん!でも行ってみるしかないんやろう」と彦太郎はぐんにゃりと喋った。



彦太郎は前借をしようと企んでいた。


彼は欲しいものは必ず手に入れる男だった。


その昔、仕送り1週間前にバイクのマフラーを購入し、残金500円になった。


その500円で、マルボロと食パンを買い、1週間乗り切った経歴を持っている。


「あん時わなあ、ベッドにずっと寝転がって、マフラーを眺めて頑張ったんや~」


さらに述懐する。「パンはなあ~焼かん方が、ハラ持ちエエんや~」


・・・走りにいかんなら、買わんでエエがな、と思う。


次の標的はヨッシーのロードスター、真っ赤なツーシートのオープンカーだ。


「オレわあ、必ずこの車を日本一にしてみせる!」と彦太郎は気張った。


「徳田のババアには負けんぞおお」とさらに気張った。


結局彼は、半年の前借に成功した。


月に10万づつ返金して60万借りた。


泉北環境シ●テム、いい会社である。





「川湯温泉の旅」はLIELIELIEに全てまとめさせていただきました。


1話から最後まで読むぞ!という方には是非酔狂な時間をお過ごし下さい。


ようやく、最後のコメントも入りましたので、川湯さんは終了です。


また、近々書いていきます。


えっ!?見たいな、モノが始まっても暖かくコメントしてやってください。


味を占めたので、また物語り調です。


もしかしたら、フィクションかもしれません。


そんな時は、あーオレってこんな風に思われてんねや、


あー私ってそうやったんやーとか、思うかもしれませんが、


これはあくまでもフィクションなので、お許し下さい。


やっぱり実名はヤメテヤメテとおっしゃる方には、特別にイニシャル出演していただきますので、


遠慮せずお申し付け下さい。



僕たちは、この旅館の前を走るバスに向かって、フルチンで手を振っていたのだった。。。。

皆様には大変お手数ですが、少し謎解きをしていただきます。


長々と川湯温泉旅紀を掲載してきましたが、それも次で最終です。


その物語は下記のなぞなぞの解答の先にあります。


ここは、作者の酔狂ということに免じてお付き合い下さい。


なお、どうしても分からない方は、メールで一報下さい。



http://ameblo.jp//  このアドレスの最後の//の間に英文字を入れてください。そのアドレスに


最後の話があります。



それは、芸大出身の酔いどれ詩人が書いたものである。


それは、矛盾をはらむタイトルが原作である映画のタイトルである。


それは、3文字で形成される単語が3つ並ぶ9文字の英語である


それは、たとえばの話、でもある。


それは、STPの中にもある。


簡単ですね。(特に佐藤君は楽勝ですねwww)


