「イムジャ、もうあまり時がない…俺は今日、倭寇を叩きに出立せねばならん…だが、このようなイムジャを置いては行けぬ…道中厳しいと思うが…共に連れて参りたいのだが…良いか?」
「…?!えっ?ホント?嬉しい!もちろんOKよ!行く!行きます、あなたと…」
ずっと…心配で着いて行きたいって言いたかった…それが、小さくなって叶っちゃった…皮肉ね、この体じゃ、オペも出来ない…だから怪我はしないでね…そして…私があなたの足手纏いになりませんように…
「ふっ、決まりだな。では次だが…あなたの服をなんとかせねば。イムジャの体を誰かに見られたら…斬り捨ててしまうかもしれん…小さかろうと、それだけは許せん!」
「…どうせ、小さい胸ですよーだ!」
「ちっ、違う!そんなことは言ってはおらん!ただ俺はあはたの体が小さいと…」
チェ・ヨンの鼻先で、頬を膨らませてむくれている小さな自分に、必死に言い訳しているチェ・ヨンの姿に…耐え切れずウンスは笑い出した。
「ぷっ!あはははは、冗談よ!冗談!洋服大賛成!でもこのサイズ、この時代にはないわよね?お針子さんに作ってもらうにしても…時間もないし…タオル?ん~~あっ!思い出した!マンボさんのお店の近くの洋服屋さんにね、コーディネイトのサンプルみたいな、すっごく小さなチマチョゴリのセットが、いっぱい壁に飾ってあったのよ。あれなら着られるかも!」
「こーで…う、うん、そこの店に、イムジャが着られる服があるかもしれん…と言う事で宜しいか?」
「うん!ちゃんと形になってたような気がするわ。それと、紐の長い巾着袋が欲しいわね」
「巾着袋?何のために?」
「ふふーん!私が巾着袋の中に入って、チェ・ヨンが首からぶら下げるの。それから懐に入れて貰えば、話も出来るし、あなたの激しい動きでも懐から落っこちたりしないでしょ?あなたも私も安心て訳!」
「…なるほど。良い考えだ」
「それから、私の服と医療道具もお願いね。もしかしたら、途中で戻れるかもしれないし…」
「あぁ、わかった。…先に陛下に伝令を飛ばすので、少しお待ちを。イムジャのことを報らせねばならん…」
「うん、わかった。王様…信じてくれるかな…」
*********
着替えも終え、出立の準備の整ったチェ・ヨンは、紐を長い物に入れ替えた巾着袋と、小さく切った手拭きを数枚手に、戻って来た。
「イムジャ、取り敢えず、この手拭きを巻くので衾から出て。…はぁ…イムジャの体は、あなたより知っておると何度も………はは、それで叩いておるつもりですか?くすぐった…いてっ!イムジャ、何を…?そんな小さな爪で…いっ!あなたは蜂か?全く…。イムジャ、ほら…これでもう体は見えん。こちらは風除けの代わりに…」
と、少し大き目の1枚をマントのようにウンスの首から掛けた。
チェ・ヨンはウンスを片手でそっと掴むと、自分の目線の高さまで連れて来た。
もう片方の手で、髪を優しく撫でながら、小さな頬に唇を寄せた。心許ない大きさだが…香りも柔らかさもウンスのものだった…
擽ったそうに、首をすくめたウンスだったが、両手を広げチェ・ヨンの大きな唇を愛おしそうに撫で、口付けをした…
「…じゃ行きましょ?その中に私を入れて?」
チェ・ヨンは、巾着袋の中にそっとウンスを収め首から下げた。
「イムジャ、大丈夫か?」
開いたままの巾着袋を覗き込みながら、心配そうにチェ・ヨンは聞いた。
「うーん、最悪ね…ゆらゆらしてて気持ちが悪い…船に乗ってるみたい…チェ・ヨンの懐に入ったらそんな事ないのかしら…それに、物凄く高くて…下を見るとこの辺がキュッとなる…」
ウンスは、お腹の辺りを摩りながら答えた。
「…あとね、何も見えなくてちょっと不安かな…真っ暗なんだもん。こことここに少しだけ穴を開けてくれない?覗き穴が欲しいかな…両側にね」
チェ・ヨンは頷くと、一旦ウンスを出し足元から引き抜いた小刀で、巾着の上下に穴を数ヶ所作っていった。
「イムジャ、これで良いか?」
ウンスが中に入り、穴の大きさを確認している。
「うん!バッチリよ。明るくなったしね。じゃ行きましょ?」
チェ・ヨンは紐をグッと締め、解けないか入念に確かめた後…巾着袋を首から下げ、潰さないよう懐にそっと入れた。
これがイムジャの命綱なのだ…
懐の中で動かれると身も心もムズムズする。
