お父さん、お母さんお元気ですか?今日は、私の結婚式の時の話をするわね。イメージを膨らませてよ!
お式はこの時代とても簡潔で、お寺で盃を交わして終わりなの。はい!これで夫婦ですって。婚姻届も指輪もなし…でもね、チェ・ヨンがシルバーのかんざしをくれたの!とても綺麗なのよ。
あの人がどんな顔して買ったのかと思うと嬉しくって!お式には恭愍王や魯国公主も来てくれたのよ!私って本当に幸せ者よね。それからね、王妃様がサプライズパーティーを宮殿で開いて下さったの!
素敵な衣装まで準備して下さって…。涙が出るほど嬉しかったわ。その時のチェ・ヨンたら…。私を自分の後ろに追いやって隠そうとするのよ!その様なイムジャの姿、皆に見せとうありませぬ故、俺の後ろにおって下さい…だって。
いつもはね、「私の前にいて下さい。その方が守りやすいので」な~んて言ってるくせに…。
パーティーではね、たくさんの人が集まってくれて!チェ・ヨンの叔母様のチェ・尚宮さんもお式からそのまま来てくれて、高麗の私のお母さんみたいな人なのよ。チェ・ヨンのご両親は亡くなっているから…
それでね、チェ・ヨンを恭愍王に任せて、こっそり叔母様とトクマン君と3人で飲み比べしちゃったら、大変な事に…後でこっぴどくチェ・ヨンに怒られたわ!
それからよ、チェ・ヨンが居ないところではお酒禁止令が出たの…トクマン君にも悪い事しちゃった…かなりチェ・ヨンに絞られたみたい…テマン君はお酒飲まないから、ずっと食べてたわね。はぁ~それにね、迂達赤の副じゃなかった、隊長になったチュンソクさんも、仕事を部下に任せて結婚式に来ちゃったの。
泣きっぱなしで収集がつかなかったわ。チェ・ヨンに睨まれて居ることさえ気付かないんだもの。ヒヤヒヤしちゃった。そうだ!チェ・ヨンのプロポーズの言葉、聞きたい?「ここに、残ってくれませんか…。一生守るから、俺と一緒にいてくれませんか?」素敵でしょ?
とても待ちわびた言葉だったわ…。私も初めは現代へ帰りたかったの。2人に逢いたくて…。でも途中から高麗で、彼のそばで生きてく自分しか思い浮かばなくなった。だけど、私を守るため彼は怪我をしたり、投獄されてしまったり…命の危険まであって、彼のために自分からはここに残りたいと言えなくなってしまっていたの…だって、あのチェ・ヨンよ?
まだ歴史に残っている功績も残して居ないのに、私のために彼に何かあったらと思ったら怖くて…。だからこの時のプロポーズ、本当に本当に嬉しかったのを覚えているわ!2人にも逢ってもらいたかった…。普通の結婚が出来なくて、2人を結婚式に呼べなくてごめんね…。
お父さん、お母さん、またね!
1356年11月 ウンス
一緒に絵が入っていた。ウンスの隣にはとても背の高い男の人が、ウンスの横顔を見つめている。2人は手を繋いでいるようだ。周りには沢山の人達が居並び、さながら結婚式の集合写真と言ったところだ。顔までははっきりわからないがとても和やかな雰囲気がわかり笑みが出る。
ーはい、それがチェ・ヨンです。うちにも何枚も絵があるので…。ウンスさんをいつも見つめている絵ばかりですよ。よほど愛していたのでしょうね。描かれたのは、えっと…この印は恭愍王の物ですね。ふふ。王様自ら描いて下さったようです。
チェ・ヨンと恭愍王はとても信頼しあっていたようですから。
ー恭愍王ですか…それにチェ・ヨン…お父さん…もう、ウンスったら…。
ーあ~…あの娘らしいじゃないか…子供の頃から怖いもの知らずで…
2人はしばしその絵に見とれていたのだった。

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