「誰だっ?」
「私か?私は…皆が神と呼ぶ者だ」
その声は広大な大地をも揺るがすように、殷々と響き渡った…
「はっ!神だと?…ではイムジャの身体を元に戻してくれ!そして俺をイムジャの所へ帰せ!今すぐにだ!」
声は聞こえど姿は見えぬ…
チェ・ヨンは剣を握り直し、見えぬ相手に備えた。
「まぁそう慌てずとも良いであろう。あちらとこちらでは、時の流れが違うので安心するが良い。私は、お前たち人が想像だに出来ぬほど、永い年月を一人過ごし…久々の話し相手なのだよ。高麗の武士…チェ・ヨンよ。」
「姿を見せよ!」
「すまんな。見せてやりたいのだが、私は実体を持たぬ…そこかしこに風の如く居るのでな…色々な時代、色々な国々で好き勝手な姿で崇められて居る。ふっ、そんなに、殺気を出さずとも良い…二人を出逢わせたのは私なのだ。感謝こそされど、斬られる筋合いはないと思うが」
「…それは、誠か?」
チェ・ヨンは、握りしめて居た鬼剣を、スッと鞘に収めた。
「あぁ。私は時折ワームホールを造るのだ…」
難しい顔をして考え込んでいたチェ・ヨンが、口を開いた。
「わーむ…もしや天穴の事であるか?」
「そうだ。ワームホールを造る事もまた、我の成さねばならぬこと…そこへたどり着くもまた定めなり…だが、人が一人、別の時の狭間へ行ったとて、大したことは出来ぬ。歴史を変える事は、それほどに難しいのだ」
「なぜ、俺とあの方を?」
「人には必ず、魂の導き合う運命の相手がおる…それが高麗のチェ・ヨン、そなたと…600年後の韓国に暮らすユ・ウンスだっただけの事なのだが…」
チェ・ヨンは我知らず、顔を緩ませてた。
「ワームホールはな…入った者が心から願った場所へと繋がっているのだ…あの時そなたは…願った。別の世界へと続いて欲しいと…違うか?」
「…いや、思うた。どうか本当にどこかへ続いていてくれと…」
「故に、アームホールがそなた達の運命に導かれるままに…通じたのだ」
「…では何故あの折!4年も我らを離れ離れとしたのだ!イムジャも俺もずっと思いは同じであったはずだ!」
辺りを流れる空気が…柔らかくチェ・ヨンの身体を包み込む…
「ははっ!すまぬな!あれは私がそなた達に試練を課したのだ…時代を超えての恋路は、流石に禁忌なのだよ…色々と糸を紡ぎ直さねばならなくてな…だがこちらが呆れ果ててしまうほど、そなた達は相手の事だけを想い…もう一度必ず出逢えると信じていた…一度も私に願うこともなく、やり遂げようともがていておった二人に…私は根負けしたのだよ」
あの、長かった…長すぎた4年間が、この声の主のせいだと思うと腹は立ったが、それ以上にこの先の人生を、ウンスと共に生きていける悦びに、心の底から神に感謝した…
「俺は、神など…信じて居なかったからな。だが今は…礼を言いたい。ありがとう」
「本当にそなたは正直者だな。そんなお主だからこそなのだが、世界を相手に将棋を指して見る気はないか?そなたなら…あの未来人を上手く使えば天下を取れる!どうだ?」
「みらいじんとはイムジャの事か?天下など全く興味なきこと…俺にはイムジャさえおれば…」
「ふっだからこそ、願いを叶えてやりたくなるのだ…人は我を信じる信じないに関わらず…必ず一度は願うのものなのだよ…神よ、どうか願いを叶えたまえと…」
「…今なら願うことがある。あの方を元に戻してくれ…そうだ!今、イムジャはどうしておるのだ?無事であるのか?」
チェ・ヨンは、見えない相手に詰め寄った。
と、突然空が笑った気がした…ハッと仰ぎ見た真っ白な空には、意識を失った自分と泣き叫ぶ小さなウンスが映し出されていた。
それは、かつて見た…天界の小さな透明の窓のようだった…
「神よ!イムジャは何をしておるのだ!!二人にあのように近付き、蹴り飛ばされそうではないか!あっ!危ないっ!」
トクマンに蹴られる!?…そう思った瞬間、壊れた小舟の木片にウンスは思い切り躓き…膝からは血が滲んでいるようだった…
「そなたの命を助けるために…あのように小さな体で頑張っておるのだ。あの二人に…気付いて貰いたいが為…踏み潰されそうになるのも覚悟の上のようだ」
チェ・ヨンは、その映像を見ながら…噛み締めた唇から呻き声が漏れた。
「頼む…戻してやってくれ!俺も、ここにいる訳にはいかん!あの方の元へ帰してくれ!」
「そろそろ頃合か…良いか、高麗の武士…チェ・ヨンよ。強い願いは縁を結ぶ…記憶だけが二人を巡り合わせる事となるだろう…願うのだ。此度…ユ・ウンスが小さくなったのは、そなた達二人があの七夕の夜…ずっと共に居たいと願ったからだ…戦場には女子は御法度…故に私が小さくしたまで…はははっ!私はそなた達の味方だ…何かあれば願えば良い…私に出来うることはいつなりと力を貸そう!」
「それは誠に有り難きこと…光栄に思う」
「代わりと言ってはなんだが…またここへ来てくれないだろうか…」
チェ・ヨンの頬を、暖かな風が撫でるように吹いた…
「ふっそれはまた俺に死にかけろという事か?」
大地に咲き誇る花々が、笑うように揺れた。
「くっくっ!いずれまた会おう!さぁ、願うのだ!強く!」
「あっ!神よ…一つ頼みが…イムジャが元の身体に戻るとき、衣服を体の大きさに伸ばして欲しいのだが…出来うるか?」
「はははっ!人の身体を小さくできるのだ!服などどうということもないが…くっ初めての願いが、ははっ!妻の身体を隠し果せたいとはっ!面白い男よ!!願え…願うのだ…チェ・ヨンよ」
チェ・ヨンの意識は、暗闇へと落ちていった…
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皆様、こんばんは![]()
私…誰かと思えば神様でしたね![]()
以前から思ってたんですよ~
ワームホール作れるって、神様か超未来人だなって![]()
で、神様説取りました![]()
みんな一度は思ったことがあるでしょ?
神様…!お願いって![]()
居てもおかしくないし
居なかったとしてもおかしくない…
大昔から現代までの神様でもあるので
話し方…変ですが…![]()
うちの宗派は真言宗智山派 ![]()
神様じゃなくって仏?
日本は、八百万の神がいるようで…
神様だらけなんですね![]()
今回書いたのは、神様の中でも時まで自由に操れる神様の話し![]()
おそらくかなりの上級者です(笑)
(なんじゃそりゃ)
次がラストになりそうですが
まだ書いていないのでどうなることやら![]()
今回のブラッドムーンのお話は、ライブ2日目…暇な時間を持て余したはるの(笑)映画鑑賞で思いつきました。(ウンス小さくしたはいいが戻し方、考えてませんでした
)
えっと、今やっているパイレーツ観てね、お~~っいけるや~~んって
めっちゃ笑えるのでお薦めです♥
明日(今日)も仕事じゃぁ![]()
皆様おやすみなさい![]()
では┏○))
はる

