ピョルはトクマンの顔を覗き込み微笑む。
そっと髪に触れようとしたら、その手をパッと掴まれた。
ーあっ…す すみません!
慌てて手を離す。
ピョルがキョトンとした顔でトクマンを見る。
ーあ~!何故起きたかですか?迂達赤の訓練の賜物です。大護軍がまだ隊長だった頃、週に一度だけですが隊長が夜中に迂達赤の一人を殴りに来るんです…。寝て居る時も神経を張り巡らせろと…。
ーそんな事が出来るんですか?
ー初めの内は、何度殴られたか…それも、何故か俺ばかり連続で…お陰でその内わかるようになるものですよ。逆に寝ている隊長に触れられたら、褒美にいくらでも酒を飲ませてくれると言う日もあって。
まぁ、全て返り討ちにあいましたけど。
勝てたのは、医仙様だけです。
ー医仙様が?
ーはい。大昔に隊長の部屋で、ご一緒に過ごされていた事があって、医仙様が髪に触れていたのを副隊長が見て居て、あっと言ったら思い切り枕を投げられたそうです。まぁ、起きていたのに…と言う事ですが。はは。
ー迂達赤の皆さんてすごいんですね。
ー陛下をお守りするのが任務ですから。
その時、トントンと戸を叩く音がした。
ー入って良いかしら?
ーあ。医仙様。どうぞ。
ーねぇ、買い物に行かない?ピョルさんの服とか買いたいし。ダブルデートしましょうよ!
ーだぶぅる…?
ーまぁ、良いから良いから!トクマン君は荷物持ちよ。
ーねぇ、これなんかどう?ピョルさんに似合いそうよ。あとはこれも…
ーイムジャ…まだ買うのですか?
ーだって若いお嬢さんが、私の服じゃ嫌でしょ?
ーいえ、そんなことはありません。もう結構ですから…
ー遠慮しないで。ほら、トクマン君、これも持ってて!
トクマンはもう前が見えぬほど荷物を持たされて居た……。
ーはぁ~
チェ・ヨンがため息をつく。
その時、ピョルが何かを見つめ、顔色が変わる。ウンスがそちらを見ると、太った男がこちらを見ている。
ーピョルさん?どうしたの?
ピョルさん?ねぇチェ・ヨン、あの男知ってる?
ーあいつは…。ピョルのおった妓生の館の主です。
ーはぁ、はぁ、
ピョルは息が荒くなる。
ーピョルさん!?ピョルさん!?

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