凛と冷たく澄みきった朝靄の中…2人が日課の散歩から戻ると電話のベルの音が鳴り響いていた…
慌てて電話に出る。
「はい、もしもし、ユでございますが…あら!ユニさんなの?久しぶりね~ええ、二人ともとても元気よ。ありがとう。そちらもお変わりないかしら?えっ?えぇ…大丈夫よ…。わかったわ。二人でお伺いするわね。ええ、じゃあ後ほど。また近くに着いたら、ご連絡するわね」
「おい、ユニさんなのか?何だって?」
「なんだか、また私達に渡したい物が見つかったから、遊びに来ませんかって言うの。良いでしょ?ちょうどクリスマスだし、たまには江南へ出掛けましょうよ。ウンスの家に泊まれば良いわ」
…二人は、ウンスは二度と戻らない事を知っている…ユニさんの届けてくれた手紙…600年も前の時代を輝きながら精一杯生き抜いた愛する娘からの手紙によって…
ウンスの生きた証がそこにはあった…
幾億という星々の中から、時間の流れに逆らい、奇跡のような出逢いをし愛し合った二人…
4人の子をもうけ、たくさんの孫たちに囲まれ最後の最後まで幸せに生きていたのだと、今の二人は知っている。
ただそれだけでいい…ニ度と逢えなくても、娘の微笑む顔が見える…いつも心の中にウンスはいてくれる…
ウンスの買った家も、手放そうだなんて思ったことは一度もなかった…
今は、ウンスの残してくれて青磁器のおかげで食べることには困らない。じゃがいも作りも趣味程度にしかやっていない。この家のローンも一括で支払ってしまった。ウンスの匂いが残っているこの部屋…売ることなんて出来ない…あの子の書きかけの論文や、使っていたお箸…読んでいたそのままの医学書…
いつあの子が戻ってきても良いようにと、週に一度は掃除に来ていた。それは今でも変わらない…たまに二人でここに来ては、ウンスと会話を交わすのだ…
そして時間があると手紙を読み直しては、ウンスの生きた時代に思いを馳せ…ウンスの足跡を辿る旅に出る…
「お父さん、支度は出来たの?ついでにチェ・ヨンさんとあの子のお墓参りにも行きましょう」
「あ?あぁそうだな…また酒でも持っていってやるとするか」
*********
「お爺様、お婆様いらっしゃいませ!」
「あら?随分髪が伸びたのね~本当にユニさんはウンスによく似ているわ」
思いがけず涙が溢れてしまう…
「母さんも本当に歳だな!涙腺ってものがないんだから」
「ふふ、ごめんなさいね。あの子に逢えたみたいで本当に嬉しいのよ…」
「私もです」と二人を抱きしめる。
「さあ、こちらへどうぞ」
「ユニさん、何かあったのかい?」
「ええ、手紙が…先日蔵の整理をしていたら…まだ1つ手紙が残っていたんです」
「えっ?あの子からの手紙が?」
「えぇ…蓋に張り付いていたようで…さあ、お入りください」
二人は、ウンスが作った蔵の中に入った。
「こちらです」
ユニが渡してくれた手紙を開く。あの子の字だ…
お父さん、お母さんお元気ですか?
今は、私のほうがず~っと年上なのかもしれないわね…
この間、掃除をしていたら失くなったと思っていた物が見つかったのよ。
この手紙の中に入れておいたわ…お母さんにプレゼントするわね…
手紙をくるくると開くと、ウンスがいつも大事にしていたあの黒曜石の入ったネックレスが出てきた…プラチナだったはずだが、ところどころ大分傷んでしまっていた…
「これ…あの子が子供の頃に拾って、とても大事にしていたものよね…」
「あぁ…どこかで拾って…ん~どこだったか…」
この石はね、ずっと私が大事にしていた石よ…失っても失っても必ず見つかる不思議な石…この石を私に与えてくれたのはね…チェ・ヨンだった…私が小さい頃、二人が結婚式をしたお寺で拾った石…あの時の事は今でも覚えている。何故だか石に呼ばれた気がしたの。こっちだよって。
私ね…開京で王様たちと結婚式をする前に…チェ・ヨンと二人だけで結婚式をしたのよ…どこでだと思う?あのお寺よ。二人が結婚式をした森の中にあるあのお寺…そう…私がこの石を拾った場所…
あの時、宿命なのだと思った…どうしてもここで結婚式をしたいと彼に頼んだの…そして、その時チェ・ヨンに買ってもらったノリゲが切れた…そう…この石よ。模様も傷も同じ場所にある。私達を繋ぐ石…
お母さん…このネックレスをお母さんに持っていて欲しいの…。必ずお母さんを守ってくれるはずよ。チェ・ヨンと私の想いが詰まっているから…
幸せでいてね…
必ず…
この手紙が二人の手元に届くと信じて…
また手紙書くわね…
1386年12月
ウンス
「お父さん…そう言えばあの子…あの時こう言ったのよ。“やっと見つけた”って。何のことかと思っていたけど…」
「ああ、思い出したよ…あの子はあの寺でいつの間にか居なくなって…。この石を持って、本当に嬉しそうにしていたことを…」
「あの子の宿命だったんですね…まさか、私達と同じお寺で結婚式をあげるなんて…ウンスや…私達は幸せだよ。親孝行な娘をもったから…」
「ユニさん…素敵なクリスマスプレゼントをありがとう…母さん、また泣いてるのか?もう泣くな」
「いえ…良かったですね。それにしてもウンスさんはすごい方ですね」
「自分たちの子なの?って思う時があるわ…あら…寒いと思ったら雪が降ってきたわね…」
「これは積もりそうな雪だな…」
「本当ですね」
今年初めての雪がしんしんと音もなく降り積もり、あっという間に辺り一面を銀世界に変えてしまった…
3人は降り積もる雪の中…しばらく遠い遠い600年過去へ想いを馳せていたのだった…
皆様、こんばんは
頑張ったのですがクリスマスに間に合いませんでした
ごめんね~
しかもアプリの調子が悪いので
パソコンから行ってみますが
読み直してないのでおかしいかも
そうそう
次男がワインをクリスマスプレゼントにくれました
次男はね、誕生日とかもお酒なの
どんだけ~~と言いたい!
そして、明日はお通夜がまた1件…
今回はちゃんとお金投入しました…
あの時の衝撃は忘れません
では、アンニョン


