トクマンはチェ・ヨンに頭を殴られ、耳をつままれその場に立たされた。俺だけじゃないですっ!…と喉まで出かかった声をぐっと飲み込む…周りを見ると誰も居なくなっていたからだ…
皆、チェ・ヨンの殺気に気付き、早々に逃げ出していたのだった。
「はっ!はい!すみません!」
「全く油断も隙もない!イムジャ!こんなものは怪我のうちに入らぬ。あまり奴らを甘やかすのはやめてくれぬか!」
その怒りはウンスにまで及んだ。だが、ウンスは慣れたもので、
「だってね、小さな傷でもばい菌が入ったら破傷風になって死んでしまうこともあるのよ?そんな事になったら大変でしょ?あっ!あなたもここ怪我してる…これ、どうしたの?」
と、ウンスはチェ・ヨンの首にある引っ掻き傷を消毒し始める。
「つっ!」
「あっ、ごめん!これ本当にしみるのよね…ふ~~ふ~~」
ウンスが、チェ・ヨンの胸に掴まりながら背伸びをして、首筋に息を吹きかける様は、皆の羨望の的だった…
「ふっ、これは昨夜イムジャが付けた爪痕だが…」
と、小さな声で耳元で囁かれると、真っ赤になったウンスは反対側の首筋もチエックする。チェ・ヨンは、はにかんだような笑顔を浮かべていた。
「えっ!やだ!他にはない?」
「この位何でもない。かえって嬉しく思うのだ。昨夜のイムジャを…」
もう!と慌ててチェ・ヨンの口を両手で塞いだ。
「う、うん…大護軍…お取り込み中大変申し訳ありませんが…先ほどの件いかがいたしましょうか?」
「…う…ん…陛下に願いでねばなるまい…イムジャ…少し陛下に内密の話があるのだ。しばしここで待っていてくれるか?昼餉までには戻れるはずだ」
「ええ、わかったわ。ここでみんなと一緒に食べられるの?なんだか嬉しい!うふふ。あっ!あなた、テマン君よ!」
典医寺の方角からテマンが軽やかにに走ってきた。肩を吊り、痛々しくはあるが本人は至って元気そうであった。
「テマン!走って大丈夫なのか?もう少し典医寺で休んでいろ!今は取り急ぎやることもない」
「そうよ!テマン君…後で傷を診せてね?消毒しないと…」
「だ、大丈夫です!トギにやってもらいましたから」
「あら?そうなの?ふふ、良かったわね。この調子なら直ぐに治っていまいそう!」
「テマン!本当に大丈夫ならイムジャを頼む」
「は、はい!おいら…おいらで良いんですか?おいら…医仙様をお守りでき…」
チェ・ヨンはテマンの肩に手を置くと口元を綻ばせた。
「お前以外に誰が居るんだ。頼んだぞ、テマン!行くぞ!チュンソク!」
「はっ!」
**************
「医仙様、昼餉のご用意が出来ました!」
新人の迂達赤が真っ赤になりながら、ウンスを呼びに来た。
「はい、ありがとう。すぐに行きます。テマン君も行くでしょ?」
「は、はい!ほら!お前たちは早く行け!大護軍に報告するぞ!」
テマンはウンスの周りを取り囲むようにしている迂達赤を蹴散らすように手で追い払った。
「トクマン君は走り終わったようね。やっぱり体力が違うわね…もう一人のイルソン君もやっと終わったみたい…ちょっと心配してたんだけど、良かったわ」
「あ、あいつはいつも走らされているから…これも体力をつけるためで」
「そうよね…わかってるわ。みんなの命を守るための訓練だって…さぁ行きましょ?」
食堂へ入ると、入口から遠く離れた卓に、肩を落とし一人ぽつんと座るイルソンが目に入った。卓の上には何も乗って居なかった。
ウンスは、二人分のお膳を受け取ると、イルソンの前に腰を下ろす。テマンも何も言わないが、そっとウンスの後を追った。
「はい、これどうぞ…疲れたでしょう?ゆっくり良く噛んで食べてね?」
イルソンは顔を上げ、食事とウンスを見て驚き、急に立ち上がろうとして、勢い余ってひっくり返ってしまう!大きな音に、全員の視線が二人に集まった…
慌ててウンスが駆け寄った。
「大丈夫?頭は打ってない?」
「は、はい!大丈夫です!すみません」
「ふふ、良かった。座りましょ?」
「は、はい」
イルソンは緊張を隠せずに冷や汗をかきながら、ウンスと向かい合った。
「…どうしたの?こんなことろに一人で…私は医員よ。医員には守秘義務があってね…あなたが話したことは、たとえ夫であっても話してはいけないの…だから悩みがあるなら話してみない?」
「でも…」
「話してみて」
「はい…実は私は、まだ迂達赤に入りひと月も経っておらず…見ての通り太っているので鍛錬になかなかついていけないのです…力も弱く、皆のように素振りすら出来ない…私のような者は、迂達赤など向いていないのではないかと…」
ウンスは突然、イルソンの手を握り、諭すように話しだした。周りの者たちは静かに二人の声に耳を傾けながら食事を続けていた。
「そうよね…確かに厳しい鍛錬だと思うわ。普通の人じゃついて行けないかもしれない…でもあなたは迂達赤になるための試験に合格して入ったのよね?ここは、家柄やコネで入れるところではないのよ。あなたには力がある。チュンソクさんがそう思ったから入れたのよ。自信を持って?」
「でも…このように毎日鍛錬についていけず…一緒に入隊した者たちは既に実践に出ておるというのに…私は門番止まりなのです」
「何故、迂達赤の訓練が厳しいか知ってる?あなた達は王様を守るのが務め…戦になったとき、みんなが命を落とさない為に、あの人は敢えて厳しく鍛えているのよ…鍛錬でどこまでも自分を追い詰め、どんな状況にも対応できるように…わかる?」
イルソンの手を、力付けるようにギュッと握り締めると、イルソンは真っ赤に顔を赤らめながら
「医仙様…はい!私たちの命を守るためなのですね?」
「ええ、そうよ…もしこれからも辛いことがあったら典医寺にいらっしゃい。話すだけでもスッキリとすると思うわ」
「は、はい!医仙様、ありがとうございます!」
「あっ!テ、大護軍!」
テマンが食堂の入口で、怒気を放つチェ・ヨンに気がついた。
ウンスが振り向き嬉しそうに駆け寄ると、チェ・ヨンは何も言わずウンスの手首を痛いほどに掴み、執務室へと連れてきたのだった…

皆さまこんばんニャ☆⌒ヾ(Φ∀Φ)ノ
昨日はまたまたおさぼりしてしまい
申し訳ございませんでした
今日の深夜から
参加させてもらっているグルっぽの
お祭りが始まるので
それに向けて、アメーバに勝てるような
R話を書いています
グルっぽは、特に言葉に厳しいの
アウトな言葉が入っていれば
コメントがあがらな~い

R話は時間のかかる私でございます
なので、こちらをさぼってしまいました
申し訳ない

そちらも実はまだ未完でして
もし、読んでみたいと言うお声が多ければ
R度を上げてから、別館にて
アップしようかなと思ってます…
ですが、今回の話はちょっと…
あまりお勧め出来ません
それこそ自己責任で
苦情なしで
お読み下さるなら
…という事ですが…
今月いっぱい
お祭りが続くので
こんな感じになってしまうかもです
では|Д´)ノ 》 、マタネ~~~~
