まず、本当に私なのか、証明するわね。信じてないでしょ?ん~私が知る二人の秘密!お母さんはヘソクリを居間のガラス戸棚の引き出しに隠してあるわよね?知ってたのよ!でも気をつけて。そこにあること、お父さんも知ってるわ。ふふ。
次はお父さんの秘密。足のサイズが右と左で1センチも違うこと。いつも右足にだけ中敷を入れていたわね…懐かしい…。それから、私の家の権利書、○○銀行の貸金庫に入っているわ。鍵はドレッサーの引き出しの中…。きっと私が戻ると思ってローンを払ってくれているのよね?
ごめんなさい。私は戻ることはできないの。だから貸し出すか、売ってしまって…。
これで本当にウンスだって信じてくれた?
私がなぜ高麗に来ることになっのか、説明するわね。私をコエックスから誘拐した、あの人…。あの人が歴史上の偉人、大将軍チェ・ヨンなの。二人とも知ってるでしょ?黄金を見ても石だと思えのチェ・ヨン将軍よ。祠堂まで残されてるでしょ?
そして今隣で寝息をたてる、私の夫でもあるチェ・ヨン。信じられないのもわかるわ…私だって初めは納得出来なかったもの。
チェ・ヨンはね、首を斬られてしまった魯国公主を助けるため神医を探しに、天門をくぐって2012年に来たの。その天門と言うのが、天へ通じる道ではなくてタイムマシンだったのね。
そして、医師の私を見つけ、神医だと思い、一緒に高麗へタイムスリップして、私が魯国公主のオペをしたのよ。信じられる?とってもお綺麗な方でね、残っている絵なんかよりずっと美しい方なのよ!今では仲の良い友人でもあるわ。
オペの後すぐにそっちに戻ろうとしたの。チェ・ヨンも帰してくれようとしたわ。でも色々な出来事が重なって、天門が閉じて帰れなくなってしまったの。ずっと開いている訳ではないから…。
それから、私は帰れるその日までと、王宮の典医寺の医仙になった。でもある時ついうっかり未来の歴史を口にしてしまったの。すごく後悔したけど、もう後の祭り…だって仕方ないでしょ?歴史の教科書に載ってる人達が目の前で生きて会話して私を天女様と崇めたりするんだもの…
その後、私の持ってる歴史の記憶と医療技術を欲しがって何度も誘拐されそうになったり、殺されそうになったりしたわ…その都度、チェ・ヨンが身を呈して守ってくれたの。何度、私のために怪我をさせてしまったことか…。
王様より私を優先してまで…そんな私達がお互い愛し合うようになるには時間がかからなかった。この人が運命の人なのだと悟ったわ…。あっ!今は安全よ。大護軍の妻だもの…誰も手出しはして来ないから、安心してね!
彼は本当に私だけを思ってくれているの。とても頼もしくて心の暖かい優しい人よ。
彼と居ると、今まで感じたことのない気持ちになるわ。愛おしくて側に居るだけで涙が出そうな…。
彼がそこに居てくれる事だけが私の全ての望みなの。だから、ごめんなさい…お父さん、お母さん…1度、いえ2度か…そっちに戻ったけど、2人に別れの挨拶を…なんて考える余裕がなかったの。
1度目は彼の命が消えかかって居たから、助けるためにすぐに戻らなければいけなくて…。2度目の時は彼に逢う事しか考えて居なかったの…。心配かけたままでこんな事になって、本当にごめんなさい…。これからたくさん手紙を書くわ。数百年後必ずお父さんとお母さんに届くと信じて…。
またね!
追伸~あの時のコエックスの監視カメラの映像をもらって!彼と私を写真にして飾ってくれる?お願いね!
1356年10月 ウンス
2人は顔を見合わせた…。これは事実なの?
ーユニさん、これは…なんと言って良いのか…。
ーわかります。私達家族の間でも色々議論して来ました。でも、高麗の時代にはハングル文字はないのです。明らかにチェ・ヨンの妻がハングル文字を書き残している…昔のご先祖は天界語と思っていたようです。そして、去年テレビで何度も流されたあのお二人の映像…。
私達チェ家の者達はすぐにわかりました。チェ・ヨンとウンスさんだと…。私達がどれだけ驚いたことか…本当に事実だったのだと…。わかって下さると思いますが、私達ですらあの昔話は逸話ではないかと思っていたのです。まさか本当にタイムトラベルが出来るなんて…。その時ウンスさんのご両親に話すべきだと言う家族もおりましたが、ウンスさんの希望通り、お二人にお会いするのは今日とその時に決めたのです。そして映像のウンスさんに似ていた私にその役目が託されました。本当に本当に申し訳ありません…。
2人は我知らず涙を流していた…。
そして次の手紙を手にする。

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