出逢い…29 | 信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

シンイの二次小説を書かせて頂いております。
読み終わった後に、心がほんわかあったかくなるような、物語を綴っていきたいです。

お父さんお母さん、お元気ですか?
私達はとっても元気よ。

今日はね、びっくりすることがあるのよ。私がお婆ちゃんになったの。スジョンに男の子が産まれたのよ!お世継ぎが出来たと言う事ね。責任感のとっても強い子だから、これで肩の荷が下りてホッとしていると思うわ…あの子はそんな事、噫にも出さない強さを持ち合わせた子だけれど…

もちろん私が取り上げたのよ。あの子らしく、私は普通に産みたいと言うので、病院に作った分娩台で出産したの。立会いもしてもらわないで、あの子は一人で頑張ったわ。これから母親になると言うのに王様に甘えてしまう訳にはいかないって言って…。

もっとも、私が側に居るんだけどね…。それに、ハヌルが勉強のために一緒に立ち会ったのよ。ハヌルもスジョンと同じで、割と冷静な子なんだけど、泣いていたわ。母上、子を産むと言うのはこのように命がけなのですね…。産んで下さりありがとうと…。命の重さを感じてくれたみたい。あの子はこれから良い医師になると思うわ…



この世界に来てから、私が一番初めに取り上げたのがスジョン…あれから、私は何人の赤ちゃんをこの手で取り上げて来たのかしら…。初めの内は、ここ高麗のお産婆さんや、典医寺の医師に色々教わったわ。私は、知識だけはあったけど、それは現代の機器…モニターやエコーあってのものだから…。



ここには、聴診器すらないでしょ?。本当に覚える事がたくさんあって。それに、もちろん出産には危険が付いて回る…。これだけは、いつの時代も同じよね。本当に色々な事があったの。

何も出来なかった時の私は、もう見ているのが辛くて、医師を辞めようかと何度も思ったわ…。ここの麻酔は妊婦さんには使えなくて、帝王切開も出来ないのよ。現代では毎日普通にしていることなのにね…。


でもね、この時代の人達は強く、そして温かい人ばかりよ…。医師として力になれない私を、誰一人責めないの。逆に慰めて下さるのよ…。どれだけ私は心を救ってもらったか…。だから私は歴史を変えることも厭わないの…誰であれ、私に助けを求めてくれる人を全力で助けるわ。そして自分の知っている技術を伝えていくつもりよ。

今は、学校で医療も教えているの。ハヌルとパダはまだ15歳だけど私の一番弟子なのよ!典医寺から代わる代わる色んな医師も来てくれるようになったわ。私が教える事もあるし、薬草の事などは逆に教えてもらうの。

そして、奴婢や中人、女性からも医師になりたい、子供や親のために少し医術を学びたいと来てくれるようになったのよ!とても、とても嬉しいかったわ…。私がここで今までやって来た事が、周りに浸透して認められたと言う事だもの…。身分も性別も関係ない。それにね、乾いた砂が水を吸うようにとにかく驚くほど覚えがいいのよ!みんな、学びたかったのよね、きっと。勉強したくとも出来ない時代だから…ここは…。

たくさんの医師をこの時代に育てたい。そうすればどの身分の人達も、安価で診てもらえるようになるでしょ?頑張るわね!お母さん。




スジョン…あの子は19歳でお母さんになったわ…。私なんかまだ学生だったのに…。本当にチェ・ヨンに似てしっかりしている子なの。私の子じゃないくらいよ。

でもね、赤ちゃんが生まれた時、あの子も泣いていたわ…。私も自分の出産の時よりずっと心配で、緊張してしまって…。無事に産まれてくれて本当に嬉しかったわ。

チェ・ヨンがね、パダと分娩室の外で待っていたんだけど、赤ちゃんの鳴き声が聞こえた途端、泣きそうになっていたと後からパダが言っていたわ…。

もう中に入って良いわよと言うと、チェ・ヨンらしくなく、転がるように入って来て、スジョンの頭を大きな手でくしゃっと撫でていたわ。良く頑張ったな、おめでとうと言って目には涙が溢れそうだった…。余程嬉しかったのね。チェ・ヨンはいつも、子供達の前では絶対泣かない人なのに。強い父で居たいからって…。

でもね、スジョンの赤ちゃん抱いた時のあの人ったら…もうメロメロで頬擦りしてたんだけど、赤ちゃん言葉で話しかけてしまうんじゃないかと思った位よ!ふふ。子供とはまた違う愛おしさを感じたみたいね…。


お父さん、お母さん…。今更ながら本当にごめんなさい。スジョンが赤ちゃんを産んでしみじみ感じたわ…。2人に孫の顔を見せてあげることが出来なかった…。これは、チェ・ヨンも同じ想いだった。家に戻るとすぐに言われたわ…。自分が、イムジャの父上と母上から、私とそしてその先へ続いて行く家族を奪ってしまったのだと…。またチェ・ヨンを謝らせてしまった。

今が幸せな分、お父さんとお母さんの淋しさが心に重く感じられる…。でも私は後悔しないと決めているの。チェ・ヨンと生きると決めた時から…。


二人には、今私がここで何を言っても届かないかもしれない。誘拐され亡くなった事になっているのかもしれない。でも、信じて書き綴っていくしかないの…。私達は、私達家族は…愛溢れる幸せな生涯を送っていると…。

ごめんね、お父さんお母さん…。愛しているわ。

今日も祈るわね、この手紙がどうか二人に届きますように…






1376年1月
ウンス





✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎

ーウンスや…。大丈夫よ、私達は昔からいつもあなたの判断力を信じていたのよ。何かをしたいと言った時、相談にはのったけど、反対したことはなかったでしょ?あなたが後悔せず幸せなら、お父さんも私も何にも思い残す事はないわ…。お婆ちゃんになったのね。おめでとうウンス。


ーあぁ~あいつはいつもそうだったなぁ…。そっか、俺たちにひ孫が出来たのか…。そうか…。おめでとうスジョンや。母さん…、最高の誕生日プレゼントじゃないか…。今朝までの俺たちには、考えられなかったな。


ーえぇ、本当に、本当に…。ウンスありがとう……。



にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村