漁師の夜は早い…
その村は30軒程の家々からなり、なかなか大きな集落であった…まだ夜も更け切らないのというのに…家の中からは、物音一つ聞こえてこない…
村のあちらこちらには、パチパチと音を立てる大きな篝火が何箇所も焚かれ…煌々と輝く月明かりを、微かに赤く染めているようだった…
その月は更に大きさを増し…村ごと飲み込まれそうな勢いであった…
静まり返ったその村に…パシャパシャと小さな水音が遠くから近づいてきた…
少しずつ少しずつ…その音は増え大きくなり…
そして静まり返った…
ピーーーーっと突然笛の音が鳴ると、うぉーっと言う怒号と共に男達が、村人の寝静まる家と言う家、全ての戸を蹴り上げ破壊していった!
「っぐうぇ!?な、……」
その男がそう呟いた時には既に…事切れていた!
破壊した扉の中から飛び出してきたのは…迂達赤の精鋭たちであった。
扉を蹴破った倭寇の一団は、家の中に居るのは漁師だと思いこんで居た為、刀を抜いている者はほとんど居なかったのだ。
その一瞬の隙間に迂達赤は容赦なく斬りかかり、一人…また一人と確実に殲滅させていった。
中には、恐ろしい程の絶叫に喉を枯らし、船に戻ろうと逃げ出すものが出て来た。
そこへ…
ドーーーーンッ!!と言う大きな音と共に、母船目掛けて放たれたチェ・ヨンの雷攻が、ど真ん中に命中し、風穴を開けた。
いざ決戦の火蓋は切って落とされた!
それを合図に、松林の両側からは騎乗した迂達赤と忠勇衛の弓隊が、怒涛の如く飛び出し…篝火で弓矢に火を灯し左右に散開していく…
両翼の張り出した半月形の陣形を作り、不気味なほどの静けさで、じっと指令を待った。
「打て!」
チェ・ヨンの掛け声とともに、火の点いた数百という矢が母船目掛けて一直線に放たれた!
弓隊の1陣は、矢を放つと後方へ下がり…篝火に火を灯しに急ぎ駆けた。
後ろに構えていた2陣は、今度は小舟めがけて矢を放つ。
一番の精鋭たち…3陣を任された者たちは…刀を抜き斬りかかってくる倭寇に向かい、火の点いた矢を次々に射った。
これには、倭寇たちもたまったものではなかった…
その場で息絶え…火に焼かれる者…
炎を消そうと砂浜に転がる者や、慌てて海に飛び込む者が後を立たなかった。
そこへ…岸辺では、漁師の船に隠れ待ち構えていた迂達赤と忠勇衛が、待ってましたと次々と飛び出し剣を振るい、みるみる海を真っ赤に染めていった…
次から次へと放たれる炎の灯った矢に負けじと、倭寇の船からも嵐のように、矢が降り注いできた。
だが、兵達は驚かなかった!盾を掲げ、馬の首に伏せて矢を防ぎ、或いは剣で払い除け叩き切った。
中には、馬に命中し…そのままともに倒れてしまう者もいたが…皆、怯まず攻めいった。
その中をチェ・ヨンは、チュンソクら3人と共に母船へとチュホンを走らせながら、向かってくる倭寇にのみ、剣を振るって行った…
チェ・ヨンは村で待ち伏せをし、倭寇の数が減るまで…自分が最前線に出ずとも良い方法を思案し、実行に移したのだった。
だが…相手の数は、そう多くはない…まだ船内にかなりの人数が残っているのか…
戦など早く終わらせるのみ…イムジャのために…
母船はゆっくりと炎を上げ、煙が立ち上る…怖気づき船から飛び降りる者が、続々と増えていった…
そこを狙い、海から顔を出す前に息の根を止める迂達赤だった…
____突然、一人の忠勇衛の兵が空を指差し大声をあげた!
「おいっ!あ、あれを見ろ!!つ、月が欠けていく!」
辺りは戦場の怒号に包まれ、おそらくチェ・ヨンでなければ聞き取れなかったであろう…
チェ・ヨンが空を見あげると…
あの煌々と輝いていた大きな満月が…欠けているではないか…
辺りにいる者たちも次第にそれに気づき…ざわめき始めた…
倭寇に至っては恐れ慄き…燃えているのにも関わらず…今度は母船へと戻ろうとする者が焦りながら、梯子を登っているのが見て取れる。
今だな…チェ・ヨンはそう思い立った。
「チェ・ヨン!どうしたの?心拍が早まったわ!何かあった?」
ウンスが必死にチェ・ヨンの胸を叩きながら、大声を出した。鎧に包まれているので、あまり身動きがとれない事がもどかしいウンスだった。
「えぇ… イムジャなら知っておるのか…?月が…先程の大きな月が…端から欠けてきているんだが…兵達が皆、気味悪がっておる…」
チェ・ヨンは3人に守られてはいたが、辺りに神経を張り巡らせながら、ウンスに問うた。
「えっ?ほんと?…月食なの?ちょっとここ開けて!見たいわ!……あっ、ありがとう…うわぁすごく神秘的で綺麗…スーパームーンの月食なんて、見たことない……全部欠けるかしら…皆既月食になるかなぁ………あっ!チェ・ヨン…良い事思いついたわ!あのね……」
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皆様、おはようございます
本当は一気にいきたかったのですが
長くなりそうなので続く…にしました![]()
前から思っていたのですが
戦闘シーンを書くのってほんと難しい…![]()
いつもイマイチで…ごめんなさい![]()
しかも今日もセリフ少なめで…
わかっちゃいるんですがね![]()
シンイの本でもセリフないページ
あるでしょ?
それだと思っていただければ![]()
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ADHDについての記事につきまして…
不適切な発言がありました。
先程は大変失礼致しました。
読者様よりご指摘を受けるまで
そのような事にも気付かず
至らない自分が恥ずかしい限りです。
本当に申し訳ありませんでした。
以後このような事の無いように
ブログという物を発信して参りたいと思います。
不快な思いをされた皆様方
心よりお詫び申し上げます。
はる
