8.誰彼 | 信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

シンイの二次小説を書かせて頂いております。
読み終わった後に、心がほんわかあったかくなるような、物語を綴っていきたいです。

遠くの山々の合間に沈んでいく夕日が、紅葉した山肌を更に赤く燃え上がらせる頃になると、あちらこちらより鳥やウサギなどを手に男達が戻ってきた。歳の頃は50歳はゆうに超えているようであった。先ほどの山賊紛いの農民達であろう…背中には落ちていた物と同じ弓矢を背負っている。

 

ウンスがトクマン達を手伝い夕餉を作っていると、怪我をし足を引きずりながら歩く男達が目に止まる。かなり出血しているようだ。ウンスが男達の元へ急ぐ。

 

「あなたたち、どうしたの?ちょっと診せて?私は医師よ」

 

「お前は誰だ?どけ!女などに何が出来るか?ほっといてくれ!あっ!長…早く診てやって下さい!」ウンスは男に押されて転んでしまった。

 

近くにいたヨンイルが慌てて駆け寄る。

「おい!お前達、客人に何をするか!大丈夫ですか?村の者達が失礼を致しました…さぁお立ちください」と手を差し出す。

 

ウンスの被っていた風避けが外れ顔が露になる…長がウンスの顔を見つめ息を止める。

 

「スンジャ?…いや、そのような訳が…あなたは…?」

 

「?あっ…大丈夫です。一人で立てますから」

近くで見ても…本当にお父さんに似ている…また、飛び付きたい衝動に駆られた…お父さん…グッと胸が締め付けられる。

 

子供達に釣りを教えていたチェ・ヨンが声を聞きつけ飛んできた。

「イムジャ!大丈夫ですか?」チェ・ヨンは周りの男達を睨みつける。

 

「えぇ、大丈夫よ、ちょっと膝を擦りむいただけだから」

ウンスは、バチバチと雷攻を放出させようとしているチェ・ヨンの右手を両手で覆い、微笑みながら首を振る。

 

「イムジャ…。あちらで傷を見せて下さい」

チェ・ヨンは、ウンスを抱き上げ先ほど今宵の宿にと借りた家へと連れて行こうと歩き出したところを、長に引き止められれる。

 

「あなた様は、医仙様なのでしょうか?このような小さな村にまでお名前は届いております…恭愍王にお仕えする医員、医仙様…伝え聞くお姿にあまりに似ていらっしゃる…しかし何年か前に天へお帰りになったと噂話を聞いておりましたが…はっ!?で、ではあなた様はチェ・ヨン大護軍様でなのですか?どこかで聞いたことのあるお名前だと…」

 

ウンスは困ったようにチェ・ヨンの顔を見る。

 

「ヨンイル…そなたの思うておる通りである…」

 

「ちょっとチェ・ヨン…良いの?」

 

「えぇ、良いのです。……確かにこの方は医仙であり、しばしこの地を離れ昨日…ようやっと天より戻られたばかりである…そして俺は大護軍チェ・ヨン。俺たちは誰にも知られずに開京へ戻る途中、この村の者に会いほっておけぬというイムジャの頼みでここに参ったのだ。」

 

「やはり医仙様と大護軍様でしたか…伝説の如く聞き及んでおるお二人でございます…。此度は大変申し訳ないことでございました。お二人の事は皆の記憶より消し去るよう申し伝えますゆえご安心くださいませ」

 

「さすが、長であるな…頼んだぞ。まだ世に医仙が戻ったと知られとうないのだ」

 

「はい、しかと承りました。して、あの…医仙様」

 

「はい、何かしら」

 

「この近くの村々には医員がおらず、遥か昔医員の元でほんの少し学んだことのある私が、真似事をしておるのみなのです。少しで良いのですが、私に医術をご指南して頂けないでしょうか?漢方薬の事も教えて頂きとうございます」

 

「もちろんいいですよ!あっ…だめかな?」

 

ちょっと困ったような顔を見せたチェ・ヨンではあったが医術のことと聞いてはダメとも言えなかった…隣におれば済むこと…

 

「良いではないですか…言い忘れておりましたが、イムジャの道具はおらぬ間に新しく作らせました。錆び付いた物を徳興君が陛下の元に捨て置いたので、同じものをと鍛冶屋で長年かけ作り上げました。間に合うて良かった…消毒薬なるものも典医寺にて作り続けており、戦に参る折などには必ず持って行くのです。トクマンに持ってこさせましょう。さぁ、まずイムジャの足を見てからです。トクマン!医仙の道具を!」

 

「はい!今お持ち致します!」

 

「私が診ましょうか?」

 

「いいえ、結構…これは俺の役目ゆえ…長は、足から血を流している二人を診てやったらどうだ?」

 

「……あぁ…そうですな…では後ほど。失礼いたします」

 

 

 

 

******

「こんなかすり傷、何ともないわ。一人で大丈夫よ」と、チマをめくり太腿まであらわに消毒をするウンスから、慌てて目を逸らすチェ・ヨン。この様な姿…他の奴らに見せられる訳がなかろう…

 

「う  うん…イムジャ、これを…どうでしょう?使えそうですか?なかなかに細かな細工ゆえ全く同じには出来ぬと言われたのですが…」

 

「チェ・ヨン!すごいわ!ありがとう…100年前に私の道具は置いてきてしまったから、縫合も、ましてや手術も出来ないと諦めていたのよ。大切にするわね」

 

ウンスは嬉しさのあまり、チェ・ヨンに飛びつき頬にキスをした。

 

「こんなに喜んでくれるとは…俺に逢うた時より喜んでませぬか?」

 

「そんな訳ないでしょ!もう!ふふ」

 

「では先ほどの二人を治療しに参りますか」

 

「そうね…おそらく何針か縫わないとダメだと思うわ。お腹も空いちゃった!早く行きましょ?」

 

「はい。仰せのままに…ふっ」

 

 

 

 

楽しそうに前を歩く二人を、目を潤ませ足取りも軽やかに護衛をするテマンの影が長く伸び…やがて落ちてきた暗闇の中に全てが飲み込まれて行ったのだった。

 

 

 







おはようございます


こんな調子で開京に戻れるのかと心配になってしまいました


私もここだけで100話目指そうかしら…などと適当な事を考えておりました


ゆっくりお付き合い下さいね




今日はあまり良いお天気ではなさそうですね今にも泣き出しそうな空ですくもり


そして、朝晩…だいぶ冷え込んで参りましたうちの、じさまは既にコタツ出しましたぜ


さすがの私も板の間生活を止め、布団で寝ておりますです、はい


皆様も風邪などひかぬようお気を付け下さいませ


では今日も一日アンニョン

 



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