めんどくさいかも知れませんが、是非たどり着いてください。

「腹減ったなあ、なんか無いん?」僕はスグに腹が減るのだ。


「もーおかんも寝とるからなあ」と冷蔵庫に向かいながらタケマが言った。


「おい!おい!なんでやねん、なんでこんなサイダーなくなってんの?」と慌てるタケマ。


「慌てるなタケマ!直樹やほれ、ここ見てみい」石本が皆の後ろに転がる大量のサイダーを指差した。


「めっさあったのに、何してんのホンマ」タケマがバタバタしていた。


彼は、ナゼか怒ると関東訛りになるので、なんとなく常に冗談ぽく聞こえる。


「ちょー、鮫みえへんて」ヨッシーがタケマにのいてと言った。


全員好き放題である。


タケマも時折ゲラゲラ笑っているので、多分大丈夫だろう。



ラーメンを食いに行くことになった。


僕は米の自販機を見つけて、ちょっと興奮していた。


「なあなあ、あれ何なん?米買えんの?」とタケマに聞いた。


「そうやで、え?なんで、知ってるやろ?」とタケマはこういう時どんよりした目をぱっと開くので鳥みたいだ。


「知らん、はじめてみた。だれがこんな真夜中に米を買うのかねえ」と僕は呟いた。



ラーメンを食べて帰ると我々は完全に睡眠体制に入った。ヨッシーと僕は同じベッドへ。


石本はもう一つのベッドにゴロリと横たわっていた。


佐藤と直樹はコタツで、タケマは自分の寝室へと戻っていった。



翌日は11時ごろ目を醒ました。


「おい、起きろって、メシ出来てんねんから、起きろって」タケマが皆を起こしにかかっていた。


石本はスパッと起きる。この人は寝起きが抜群にいい。


ヨッシーは起きるのは起きるが、ウグウグとかムワーッとかゴニュゴニュ何か言っている。


佐藤は機嫌は同じだがなかなか目覚めない。


直樹は、布団やら、コタツやら、床やらに張り付いてはがれない、起きているいないの問題ではないのだ。


んもー!とか、わーった、わーった、オキテルオキテル・・・・zzz と一向に覚醒しない。


ひとまず、直樹を置いていこうと言うことになった、またもや2階では豪華な朝食が並んでいた。


タケマ母はいなかった。”いただきまーす”といつもの声でいい、食べ始めた。



「あんな、オレな、16時に家に着かなアカンねん」と僕は全員に向けて報告した。


「ほなら、もうそろそろ出なアカンなあ」とヨッシー。


「帰り運転するわ」直樹が言った。


”ごちそうさま、あーおいしかったー”と口々に言いながら1階へ戻り帰りコタツに入った。


シュボ、カチッとそれぞれタバコに火を点ける。


動き出す前の、この気だるい時間がなんとも、いま思えばよいひと時だった。


「あーネムイ!」ヨッシーが大アクビをしながらほえた。


「ウヌヌヌ・・・」と言いながら佐藤はゴロリと横になった。


「はよ行かななあ」と僕もぼんやりと言いながら、まどろんでいた。



・・・・旅はもう終了に向かっている。旅の帰りは切ないものだ。


誰もその一歩を踏み出せない。


そろそろ、最後の回想をする時間がきたようである。




「うん、うん、分かった。多分夕方の4時には着くと思うわ」石本がタケマとの電話を終えた。


タケマの家は、割と裕福で家も大きい。


ひとまず、風呂くらいは貸してくれるだろう。


なんなら、飯くらいは出てくるだろう。


それなら、寝床くらいは用意してくれるだろう。


そうなのだ、この旅の始まりはタダで風呂に入ろうなので、皆持ち合わせが極端になかった。


おそらく、全員の金を集めても5000円程度しかなかった。


これでは、飯が食えん!これでは、コケが落とせん!このままでは、ウヌヌ、、とにかく、帰れん!!


