「ドユンの意識が戻り、無事が確認できるまでこちらに残りたい…のでしょう?」
「えっ?…どうして…」
「イムジャの考えることなどお見通しです…既に先程、迂達赤を開京に報告に送りました。町に急病人がおり、治療のために戻るのが少し遅れると…宿の方ももうしばらく泊まれるように手配を…」
「チェ・ヨン…ありがとう…だから好きよ。いつも我儘ばっかりでごめんね」と、チェ・ヨンの首に回した腕に力を込める。涙が溢れてきた…
「イムジャの頼みは人の事ばかり…たまには己の事で俺を困らせてみてはくれぬか」
「あなたったら…そんなに私を甘やかさないで…あなたに頼りきりになったら、一人で歩けなくなってしまうわ…」
「望むところです。俺達は夫婦となったのだ。これからは何事も二人で支え合って行けば良い…そう誓こうたはず…」
「そうね…チェ・ヨン、あなたこそ!いつも私の事ばっかりで…何かない?私に出来ることは?……あっ、もう大丈夫だから下ろして。ドユン君の顔を冷やしてあげたいの…」
「俺の願いは二つ…一つはもう叶った故…もう一つも必ず己で叶えると誓うた。イムジャ…あなたには一人で無茶をせぬよう願いたいのだが…」
「ほらまた私の事じゃない…あなたの願い事て何?」
「う、うん…イムジャ、ドユンを診てやらねば」
まだ麻酔が効いており、時折顔を歪めながらも穏やかな吐息をたてるドユン…顔の腫れも酷いものだが、炎症を起こしているため、熱が出てしまっている。だが今は身体が炎症と闘っているので、解熱剤は飲ませたくないのだ。
「あっ、そうね…かなり熱がある…38℃以上あるわね…先生出来るだけ冷たい水を桶に汲んできてもらえますか?」
「はい!すぐに持って参ります!」
この医師は、ウンスの技術に圧倒されており、神を崇めるような態度に変わっていた。
ウンスは器具の滅菌用に沸かしてもらっていたお湯を桶に取り、熱いお湯で絞った手拭きで、ドユンの体の血を拭ってあげようと考えた。顔や腕が切れて、血の跡がこびり付いてしまっていたのだ。
「イムジャ火傷します。俺が」
と、ウンスの手を掴みやめさせ、チェ・ヨンが何でもないようにお湯の中で手拭きを絞り渡してくれる。
「ありがとう」
あちこち痣だらけになってしまったドユンの身体をそっと拭いてやると、やはり痛むようでうっと唸り声をあげる。ようやく綺麗になった頃には、桶の中のお湯は赤く染まってしまっていた…
「お水をお持ちしました…医仙様」
「えっ?どうして…」
「やはり、そうでございましたか…ここは開京より近き場所にございます…天より来られし、かく美しき医仙様の事…知らぬ者などございません。4年ほど前に天へお帰りになったと聞き及んでおりましたが…腹を裂き、縫い物をされるかのように肌を縫われる…噂の通りでございました。小生、生きておるうちに医仙様の医術を垣間見させて頂くことが出来たこと…生涯忘れ得ぬ幸せにございます…」
チェ・ヨンは、もうここへきて諦めた…この方を隠して開京まで連れて戻ろうなどと思うた己が阿呆だったのだ…
この美しい容姿だけでなく、医術も…そしてやること全てが目立つのだ…つい笑いが溢れてしまう。
「えっと…」ウンスはドユンの額を冷やしながら、困った顔でチェ・ヨンへ視線を泳がせる。
「ふっイムジャ、もう良い。あなたの他にこの様な事が出来る者が、ここ高麗におる訳がない。医員よ、確かにこの方は医仙であり今は俺の妻でもある。俺は大護軍のチェ・ヨンと申す。このことは、せめて我らが町を出るまで広めんでもらえるとありがたいのだが。あまり、患者が増えても困るのだ」
「やはり…大護軍様でございましたか…お二人の事も聞き及んでおります。もちろん内密にさせて頂きます。医仙様、ドユンを冷やせば良いのですか?私がやっておきますので、あちらの部屋でお休みください。大護軍様もどうぞ」
「ありがとう…ドユン君の意識が戻ったら、呼びに来てくれるかしら?」
「はい、わかりました。お任せを」
*********
ウンスは、昨夜あまり眠っていなかったこともあり、チェ・ヨンの腕に抱かれ安心し、あっという間に眠りに落ちてしまった…
ひと時の深い眠りから目覚めると、チェ・ヨンがおはようとキスをしてくれた。
「おはよう…ふふ。なんだかくすぐったいわね。目を覚ますと隣にあなたが居てくれるなんて」
「これからは毎日このように…どうした!意識がもどったのか?」
「は、はい!ドユンが、ドユンが目を開けました!」
「すぐに行くわ」
二人がドユンの元へ駆けつけると、ファジャが母親と弟妹を連れてきたようで、賑やかだった。
「ドユン君…どう?痛むわよね?でもだいぶ熱も下がったわね。後は化膿しないように注意をすれば大丈夫!」
「あ、医仙様…おいらを助けてくれてあ…りがとう…なんて…お…礼を言えば…」
「医仙様…私だけでなくドユンまでも…ドユンの命を救って下さって…本当にありがとうございます」
立っているのもやっとであろう母親と、小さな弟達までがありがとうと頭を下げる。
「良かったわ。今日は心配なのでこの町にもう一日滞在します。先生にもこの後の処置を伝授しないと」
こうしてウンスは時の経つのも忘れ抜糸の仕方、解熱剤、消毒薬の調合などを町の医者に事細かに教えて行く。
辺りは物音一つなく静まり返り、月が金を溶いたように柔らかく光り輝く真夜中過ぎ…今宵もチェ・ヨンに抱かれ…深い眠りについたのだった…

皆様、こんにちは
やっとお休みになりました
嬉しいです~
お話進みがございませんが
今宵も…
ということなので
エンドレスで
FC2へ飛んでくださいまし
そうそう!FC2ですが
パソコンで見られる方は
パソコンバージョンにして下さいね
この間パソコンで見たら
スマホバージョンのままだった
今だにFC2使いこなせてません
申し訳ない
今日は、昨日ちょっと笑った話を…
うちの会社は最終日にみんなで隣のお寿司屋さんに
昼食を食べに行くのです。
(数名、お寿司の嫌いな人達は残ります…)
待っても待ってもひとり来ない…
19歳の何も考えていない子なのですが…
仕方なく迎えに行くと
な、なんと
食堂でパン食ってました
……忘れていたらしいです……
こんな子、初めてです
2015年のカレンダーちまりました
お使いくださいませ~
あっ娘が怒ってる
掃除します…
では、アンニョン

