目の前にウンスの花嫁姿が見えるようだ。
2人は次の手紙の封を切った。
お父さん、お母さん風邪などひいていませんか?今高麗は真冬です。エアコンもなくファンヒーターもないこの時代!寒いのなんのって!!チェ・ヨンの家にはオンドルもなくてね…布団から出られないの!
でもね、チェ・ヨンに起きないとご飯抜きですよ、イムジャ…な~んて脅されて…彼ったら私を動かす術を良く心得てるのよね。あっ!お手伝いさんが居るから、私は家の事はあまりしなくても大丈夫なの。医師として専念出来るのよ。でもね、たまにはチェ・ヨンにご飯作ったりするわよ。着替えを手伝ってあげるのも私だけの特権なの。
それでね、しぶしぶ起きると彼が寝ぼけ眼の私に、服を着せてくれるの。ふふ!あの大将軍チェ・ヨンに服を着させてもらうのよ!こんな幸せ者は私だけね!彼ったら手際が良くてね、寒いと感じる間も無く服を着せてくれるのよ。
この時代、重ね着が当たり前だからね。あちこちに紐が出てて、私だとこんがらがって、ものすごく時間がかかっちゃうの。その後、髪まで梳かしてくれるの。優しいでしょ?お母さんにやってもらって居た頃を思い出すわ…
そうそう!今日は二人にビッグニュースがあるの!重大発表よ!
実はね…赤ちゃんが出来たみたいなの!自分の判断だと今は4ヶ月に入ったところかしら。胎名はチェ・ヨンに사랑이(サランイ、愛)って名付けてもらったわ。お母さんは、つわりどうだった?私は全くなくて、気づくのが遅れちゃったわ。
彼に、お腹に命が宿ったと言ったら…私を抱き締め涙を流していたわ…。ありがとうって、言ってくれた。守るものが増える…それがこんなに幸せなことなのだと気付かせてくれて本当にありがとうって…。彼、私と出逢う前、色々辛い事があってね…いつ死んでも良いと思っていた人なの。だから、自分が子孫を残すなんて考えた事もなかったみたいで…
まぁ、それもあって彼ったら今まで以上に私に甘くて優しいの。もともとすこぶる面倒見の良い守りたがりの性格なんだけど…。もう、安定期に入ったから大丈夫って言ってるのにどこに行くのも着いて来ようとするのよ?いつ仕事してるのって聞いたらね、大護軍の代わりはいるが、イムジャの夫の代わりはおりませぬ…そそっかしいから目が離せぬのです…だって…。
私ってそそっかしいかしら?王様も呆れ顔なのよ。首にされちゃうわよって言ったら、禄はかなりの貯えがある故、そうして頂けたらずっとイムジャとサランイと過ごせるのに…任を解いて自由にしていただけないだろうか…な~んて真顔で言うのよ?可愛いでしょ?
無事に出産出来る事を祈っていてね!
1357年12月 ウンス
ーあなた!ウンスに赤ちゃんが!
ーあぁ、あぁ…ユニさんがここに居るんだから、子供は居たのだろうと思ったが…うぅ~く… 嬉しいなぁ~…。二度と逢えないのだろうけど、こんなにウンスを間近に感じる。ユニさん…本当にありがとう。
なんとお礼を言ったら良いか…。
ーお父さん、泣かないで下さいな。ウンスが、ウンスらしく生を生きたとわかったんですから。これからはユニさんのご家族と親戚になるのよ。ウンスの残してくれた宝物ね…。
ーはい。私はお二人のずっと先の孫なのですから。変な感じですね。ふふ。
ーウンス、お母さんが側に居てあげられないけど、出産頑張るのよ…


















この時代にあったかどうかはわかりませんが、韓国には胎名をつける習慣があるそうな…思い返せば23年前、私も長男につけていたような…なんだっけな?女の子の名前つけてたら4KGの大将が産まれてきたのよね…。歳だな…。思い出せない…。

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