タケマ亭での扱いが悪ければ、もう、我々の心はどうなってもしらねーぞ!と息巻きながら向かった。



川湯温泉を去るときに2つの拾い物をした。


一つは石。おそらく今でも僕の実家にあるはずだ。


ただ、石はその土地に潜む精霊を連れてきてしまう可能性があるので、


あまり拾ってはいけないものだと、あとで知人から聞いた。



「あ、ブラジャー落ちてんで」と佐藤が言った。


「これをタケマへの土産にしよう!」佐藤がそれを拾いながら言った。


「そして、これは車のワイパーに引っ掛けて、ググッっと乗り込もう」と嬉しそうに直樹が言った。



スターレットはタケマ亭の前の駐車場に止まった。ブラは立てたワイパーに張り付いたままだ。


「おい、おい、なんだよー、なんで、ブラジャーひっついてんだよー」タケマはオタオタとしながら言った。


「もぅええ、もぅええ、風呂はいらせえ、風呂」と石本がタケマを追い越しながら玄関へと乗り込んでいった。


「なんなんだよー、なんで、うわ!汚ねえ、足とか真っ黒じゃねえかあ」相変わらずタケマはバタバタ言った。


「ちょ、もうエエって、タオル玄関とこ、だして」佐藤が当然の如く言った。


我々は、玄関口で少年のような声を出して、挨拶をした。


「どーも、お久しぶりでーす」と一同、タケマ母にニッコリと媚びた。


「あらー皆そろって、石本君は久しぶりやね、ゆっくりしてってねえ」とタケマ母は笑顔で迎えてくれた。


「お邪魔しまーーーす」まだ、少年声は崩さずドタドタと中へ。


「あの、風呂で足だけ洗わせてもらっていいですか?」直樹が申し訳なさそうに聞いた。


「えー、そんな、皆お風呂入ったら?タケマーバスタオル出したって~~」とタケマ母。


直樹の思惑通り、我々は風呂をいただけることになった。彼は人心掌握にかけては天才である。



その頃外では、ちょいとしたアクシデントが発生していた。


「誰や~!車にブラジャーかけとる馬鹿者は!!タケマ~、ちょっとこっちこんかーーーい!!」


タケマはタケマ父にこってりと絞られていた。


ブツブツ言いながら、タケマが入ってきた。


我々は、タケマの兄弟が使用していた1階の部屋を占拠していた。


掘りごたつがあり、ベッドもあり、TVも、隣には冷蔵庫もある本当に旅館のような場所であった。


「お前らさあ、ホントにいいかげんにしろよ!」とちょっとタケマは本気で怒っていた。


「なに、ゆーてんねん!あんた、ブラジャーとか大好きやろ!?」石本も怒っていた。


「アホか」こいつと喋っても無駄やと言わんばかりに切って捨てた。


「我々は、腹がねえ、どうもねえ、減っているのだよ」僕はあつかましいのである。


「なんか、おかんが買い出しにいっとったわ、もうちょいかかると思うけど、食うの2階でエエやろ?」


タケマはいい人なのである。ウン、ウン、と頷いて、我々はゴロリと掘りごたつに入った。


「あー今日TVで新宿鮫やるやん」とヨッシーが新聞を読みながら言った。


「うそ、それ見よや、見たかってん」と僕。


「あ、そうやラムネあんで」とタケマが言った。「いる?」


「いる」直樹が即答した。


一気に2本飲んで、3本目に取り掛かろうとしている直樹を我々は止めた。


「飯前に飲みすぎや、ちょっと控えとき!」


「メシかい?メシかい??」と石本が横でいい声を張り上げていた。


「メシかい、メシまだかい」何度も何度もいい声を張り上げていた。



出来たで、とタケマが呼びにきた。


「ヨシ、いこ」と石本が気合を入れた。


