見知らぬ己 6 | 信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

シンイの二次小説を書かせて頂いております。
読み終わった後に、心がほんわかあったかくなるような、物語を綴っていきたいです。

―ちょっと痛いかもしれないわよ…

ウンスは、ソナの足首をクルクルと回したり、曲げたりしていた。

 



―うっ…

 



―あっ、ごめんなさいね。痛かったわよね…でも折れてはいないようよ。たぶん捻って捻挫したのね。固定して包帯を巻いておくから、痛みがなくなるまでお風呂以外ではしておいてね?今から巻くから、自分でも出来るように覚えてね?

 

 


―はい、医仙様…ありがとうございます。

 

 


ウンスは足首を板で固定し包帯をゆっくり巻きながらソナに語りかけた。

 

 


―…ソナさんはジフ君が苦手かしら?見た目はあんなに軽そうだけど、本当はとても優しくて良い子なのよ?

 



―あいつがですか…?信じられません!

 

つい大きな声で反論してしまった。

 



―あ…ひっかかった!やっぱりそうなのね?ふふ。さっきの雰囲気からして何かあったのかなとは、思っていたんだけど。

 




ソナは恥ずかしそうに下を向いてしまう。

 




―珍しいわね…彼ってもてるでしょ?だから自分から女の人にアプローチ…あっ!ん~っと仕掛ける?ことなんてめったにないって聞いたんだけど…。はい、出来た!ソナさん、ジフ君が来るまでここで待っててね?

 



―…医仙様、本当に一人でも帰れますから…

 




―医師としての命令よ。足を着けたらだめだからね。あっ!ちょうど良かった。ジフ君が来てくれたわよ。ジフ君、随分早かったわね?心配だったんでしょ~?彼女をお願いね!折れてはいなかったわ。捻っただけだから安静にしていれば3~4日で良くなると思うから。

 

 


ーあっ…いぇ…はい…。良かった…。ありがとうございました。




―医仙様ありがとうございました。では失礼致します。

 

ソナはウンスに挨拶をして寝台を降り、一人ひょこひょこびっこを引いて帰ろうとした。

 

―あっ!ソナさんだめよ、歩いたら…

 

 

 

―医仙様、では。 おい!待てよ!ったく面倒ばかりかけやがって!ほら!

 



ジフは後からひょいっとソナを抱き上げる.

 



―やだって!ねぇほんとに大丈夫だから下ろして!こんな状態で宿舎なんかに帰れないわよ!何言われるか…。


 


2人の後ろ姿を見るウンスが、楽しそうに笑っていた…。




ジフは全く気にせず、すたすたと歩いて行く。武閣氏の宿舎は坤成殿の更に奥の方になる。普段男は絶対に入れない場所なのだ。そんな事は興味のないジフだったが…。

 




―へぇ~気にするような女には見えなかったが…かわいいとこもあるんだな。足…すまなかった…。これでも悪いと思ってるんだぜ?

 




―あれは勝負だから仕方ないわ…。あなたのせいじゃない。私が弱かった…ただそれだけの事よ。

 



―いや、ソナ…お前はそこらの男よりよっぽど強い…だが、己の力を過信するなよ。力だけなら男には敵わねぇんだからな…

 

 


二人が皇宮内を歩いていると、あちこちから視線が刺さる。通りすがる武閣氏からは、溜息さえ漏れている。

 

 


―…さっきのあれは何…?

 

 



―さっきのって?あぁ~惚れさせてみせるってやつか?そのままだよ…俺が嫌いか?

 

 


―……あなた、女なんていくらでもいるでしょ?どうして私なんか…

 

 



―向こうから勝手に寄って来るから、不自由はしてないさ。ただ、俺を本気にさせる女が居ないってだけだ。俺は、女に拒絶されたのは初めてでね…だからソナ…お前に興味が湧いたんだ。

 



―私のことはほっといて…男には興味がない。任務をこなすことで精一杯なのよ。

 




―俺の知ったこっちゃない。覚悟しろと言ったはずだ…ほら着いたぜ。お前の部屋は?

 



―もうほんとに大丈夫だから、ここで下ろしてよ!

 



武閣氏の宿舎は、迂達赤のものと違い、綺麗な色使いで洒落たつくりになっていた。

入ると真中が食堂のような広場になっていて、そのまわりに個人の部屋があるようである。扉が色とりどりの布で飾りつけられていた。


武閣氏が何名か夕餉を食べていたのだが、ジフが入って来るとキャーキャーと騒ぎ出す。武閣氏達がここでも浮足だつ。

 



武閣氏の宿舎にも、やはり2階があり5つの扉があった。

 



ーお前はどうせ2階の部屋だろう?どこだ?




そう言って階段を登ろうとするジフの手を逃れようと、暴れるソナはジフの腕を引っ掻いた。



ーいてっ!お前は!




堪らず、腕が緩んだ所でソナが抜け出した。




後ろも振り返らず階段をひょこひょこっと登ろうとしたソナだったが、足が上がらず階段から後向きに落ちそうなる!


ソナがあっ!?っと目を瞑った時には、ふわっと抱きかかえられていた…。



目を開けると、目の前にジフの顔があった…。



ー焦らせんなよ!全く…。はぁ~…お前、しっかりしてるのかと思ったが、ほっとけねぇ女だな…。




ーあ   ありがとう…。




ジフは、ふっと笑って階段を登り、目でどの部屋なのかソナに聞く。




ーここよ…。ありがとう。本当ここで良いわ。




ーああ、じゃあな…。きっとまたすぐ会うことになると思うぜ。俺の勘は当たるんだ。



そっとソナを下ろし、ソナの頬に大きな温かい手を添える。ソナはまた何かされるのかと構えていたのだが…




ー何もしないから安心しろ。またな…。



ジフはそのまま後ろも振り返らず行ってしまった…。


あっ…えっ?これって何…?

ソナは生まれて初めて、胸の痛みを覚えたのだった…。











こんばんは


今日も調子に乗って会社で2本書いたのですどっちもなんだか中途半端でして


帰ってから、急遽書き直しましてん

iPhoneだから遅くなりましたぁ~



では