夜、居間で寛いでいると、通りに面しているすり
ガラスに、灯りに誘われ、小さな、羽根のある虫
が、何匹も集まって来ます。
それを目当てに、毎日の様に、1匹やって来る者
がいます。ヤモリです。
ヘビは怖く、嫌いで、トカゲも、それ程好きでは
ありません。
でも、ヤモリは、目も顔も、そして、あの吸盤の
ある小さな足も可愛く、好きです。
すりガラスに映る、白い腹、くっついている吸
盤。ジーッとしている時も多いですが、狙いを定め
た時は、猫が獲物を狙う時の様に、尻尾を振り振
り、前足、後足を一つずつ動かし、ゆっくりゆっくり
近付いて行きます。そして接近。一呼吸あり、
「パッ!」
と顔(口)を伸ばし、捕らえ、ムシャムシャ。喉の動
きもよく見えます。虫たちにとっては災難ですが、
普段、可愛いと感じているヤモリの、野生の証拠
が見られるのは、嬉しくもあります。
仕事から帰宅し、ドアや雨戸を開ける時、たま
に、
「カサッ」
と何かが落ちてきて、それが、ヤモリだったりしま
す。うまく、外に出られれば一安心ですが、戸袋
の奥に入ってしまったり、こういう具合に、落ちて
きて気付くことが無いまま、屋内にずっといること
になってしまうと、屋内の害虫たちを食べてくれる
のは嬉しいですが、外よりはその機会も減ると思
われ、危険な状態になるやも知れず、心配です。
ヤモリを好きな、もう一つの理由は、
「家を守る」
と言われているからです。害虫を捕食するのも
家を守る一つですし、何か、もっと大きな存在価
値を、この言われ方に感じているのです。
この夏、連日見るヤモリ、恐らく、同一の者でし
ょう。これから涼しくなり、見られなくなると寂しい
です。