料理はタケマ母の手料理と刺身の盛り合わせなどが一人ずつお膳に乗って並んでいた。


「おおー、お母さん、いただいていいんですか?」みんなが口々にお母さんを絶賛し遠慮し席に着いた。


実際、本当にお腹はペコペコだった。あの、不思議のオバアの店以来何も食べてなかったのだ。


「ごはんは、こっちいっぱいあるから、適当にとって食べてええからね」とタケマ母、いい人である。


「いっただきまーす」あくまでも、少年声は崩さない。


食って、食って、食いまくる。


はあ、はあ、はあ、と食いまくる。


お腹いっぱいになった。神様とタケマ母に感謝である。


1階に戻ってまたダラダラ。さすがに眠たくなってきた。


ただの6時間の旅が気づけば2泊3日の旅路になろうとしている。その間眠ったとしても2時間。


当然の如く、ウトウトする。コタツがあったかい。


みかん食べる、サイダー飲む、ウトウトする。幸せだった。


「おいおい、何グッタリしてんだよーう、風呂入ってメシ食って寝るだけかよ!なんなんだよ!!」


タケマがついに怒ってしまった。まあ、そりゃそうだ、ちょっと無茶しすぎたようだ。


みんなしぶしぶ起きた。でもすることはない。


替わりばんこにタケマの相手しながら、うだうだと過ごした。


ヨッシーは新宿鮫を見ていた。僕も一緒に見ていた。


タバコの煙で部屋の中は真っ白だ。


でも、あの狭い車の中に比べたら本当に天国だ。


「ウサギがなあ、立ち上がってコッチにこい、コッチにこい、ゆーとんねや・・・・」


石本があったようななかったような話をタケマにしていた。


そんな時間が幸せだったのだなあと、今は思う。


そうして、2日目の夜がタケマ亭にて更けていったのだった。




「寒ーーーい、早く入ろうよ~~」女子の声がした。


裸族は必死で掘り続けている。


女子の声に敏感な僕は、ぱっと振り向いた。


そこには、水着の男女4人組がいた。


カップルである。おそらく旅行である。



「なあ、誰か来たで」と僕は皆に言った。


「なんで、水着やねん!」石本は先ほどの指示のテンションのまま、怒った。


「風呂場で水着とは、撮影かっちゅーねん!」直樹も怒っていた。


「こんなとこ混浴やろ、普通。てことは裸やろ、普通」僕も怒っていた。



「冷た~~い、ねえ、冷たいよ、ココ」女子が叫んだ。


”我々のところは暖かいよ~そんな野暮な男は捨て置いて、こちらに来たら優しくしてやるよ~”


我々は、卑屈にフフフと笑った。


まさに我々は、真冬に裸体を放り出し温泉場を拡大していくしか己の主張を遂げられない、


悲しみの労働者であった。



「くそー、くそー」


「ノやろー、ノやろー」


すねた男達の遠吠えは続いた。


気がつくと、領土は拡大し5人でもゆったりと入れるようになっていた。


「いいね、なかなか」と僕。


「なあ、前のバスがコッチみてるで」と石本は手を振りながら言った。


我々もなんとなくオーイと手を振った。


俺達が、観光名所の本来あるべき姿を取り戻したのだ、どうだどうだ!と言わんばかりであった。


「あの木にぶらさがれんのかな?」と佐藤がちょうど真上にある木を見上げながら言った。


「やってや」と僕。


ひょいっとぶらさがった、佐藤。腰にまいたタオルが、微妙に揺れる。


・・・・ついに見てしまった。佐藤のそれではない。


そうなのだ、何か皆の視線が冷たかった。


男女のカップルも、バスから見る観光客の表情もナゼか冴えなかった。


我々の素行が悪いから?あんなに微笑をなげかけたのに、ナゼ?