心の臓の上にウンスがいる…暖かく優しい命…俺の全てだ。ここなら…守り抜けるだろう…
懐の中のウンスを、祈りを込めるように、両手で柔らかく包み込む。
だが…早く戻して差し上げなければ…でもどのように…
このまま…戻らなかったら…ドクンっと大きく鼓動が弾む…チェ・ヨンは何とも言えない複雑な心持ちだった。
「…どうかした?チェ・ヨン…心拍が早まったわ」
ウンスは、チェ・ヨンの胸に身体を貼り付け、心拍を聞いていたのだ。毎晩腕の中で聞いている、彼の命のリズム…ウンスはとても安心するのだ。こうして小さくなって、身体全部で彼の鼓動を感じると…本当に力強い。
「いや、何でもない。急ごう」
________二人はお目当の店へやって来た。途中、マンボの所へ寄ろうかとも思ったが、時間があまり無かったので諦めた。ウンスは、チュホンに揺られ…かなり気分が悪い様子だった。
「すまぬ!店の者!誰かおるか?」
まだ店は開いている時間ではなかったのだが、奥から年輩の女が面倒くさそうに出て来てくれた。
「…はいよ!なんだい?まだ店は始まってないよ!時間になったら来てくんな。忙しいんだ!とっととお帰り!」
「…あ〜気持ち悪い…ほら、チェ・ヨンあそこ、見える?壁にたくさん飾ってあるでしょ?みんな可愛いなぁ。どれにしようかな…」
ウンスがチェ・ヨンの懐の巾着袋から、こっそり顔を出し小声で囁いた。
「イムジャ!無理をしないで、ほら顔が真っ青だ」
ウンスは時折…吐きそうになりながらも、そのまま店の中を覗き、品定めをしていた。
チェ・ヨンは、反対の懐から銀子を1枚、これで…と言いながら、店主らしき女に渡した。女は握られたものとチェ・ヨンを見比べ、コロッと態度を変えた。
「い、いらっしゃいませ。ちょうど今から店を開けようと思ってたんですよ!奥様への贈り物ですか?良いものが揃ってますから、どうぞごゆっくり見て行って下さいな」
「壁にある、この小さき服を全て貰いたい」
女はキョトンとしながら、訝しげに聞いた。
「えっ?こ、これですか?切れっ端の布で、暇潰しに作ったもんですよ?まぁ切れっ端と言っても、物は上等ですがね。絹ですから…でもこんなもん、何にす…」
「余計な詮索はやめろ。パジもあるか?あぁ、それも全て買おう。足りるか?」
「えっ?あぁえぇ、大丈夫ですよ…では今お包みしますから、お待ちを」
「えっ?ちょっと、チェ・ヨンたら!全部なんて要らないわよ!20セットはあるじゃない…勿体無いし、選んで買うのが楽しいのに!」
ウンスは小声で抗議の声をあげた。
「…俺が見たいのだ。イムジャが、これを着た姿を見られるのは俺だけだから。俺の…我儘を聞いてくれ」
ウンスのいる辺りを、大きな手でポンと叩いた。
「ありがとう、チェ・ヨン」
「待たせちまったね。はい、どうぞ。またのお越しを」
店主の女が、愛想良く包みを渡した。
「こんなに早くにすまなかったな。助かった、礼を言う。次は妻と来よう」
「はい、お待ちしてます」
二人は店を後にすると、先を急いだ…
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..
皆様、こんにちは!
遅くなっちゃってすんまそん…
相も変わらず…読んでは直しを繰り返し(笑)
朝は起きたら7時だし![]()
やばかったです…
昨日の夜…2年ぶりに私も小さくなって(ピグ)
ちょっと散歩に行っちゃいまして![]()
こそっといろんなお宅を覗いて帰ろうと思ったら…
ある方にお逢いして、お喋りして…
さよならしたら…
……寝てました![]()
あかん…
毎日こんなんです(笑)
今飲んでるのは、やっすいウィスキーのコーラ風味の炭酸割!甘くないコークハイっすね![]()
美味しいですよ![]()
まあ私の場合は、アルコールが入ってりゃ何でも良いんですけどね…血液の大半はアルコールで出来てますから(笑)
コメ返遅くて申し訳ない![]()
もう暫くお待ちくださいませ!
今日の小噺は…
と、思いましたが…皆様台風被害は大丈夫でしたか?我がチーバ君はあれ?来たの?って感じだったんですけど、島根の皆様…大変でしたね。
80ミリの大雨って…どんななんでしょうね…
被害がないことを祈ってます。
昼飯です![]()
今日も一日アジャ!
