ザ・タイガース、ヴィレッジ・シンガーズ
のレコードは、Ｂ面ではあるけどれも、Ａ面で
も十分通用、ヒットする曲が幾つもあります。
また、ザ・テンプターズも、Ｂ面に、松崎由
治さん作のオリジナル曲があり、独特の「松崎
節」を感じさせる魅力があります。
そんな中、今回採り上げるのは、
「怒りの鐘を鳴らせ」 ザ・タイガース
です。
トッポ脱退、シロー加入、G・Sブーム退
潮。これらにより、ジュリーを前面に押し出
し、
「ボーカルとバック専門」
の如きセールスを進めた渡辺プロ。
それは、１９８２（昭和５７）年の彼らの同
窓会コンサート前のラジオ番組で、ジュリーが
仰っていた、
「タイガースは、メンバーみんなが個性があ
り、人気があった。これが、他のグループの様
にボーカルだけ人気があり、他は、割とバック
専門ということだと、あそこまでの実績は残せ
なかった」
その、
「他のグループ」
と同じ扱いにしてしまった。しかも、彼らの
長所であるコーラスも無しの、
「ジュリーのソロ曲」
これを、ザ・タイガース名義で出した、そんな
感じを受けるのです。
他の方も仰っていますが、僕も、
「『嘆き』や『君を許す』をＡ面にするな
んて！」
と、大いに不満です。
そんな中で出されたシングルレコード。A面
は、「都会」。
この曲を初めて聴いた時、
（本当は、当時聴いていたのかもしれませ
んが、「全く記憶にございません。」）
「わっ、歌謡曲」
と感じました。彼らが、デビュー曲「僕のマリ
ー」を
「歌謡曲」
と感じ、落胆なさった様ですが、それを上回る
歌謡曲っぽさです。
（決して、「歌謡曲自体が悪い」と言ってい
るのではありませんので念のため。）
この曲、当時、売り上げベスト１０に入りま
した。
でも、僕は、Ｂ面の
「怒りの鐘を鳴らせ」
こそ、Ａ面にするべきではなかったかと考える
のです。
ベトナム戦争、７０年安保問題。彼らも、勿
論、いろいろ思うところはあったようです。
アイドル、歌謡曲。そんな、意に沿わない曲
をやらされることが多かった彼ら。
「Ａ面は一般受け、セールス。Ｂ面でやりた
い曲」
作家陣の意向もあった様です。
この曲、本来、彼らがやりたかった音楽に近
いのではないでしょうか。田園コロシアムでの
コンサートで演奏したこの曲。迫力がありま
す。
「自分と相容れないコマーシャリズム」
これに反発し、脱退したとされるトッポ。Ｇ・
Ｓブームが終焉を迎えても、この曲の様な、
「ロックバンド、ザ・タイガース」
の姿を見たかったです。そして、もっと活動を
続けてほしかったです。そうすれば、僕の記憶
にも残っていたことでしょう。
