七夕の夜の…13 | 信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

シンイの二次小説を書かせて頂いております。
読み終わった後に、心がほんわかあったかくなるような、物語を綴っていきたいです。

30…

 
残り30秒…やだっ!チェ・ヨン!逝かないで…このままじゃ本当に…
 
ウンスはもう一度、チェ・ヨンの心拍を確認するため鎧の中に潜り込んだが、容態は変わらず、彼の心臓は不規則に震えたままだった…  
 
だけど…まだ、止まってはいない…ウンスにはそれだけが救いだった…
 
「チェ・ヨン!お願いっ!目を…目を開けて!」
 
ウンスはチェ・ヨンの身体の上で、飛び跳ねてみたが、無駄な足掻きだった。他にできる事は…他に…何か…
 
枯れ果てることを知らぬ涙は、チェ・ヨンの首にしがみつくウンスの頬を流れ落ち、彼の身体を伝い…襟元を濡らして行く。
 
20…19…
 
うっ…お願いっ!私を戻してっ!彼の命を助けさせて!彼が居ないのなら…私がここで生きる意味もないわ…お願いよ!
 
ウンスの心からの願いだった…
 
その時!
 
「きゃ!」
 
しがみつくチェ・ヨンの顔が徐々に小さくなっていく!違う!戻ったんだ!ウンスは自分の両手を見つめた…
 
「う、うわぁ!い、医仙様?」
 
突然ウンスが現れたことに、周りを固めていた迂達赤の面々は…戦の最中だという事も忘れ、我が目を疑い茫然自失となってしまっていた。月の異変など比べ物にならないほどの、驚きであった。
 
もちろんウンスを知らない倭寇の兵達の驚愕はそれ以上で、腰を抜かした者達は、すぐに正気を取り戻した迂達赤の刃の前に倒れていった。
 
何やら叫びながら刀すら放り投げ、後ろも振り返らずに逃げていく奴らの多くは、母船へと逃げ帰ろうとして躍起になっていた。
 
母船に乗っている高麗人が、妖怪だ!磯女が現れた!斬れ!斬り殺すのだ!と、大声で叫んでいるのが聞こえてきた。先程の高麗人は慌てており、それが倭寇の言葉でないことにすら、気付いていないようだった…
 
この男は、必要だから殺すなとチェ・ヨンに言われており、チュンソクはその命を守っていたのだが、ウンスを罵倒され思わず、その腕に刃を走らせた!
 
肝の座った気丈夫な倭寇の中には、ウンスを恐れず、斬りかかって来る命知らずな輩も多かったが、何と言ってもここが一番守りが厚い…皆の思いは一つ。二人を、命に代えても守り抜くこと…だ。
 
「医仙様!やっと戻られたのですね!本当に良かった!」
 
「い、医仙様、お帰りなさい!て、大護軍をお願いします!こ、ここはおいら達に任せて下さい」
 
テマンとトクマンは改めて、他の迂達赤と共に二人を守るため、剣を持つ手に気合を入れ直した。
 
「ええ!」
 
ウンスが大きくなったことで、小舟はバランスを崩し大きく揺れていたが、ウンスはグッと堪えた。
 
華奢な身体のウンスのどこに、こんな力があったのだろうか…
 
あっという間にチェ・ヨンの身体を横にすると、鎧を外し、そっと仰向けに戻した。
 
祈るように手を握り合わせ、高くあげた両手を…チェ・ヨンの心臓目掛けてドンと振り下ろした!
 
除細動器の電流はおよそ150ジュール。前胸部殴打法で流れる電流は、僅か10ジュール…きっと大丈夫…この人の心臓、強いもの…信じて、ウンス!
 
「お願い!チェ・ヨン!戻って来て!」
 
ウンスは直ぐに慣れた手つきで心肺蘇生に入った。
 
紫色をした冷たい唇に、二回大きく息を吹き込むと、心臓マッサージを始めた。リズミカルにウンスは、チェ・ヨンの胸へと圧迫を加えていく…
 
「チェ・ヨン…お願い…私を一人にしないで!」
 
もう1度大きく息を吸い込み、吹き入れようとした瞬間っ!
 
