颱風 | 信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

シンイの二次小説を書かせて頂いております。
読み終わった後に、心がほんわかあったかくなるような、物語を綴っていきたいです。


(嫌な空模様ね…鉛を張ったように真っ暗な空…雲が重々しく空全体を厚く覆い尽くしている。台風がきそうね…。この時代にも台風があったなんて、初めの時は驚いちゃったけど…どうしようかな…今日、チェ・ヨン遠征に行ってて帰って来ないのに…気圧の関係からなのかな?あの人がいないからなのかな…心が不安定になってしまうわ…)


しかし、チェ・ヨンが居ない今は自分が家の事を取り仕切らないといけない。台風がいつ来てもいいように、皆に指示を出し屋根や戸などのチエックをさせ、嵐に備える。

「スジョン?どこにいるの?」

「母上、ここにいます。お空を見ていました。まだ夕方ないのに真っ暗ですね。何かお空から出てきそうな気がします。」

「そうね…。嵐が来るのよ。これからスジョンが飛ばされちゃう位のつよ~い風が吹いて、雨が屋根を突き抜けちゃうほど強くお空から落ちてくるはずなの。それでね、今日は父上がお留守だから、母上と一緒に寝てくれるかしら?ミンジュンと3人で…」

「良いですよ。母上は、怖がりですからね…。」



ウンスはふふっと微笑んでしまった。この子は本当にしっかりしている。自分は、こんな子供ではなく、一人っ子らしく甘えん坊で少し我儘であった。チェ・ヨンに、似たとしか思えない。この二人、妙に意見が合ったりするのだ。でも、本当に怖がりなのはスジョン…。いつも自分は姉だからと、我慢をしているのだ。そんなスジョンを先回りして甘えさせてあげるのも、やはりチェ・ヨンが上手い。



夜になると、本格的に風雨が強まってきた。雷が大地を揺らし、家の中に居ても、外を吹く風があらゆるものを飛ばすガタガタと言う音が引っ切り無しに耳に飛び込む。ヒューヒューと家の隙間から入る風の音が、チェ・ヨンの居ないもの哀しさをより一層つのらせる。

雨に至っては、地面がえぐられるのではないかと言うほど強く降り続いている。屋根が飛ばされでもしたら、雨漏りがするのは必至だ。


ウンスは二人を両手に抱きかかえ、いつもチェ・ヨンと眠る寝台に横になっていた。

あかりは灯したままなのだが、隙間から入る風に煽られて、消えてしまいそうになっている。

「泣かないで…ミンジュン。大丈夫よ、怖くないから。すぐにどこかへ飛んで行ってしまう風なのよ。」

「そうよ、ミンジュン。姉上もいるから怖くはないでしょ?」

と言うスジョンも、ウンスにぎゅーっとしがみついている。

ウンスはスジョンとミンジュンの背中をポンポンと叩きながら、昔母親が自分の為に歌ってくれた子守唄を、調子っ外れに歌ってあげた。

二人とも慣れたもので、ケラケラ笑いながら一緒に歌っていたのだが、その時!

家の中の風がすーっと動いた!点していた灯りがふっと消えて、墨を流したように室内は真っ暗で子供の顔すら見ることが出来ない。

「きゃー!」
スジョンが叫び、ミンジュンは泣き出す…。ウンスは起き上がり二人をギュッと抱きしめる。

ポタポタと言う音と共に、誰かが入ってきた!

「だれ?!」

「…俺です。イムジャ…そちらですか?子供達も大丈夫ですね?」

聞きなれた優しい声がそこにはあった。見えずとも3人ともそれがチェ・ヨンであるとわかり飛び付こうとするが、危ないのでそこに…と止められてしまった。

「俺は暗くても見えるので…。今灯りを。 …」

そこには外套を着た、そのまま川で泳いできたかの様に全身から水を滴らせたチェ・ヨンが立っていた。

3人とも濡れるのも構わずにチェ・ヨンに飛び付いた…。

「大丈夫でしたか?遅くなりました。なかなか抜けられず、途中川が増水しており遠回りをしたので遅くなってしまいました。」

「チェ・ヨン…どうして?」
涙目のウンスがチェ・ヨンに抱きつく。

「家族を守るが、俺の役目…。あちらはチュンソクに任せました。ここは、俺でなければ守れませぬゆえ。」

「チェ・ヨン…ありがとう。やっぱりあなたがいないとダメね…一人の時は台風なんて全然平気だったのに。私、あなたに甘えて頼りすぎなのかしら?」

「それは良い事を聞きました。イムジャは危なっかしいので、その位で丁度いい。」

もう!と言って口付けた頬が冷たく雨で冷え切っていた。

「こんなに冷えて…。今、お風呂沸かすわね?私達もみんなあなたに抱きついたからビチャビチャよ。ふふ。みんなで一緒に入りましょうね。」

さっきまで、あれほど不気味に聞こえてきた風の音が、口笛のように軽やかに聞こえてくる…。チェ・ヨン、本当にありがとう…。


チェ・ヨンは、4人で風呂に浸かりながら、無理をして戻って良かったと考えていた。こんなに怖がっておったとは…。無理もないか。今回の嵐はかなりの強さ…。

遠くに稲光りを見つけ、風から雨の香を感じたのだ。戦に勝利するためには天気や風の流れがとても重要であり、常日頃から自然の動きには気を払っているのだ。途中、テマンも追いつけなくなるほどにチュホンを疾らせ、嵐より先に戻るつもりだったのだが…色々と手筈を整えるために遅くなってしまった。テマンは…大丈夫だな。奴の事、どこかで嵐をやり過ごしておろう…。

ドン!と風呂場の外で音がした。4人で顔を見合わせて笑ってしまった…。


「あなたがいてくれるだけで、さっきまで怖かった嵐が…色んな音や暗闇が嘘みたいに穏やかに変わっていくわ…。チェ・ヨン…無理して帰ってくれたんでしょ?ありがとう。」

「嵐の中、イムジャ達を置いて戦えと言う方が無理でした。先に言い出したのはチュンソクだったのですよ…。空ばかり見てる俺に、必ず勝ちを持って帰るからここは自分に任せてくれぬかと…。俺は良い仲間を持ちました…。」

「そうだったの…。本当にそうね…。チェ・ヨン…私、子供の頃、一人っ子だったから我儘だった時があって…。なかなか友達が出来なくていつも一人だった…。そんな時父に言われたの。周りに友人がいないのはお前が悪いんじゃないのかって…。本当にその通りだった…。私が悪かったの。父のおかげで、友達がたくさん出来たわ。あなたは、その逆なのね…。みんながあなたの事が大切で、守りたくて…。そんなあなたを独り占め出来る私達はもっと幸せ者ね。」


「イムジャ…」

胸が詰まってそれ以上何も言えなかった。


俺は…俺は嬉しいのです。こんな嵐の夜…心配で今すぐに戻らねばならぬと思える家族が出来ました…。俺の命にも変えられぬ宝です。イムジャ…


その後、4人で同じ寝台に眠るものの、嵐が遠ざかるまではと起きていたチェ・ヨン…。風の音が止む頃、家族の柔らかな吐息と、温もりに誘われて深い眠りにつくのであった……。










こんばんは

すみません…今日、なんやかんや忙しく

ジフ、休んでしまいました…

明日は必ず( ー`дー´)キリッ 

颱風…近づいて参りました!

それに伴い思い浮かんだ話し…。

読み切りです。どーぞ




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