*愛里side*
それと・・・
「私、井吹と付き合ってるから。」
「私、智樹と付き合ってるから。」
2人は同時に言った。
そして、えっ、と同時に驚いた。
≪井吹~≫
智樹を、2人で責めた。
そのとき、智樹は困った顔をしていたね。
「ところで、どっちから告白したの?」
私がきくと、
それ聞くなよ、という顔をしていた。
「井吹君から。」
優亜は答えた。
「私も。私もメールで告白された。」
「どういうこと?井吹」
優亜はすごく怒っていた。
恐ろしい事は、
2人共智樹と付き合っていたということ。
2人共、井吹から告白していたということ。
「なんで・・・私のこと、スキって言ってくれたよね?
私、本気で井吹君のことスキだったのに。
これで一気に冷めちゃった。」
「優亜ちゃん・・・」
「じゃあ、智樹はあたしのもんね。」
私ははっきりと言った。
しかし優亜は納得していないようで、
「あたし、愛里に井吹君をあげるなんて言ってないわ。
井吹はもう、あたしのものじゃない。
でも、あなたのものでもない。
井吹、あんたは、人と付き合う権利がないのよ。」
「・・・」
私と智樹は黙って優亜を見つめていた。
優亜は、智樹を軽蔑した目でじっと見つめていた。
智樹は、その視線に気がついたように、
そっと、視線をそらした。
沈黙が続く。気まずい雰囲気。
「あたし、帰る。」
優亜が言った。
「もう、井吹なんか知らない。
転校する。」
「優亜・・・」
「優亜ちゃん・・・」
私の声と、智樹の声が重なった。
優亜は、ドタドタと家を出て行った。
「智樹ぃ。」
「愛里ちゃん・・・」
「あたし、智樹のこと、絶対忘れない。
だから、智樹も、あたしのこと、忘れないでね。」
「どうしたんだ 突然・・・」
「今までありがとぅ。
智樹のこと、嫌いになったわけじゃないよ。
ただ、好きにはなれないなって・・・
だから、私を手放して・・・
今日で、別れよう・・・」
*井吹side*
「愛里ちゃん・・・
俺、ずっと、愛里ちゃんのこと好きでいるよ・・・
ぜってー、忘れない
俺、愛里ちゃんも、優亜ちゃんも
好きだったんだ。
ただ、欲張りなだけなんだ。
どっちかと付き合ったら、
もう一人が、誰かと付き合ってもう、
仲良くなれねぇと思って。
俺、こんなことになると思ってなかった。
ごめん。愛里ちゃんは俺のこと、
手放さないでくれ・・・」
「いや。もう、決めたのよ。
今までありがとう・・・」
「え・・り・・・ちゃ・・ん・・・」
俺が言った時には、もう愛里ちゃんはいなかった。
静かな夕日の中に、俺の声が消えて行った。
「これで、終わりなんだ・・・」
俺は小さな声で呟いた。
「2人共、ありがとな!」
夕日に向かって叫んだ。