答えがそこにはあった。


【入浴時、水着着用すること】


「なあ、なあ」と僕は、佐藤の木登りで大騒ぎの石本の肩を叩き言った。


「うん?」と石本。


「あれ、見て」と看板を指差して僕は言った。


「お!」石本が固まった。


「おい、みんな、浸かれ!」石本本日2回目の号令である。


とりあえず、みんなそれに従った。


「あんな、ここな、フリチン禁止や」石本の説明は看板の要約である。


「うそやん、マジで」と直樹。


「ほら、あっこに書いてんねん」と僕。


本気で恥ずかしいと思った。


観光地の真ん中でフリチンである。タオルは水着ではナイ。


「うそ!裸あかんの?」ワンテンポ遅れて佐藤が言った。ようやく、状況が把握できたようだ。


「うん」石本が厳粛にうなずいた。


「しゃあーないなー、とりあえず出よかー」とヨッシーがタオルを結びなおしながら言った。


「せやな」コソコソと尻をさらしながら、脱衣所へ向かった。


もちろん、5人のケツを見送りながら、カップルに我が城を落とされた事はいうまでもない。



「めさめさ、コケだらけやなあ」と直樹が体を拭きながら言った。


確かに我々は風呂に入ってさらに汚くなってしまった。


モリモリ川を掘りまくったので、水がコケだらけになってしまったのだ。


「タケマんとこいこか?」と石本が言い出した。


「近いん?」とヨッシー。


「まあ、和歌山やから遠くはないやろ」と石本が佐藤を見ながら言った。


「おるんかなあ?」と佐藤が石本に返すように言った。


「おったら、行ってみよや、飯くらい食わしてくれるやろ」と石本が皆をみながら言った。


「ほな、おったらいこか」直樹がしめた。


・・・・ゆっくりしたい。。。去来する思いは皆同じであった。


タケマ城に望みをかけて、我々は進みだした。

道はようやくそれらしく、観光地めいた賑やかさになってきた。


”川湯温泉”の字があちらこちらで躍る。


大きな旅館もある。・・・・何かが違う気がする。



「なあ、ここってホンマにタダなん?」僕は心配性なのである。


「入れるハズなんやけどなあ」とヨッシー。


「ひとまず車停めようか」と石本。


「あの、河原のとこの駐車場いけるんちゃう?」と直樹。


”1回500円”とその駐車場の看板に書いてあった。


「ええやろ、ここで」と石本は駐車場に突っ込みながら言った。基本的に問答無用である。



「もうちょい先らしいわ」直樹が駐車場の人から情報を仕入れていた。


到着した場所は、30Mほど河原があり、その向こうに道と大きなホテル、向かいに川湯温泉。


「うわー湯気出てんで!」と僕は興奮しながら言った。


「あれが、脱衣所か」と石本が早足で歩きながら言った。

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旅館        H  O  T  E  L           旅館

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                  道  路

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河  |脱衣所|

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川          ______

           | 温泉部   |

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タオル一枚さげて、5人の男は河原に並んだ。


我々以外は客がいない。貸切だ。


「来た甲斐あったなあー、はよ入ろうや」と僕。


「熱そうやなあ、ちょっと触ってみたほうがええんちゃう?」とヨッシー。


パシャ、パシャ。


「イケル!イケル。丁度エエ感じや思う」と僕。


そうと分かれば、入浴開始、ぞろりぞろりと入り始める。


「う?」とヨッシー。


「あれ?」と僕。


「うひゃあ!」と直樹


「オイ!!水や!!!」と石本が吼えた。


皆飛び出た。


「あかん、熱いの表面だけや!中はタダの川の水や」と石本。


「そういえば、大雨が降ったてオバアゆーとったなあ、水かさ増してもてお湯流れてもたんちゃうか」と僕。


ここまで来て、風呂が沸いていないのである。


裸族が5人、真冬の河原で途方にくれていた。


「でも、川の上は暖かいってことは、浮かんどったらエエんちゃうの?」と僕。


「うーん、さぶいから入るか」と皆ソロリソロリと入っていった。


「うおー!これはムリや!」と僕。


「うむむ、めっさきついなあ」とヨッシー。


「ぐううううー」と直樹。


「・・・あれ?」と佐藤が言った。


「あったかい。ここあったかい。っていうより熱い!」と佐藤がブツブツ言っていた。


「ホンマや!ぬくいとこある!」と石本。


「ちょっと、こっちおいでって、ここらへん掘ってみよや」と佐藤。




裸族は身を寄せ合い、懸命に川を掘った。


タオルを河原におき、一心不乱に掘った。


しかし温泉部は増水した川の水を簡単に受け入れてしまい、温かいお湯はドンドン流されていく。


「サイ!お湯の出てる周りに石を積んで行ってくれ!直樹と佐藤はもう少しエリア拡大して掘って欲しい。ヨッシーは、あそこのトタンの看板を持ってきて、水の流れをブロックしてくれ!」


石本は穴を掘りながら、猛然と指示を下した。


「あつ!あつ!お尻焼ける!」佐藤と直樹はキャッキャ言いながらお湯を掘っていた。


僕は大きな石を集めてきて、周りを取り囲むように配置していった。


ヨッシーはトタンの看板を温泉部のなかのグルリにおいて、石にて補強していた。


少しづつ暖かくなってきた。


皆の顔に笑顔が戻ってきた。


半端な俺達もやれば出来るんだなあ、充実してるよなーと意味なく得心する5人の青年たち。


タダほど怖いものはないなあ、ウンウンと皆思い始めたそのころ、


更なるカルマが裸族に襲い掛かろうとしていたことは、まだ誰も知る由の無いところであった。