―父上…大丈夫ですか?
チェ・ヨンの、今まで張り詰めていた糸がプツッと切れた…
ウンスが天へ旅立ってしまってから、初めて声をあげて泣いたのだ…
しばらくハヌルもパダもその場を離れ、父と母…二人だけにしてあげた。
一頻り涙していた父上が、少し落ち着かれたようで私達に他の手紙も読んで欲しいと持ってこられた。
―ハヌル…他の手紙も読んでくれるか?お前は若い頃のイムジャに声がそっくりだから…イムジャに読んでもろうている気になるのだ…
―はい…
ハヌルは、一番上のものから読むことにした。
「愛するチェ・ヨンへ」
チェ・ヨン…あなたがこの手紙を見ているということは、私はもうこの世には居ないと言うことね?あなたを一人にしてしまって本当にごめんなさい…許してね…
最近ね、いつもご夫婦で医院に来てくれていた方が、何人かお亡くなりになったの…みな奥様の方が先立たれてしまって…。残されたのは旦那様だったわ。
その方達のお話を聞いていて、あなたに恋文を書こうと思ったのよ。私がいなくても輝きながらあなたらしく生きていって欲しいから…私の思いを天からあなたに届けられたらと思ったの…。
皆さんね、力なく淋しそうで、後悔ばかり口にされていたわ。生きているうちにもっと、あんなことをしてやればよかった、美味しい物を食べさせてやりたかった、旅に連れて行ってやりたかったって…でもね、私とハヌルも皆さんの最後のときに一緒に居たのだけれど、どの方も微笑みながら逝かれたのよ?あなたと共に生きた年月…本当に楽しい人生でしたって…ある人は、先にあちらで待っているから、また私を見つけて下さいねって…これってとっても幸せな事じゃないかしら?
私は、あなたにそんな後悔なんてして欲しくないの…だって私が一番知っているもの…あなたと共に生きた年月…その一瞬一瞬が心躍るものだったと…
映画のような人生だったわ。最近ね、私ってこの世で一番の幸せ者なんじゃないかしらって思うのよ?時を旅して、出逢うはずのないあなたと愛し合った日々…歴史さえ塗りかえてしまったわね…きっと天命だったのだと今ならわかるわ。私達は出逢うべくして出逢った…宿命だったのだと…
チェ・ヨン…私ね、最近病にかかってしまったみたいなの…薬の効かない病…。でもねいつも笑って、生きたいと言う強い思いが薬になると信じているの。
私、出来る限り頑張るわね。あなたと一刻でも長く一緒に居たいから…。頑張るけど…きっともうあまり時間がないと思う…。だからこそ今この瞬間も、あなたの隣で笑っていたいの。病の事は心配性のあなたには言わないわ…。いつも通り振舞って欲しいから。ごめんね…。
これからあなたとすること全てが、その一つ一つが最後になるかもしれない。そう思うと何もかもが愛おしい…。だから、最近私はいつもあなたに触れて居るのよ。手を繋いだり、もたれたり…。あなたの温もりが心地良くて、私を癒やしてくれるから…
そうそう…今日はあなたのお誕生日だったのよ…昔、2人だけで初まったお誕生日会…。今は沢山の家族に囲まれているわ。
いつものようにくす玉作ったら、今年は失敗しちゃったわね。割れずにあなたに落ちるなんて。避けられたのにわざとでしょ?ふふ。気付いていたわ…みんなが大笑いして居たわね。私は、涙を誤魔化さずに済んだのよ…。ありがとう、チェ・ヨン。
私…来年は多分一緒にお祝いしてあげられないと思うの…だから子供と孫達に祝ってもらってね?約束よ…一人で過ごすなんて絶対にしないで…ハヌル、パダ、ミンジュン…そしてスジョン…父上のこと頼んだわよ…
筆が持てなくなるまで、あなたに恋文を書くわね…
愛を込めて…
ウンス
ーイムジャ…。やはりあの時の涙は…。すでに病だったのですね。お前たちも知っていたのか?
ー…いえ、あれからしばらくしてから、母上に言われました。治らぬ病なので、後の事は頼むと…。そして父上には話さないで欲しいと言われました。すみません。
ー本当に最後までイムジャはイムジャのままなのだ…。あんなにか細い身体なのに、いつも俺を守ろうとする…。全くあなたと言う人は…。
母上…父上の目にようやく少しですが、力が戻って参りました…。父上を生かすこと、やはり母上にしか出来ません…。
母上…ありがとう。

















おはようございます
4時44分、憧れの予約投稿しちゃいます
朝早くてごめんねごめんね~
それに順番も考えず書きたいものから書いていく勝手な私…。
会社で書いたもう1本
これも半分書き直しました
最後のラブレター後編の、チェ・ヨンが涙した後のほんの少しの時間を書きました
もう2時です
おやすやなさい