「げほっげほっ…はぁーはぁー…イ、イムジャ…か、身体は…戻ったのだな…すまなかった…もう大丈夫だ。だからそのように…泣いてくれるな…」
 
何故このようにこの方の事が愛おしいのだろう…
 
チェ・ヨンは震える手を伸ばし、ウンスの頬に触れた…その冷たい大きな手を両手で包み込み、甘えるように温かな涙流れる頬を、押し付けた…
 
どうしてこの人の事、こんなに愛してるのかな…
 
二人の視線は甘く絡まり合い、同じ思いを胸に抱いていたのだった…
 
「チェ・ヨン…よ、良かった…お帰りなさい…」
 
ウンスの唇がわなないた。元に戻った身体で、チェ・ヨンの首に手を回し…その胸に縋りつき、込み上げる涙に声を詰まらせながら、身を震わせて泣き崩れた。
 
チェ・ヨンは時折苦しそうに息を詰まらせながら、まだあまり力の入らない腕で、ウンスの髪に手を滑り込ませる。久しぶりに触れる柔らかな髪の感触に、指先が悦んでいた。
 
ウンスの涙が乾くまではと、耐えていたチェ・ヨンだったのだが…運気調息せねば…この程度の痛みなら丹田に閉じ込めておけるはずだ。
 
「イ、イムジャ…すまん…少し…痛むのだが」
 
ウンスは、ハッと顔を上げチェ・ヨンに唇を寄せた。ほんの一瞬息を塞ぐと、彼の吐いた息を舌の先に感じ、心から安心出来た…その唇はまだ冷たく、僅かにかさついていた。
 
「あっ!ごめんね!あそこから私を庇って落ちたんだもんね…どこか折れてるかもしれない!帰ったらパク先生に視てもらわなきゃ!チェ・ヨン、座れる?手足の麻痺はない?どこが一番痛いかしら?」
 
生きてる…抱きしめてあげられる…それだけで良い…チェ・ヨンの上から身体を起こしたウンスは、涙を拭い辺りを見回した。
 
まだ、漁師村は不気味な血の色に包まれていた…海もまた赤黒く…ウンス達のいる小舟の周りは特に血が多く流れていたのだが、ブラッドムーンのおかげで、海全体が同じ色に見えていた。
 
噎せ返るような血の匂いと、木の燃え立つ香りで、ウンスは逆に冷静になってきた。顔を歪めるチェ・ヨンを支え、ゆっくりと抱き起こすが、かなり痛むようだ…
 
「くっ!いや…折れてまではいないと思うが…あぁ手足はどちらも動くようだ。ここが少し痛む…」
 
背中の肋骨が痛むようだ…折れていなくともヒビくらいは入っているかもしれない……麻痺がなくて本当に良かった…
 
「チェ・ヨン!治療したいんだけど…ここじゃ無理よね…」
 
二人の周りでは戦闘が続いてるのだ…ウンスは時折大きな音にビクつきながら、健気に耐えていたのだった。
 
「迂達赤!くっ…1刻で良い…誰も近づけるな!良いな」
 
「はっ!」
 
チェ・ヨンの一言であたりの空気は一変した。今まで以上に張り詰め、蟻1匹通さない勢いであった。
 
「イムジャ…こ奴らを信じて。1刻だけ待っていてくれ」
 
「うん、わかった。待ってる、静かにね」
 
ウンスはチェ・ヨンの身体を支えるように、その大きな身体と、背中合わせに腰を下ろした。
 
チェ・ヨンは大声を出す事も苦しいようだったが、いつものように結跏趺坐をして目を閉じ…細く息を吸い始めた。
 
チェ・ヨンの目と鼻の先を弓が掠ったが、その耳は既に何も聞こえておらず、少しづつ痛みを丹田へと集めていき、高めてきた内なる力で痛みを封じ込めていった…
 
 
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚
 
 
 
皆様こんにちは
 
すみません…最終回のはずが
終わりませんでした。
まぁ…私なのでお許しを土下座
次回こそ!かな?
 
 
 
いよいよ明日
手術日となりました。
オペの時間が8時からと、とても早く
長男一家は義父を連れて
車で行ってくれることになりました。
お孫ちゃまも居るので、その方が楽だからと…
軽なので私と娘は乗れないため
始発の高速バス&電車で
行くことにしましたが
8時にはもしかしたら間に合わないかも汗
 
終わった後の対面になるかと思われます。
もしかしたらドア越しかもですねあせ
行ってみないと何とも言えませんが…
 
まだ49歳。大きくなった子供や孫に逢って
一人じゃない…まだ頑張らなきゃなって…
彼の生きる活力に繋がってくれれば
良いなと思っています。
病は気から…ですからね。
 
あっ!向こうに行ったら、内縁の奥さんでも
居たらどうしようと…(;´∀`)アハッ
ちょっと気まずい雰囲気になる?
なんて(笑)考えたりもしましたが…
まぁそれはそれ…
子供と孫とお嫁ちゃんを逢わせてあげたいだけなので、元旦那が幸せならOKですね。
 
病状に関しては義父も詳しく
聞いていないようで、切ってみないことには…と
言われたそうです。
 
次男は最後まで首を縦には振ってくれませんでしたが、いつかきっと…と思っております。
 
今日のお話は書き立て(笑)なので
次のお話は今から書きますね土下座
 
書ききれなければ
明日はお休みさせて頂きますペコ。
すみませんため息
 
では今日も一日アジャ
 
はる
 
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