時代劇で観たことがあるのだ。あれは…
ーチェ・ヨン、あの子ね肩に焼き鏝で焼かれた跡があるの。これって…妓生の?
ー…はい。そうだと思います。
ーじゃあ、逃げて来たと言うことなのかしら?
ー追われておったようなので、そうかもしれませぬ。
ー…そうなの…。可哀想に…。
しばらくすると、ピョルが風呂から出てきた。
3人は息を飲む…。
先程まで、男のなりで薄汚れた顔をしていたピョルであったが、風呂から上がった彼女は、驚くほど美しかった…。
真っ黒で艶やかな長い髪…、漆黒の闇を思わせる暗さを秘めた潤んだ大きな瞳…。それとは対象的なシミひとつない絹の様な真っ白な肌…。魯国公主を思わせるような美しさを持つ娘である。
トクマンは、一目で恋に落ちた…。
なんだ!?胸がっ!イテッ…。
ーピョルさん、はっきり聞くわね。あなた、妓生の館から逃げて来たの?
ー……はい。両親が亡くなり、私は行き場もなく借金のために売られてしまいました。…でも、どうしても耐えきれず隙をみて逃げて来たのです…。
彼女の頬を涙が伝う。
ーそうなの…。わかったわ。ずっとここに居て良いのよ。ちゃんと仕事もしてもらうから遠慮しないで。離れに部屋を用意させたから、そこにどうぞ。トクマンくん、案内してあげて。
ーは、はい。さぁ、こちらへ。
ーでも…。
ートクマンくんにまた抱っこされて、無理やり連れて行かれたい?ふふふ。さぁ遠慮しないで。
ー…はい。ありがとうございます…。
この子はとても辛い目にあっていたようだ。本当に暗い目をしてビクビク脅えている。セラピーが必要ねとウンスは考えて居た。
ーチェ・ヨン、お願いあるの。
ー……はい。わかっております。彼女を買い上げて来いと言いたいのですね?
ーさすがチェ・ヨンね。このままあの子は逃げることは出来ないわ。隠すには美し過ぎて、すぐに噂になってしまうと思うの。女の私じゃ入れないんでしょ?お金は私の所から持って行って。あと店の店主も少し脅かしてきてね。それから…妓生の館で浮気したら嫌よ…。
そう言ってチェ・ヨンの頬にきっすをする。
チェ・ヨンは、少しムッとして…
ーあり得ませぬ。イムジャ以外の女人に目がいくなど…。
そのまま2人が抱き合い、長い口付けを交わしていると、足元にハヌルとパダがしがみつき邪魔をする。2人を抱き上げ、ほっぺにちゅっときっすをする。チェ・ヨンとウンスは笑みがこぼれてしまう。
ーさぁ、父上はお仕事へ行って来ますから、行ってらっしゃいのきっすをしてあげてね。じゃあチェ・ヨン、お願いね。
ーはい。お任せを。
チェ・ヨンは妓生の館へ出掛けて行った。

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