消えた小さな命…17 | 信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

シンイの二次小説を書かせて頂いております。
読み終わった後に、心がほんわかあったかくなるような、物語を綴っていきたいです。

牢の中だるそうにしているチェ・ヨンにアン・ソンオが話しかけてきた。

ー迂達赤チェ・ヨン。私をあまり恨まないで欲しいな。

ー自分の足で訪ねて来たのです。恨むものですか。

そんなことはどうでもいい。今のお俺には…
何も考えたくないのだ。話しかけるな!

ーそうか。はは。
そう言えば話してなかったな。国の禄を子孫に残す大切な3つの事。

チェ・ヨンは動くのも面倒だが、アン・ソンオを見た。

ーそれを教えにわざわざここへ?

ーまぁ悪いと思ってるしね。聞いて見るかね?

ーはぁ…拝聴します。

ーだいじなことは三つ。
ひとつ、力のある者を見極めろ。
ふたつ、必ずその者につけ。
みっつ、これが一番大事なのだが…

ーなんでしょう?

ー己の選んだ道を信じ抜け。

ーフンッ…子孫とはなんとも煩わしいものですね。私は要りません。

キ・チョルに連れられウンス達が歩いてきた。


ごめんなさい…もう少し待ってて。あなたを助けるから…殺させたりなんか絶対にしないわ。でも、こいつが私と話もしてくれないの。


イムジャ…やはりご無事なご様子だ。何もされておらぬようだ。キ・チョルの屋敷に連れて行かれるのであろう…もう俺を見てもくれぬと思ったが…
イムジャの香りが漂ってくる…お帰しするとの武士の約束…必ず果たさせて下さい。
お帰しするその時までお守りいたします…


ウンスとチェ・ヨンは会話でもするかのように、お互いから視線が離せなかった。
キ・チョルが二人の視界を遮った。

ーさあこちらへ

ウンスは再度チェ・ヨンの眼差しが見たくて振り返ったがチェ・ヨンは下を向いていた。

チェ・ヨンはウンスの視線を感じていた。俺を見てくれている…先程までの辛さが少し和らいだような気がする。

キ・チョルは、馬へウンスを乗せ手綱を持たせてやる。

ウンスの視線が外れたのを感じ、そっと視線を走らせる。馬に乗せられる様子をチェ・ヨンは淋しそうに見つめる。俺の役目なのに…と。一昨日ウンスを初めて馬に乗せようとしたときを思い出す…あれほど大変とは…フッ
柔らかく華奢な身体を抱え上げた…乗れた時は、子供のように笑っておられた。あんな風に笑う方はあの方しかおらぬであろう。こちらまでつい頬が緩んでしまうのだ。落ちたら受け止めますと言う、俺の言葉を信じて下さって…
俺は一緒に参れませぬゆえ、馬にはお気をつけて下さい。怪我などなさらぬよう…

一行は、チェ・ヨンの牢を先頭にゆっくりと歩みを進める。キ・チョルがウンスの様子を確かめる。

天人よ馬に乗れるようだ…馬車を用意させようと思ったが、馬で良いと言っていた訳だ。

ウンスはキ・チョルと早く話がしたくて仕方がなかった。

でも今はギャラリーが多すぎるわ…開京に着く前になんとか話をつけたいのに…


一方開京では…

王妃がチェ尚宮と宮殿内を歩いていると…
周りには迂達赤ではなく禁軍ばかり…

ーこれはなんと言うことじゃ?

ー禁軍が王を護衛しています。趣味の悪い軍服を着た者は徳成府院君の私兵たちです。私兵ごときが官軍を名乗り宮中を闊歩しています。実に嘆かわしいことです。

ー王様は今…監禁されているのか?

王様…だから私が医仙とチェ・ヨンを助けに行くと申したではありませんか…
何故あの時行かせてくれなかったのですか?

ーそう思われます。認めたくありませんが実情かと…

王妃は、先日襲われたことを思い出していた。

ーキ・チョルの屋敷へ向かった折、襲撃に遭うたが、あれもキ・チョルの手先か?


ー迂達赤はそう申しておりました。

ーキ・チョルには私の命も虫けら同然か…

ー王妃様?

ー虫けらにも劣る王妃ゆえ私が頼りないゆえに王様はお一人なのだ。

ーおやめください!
私から申し伝えましょうか?
王様のところに行かれると…

ー王様は…馬鹿じゃ…

ーはい?

ー王様はまこと大馬鹿じゃ!

だから、チェ・ヨンが必要だと申し上げたではないか…お一人で大丈夫であろうか…


くるっと踵を帰し自室へ向かった。






王様は部屋で絵をかかれていた。
何枚も何枚も書いては捨てていく…
心穏やかでないので、絵など描けようもない。イライラと部屋中を歩く。

思い立ったように部屋を出ようと扉を開けると、官軍、徳成府院君の私兵たちがいる。形ばかり頭を下げる。

キ・チョルの弟のキ・ウォンが何処からともなくやって来た。

ーお出になる際はお申し付け下さい。私たち護衛がお供いたします。

お前を出すなと兄者に言われておる。
籠の中の鳥なのだ!兄者を怒らせるお前が悪い…殺されないだけマシであろう…

扉は閉められてしまった。

王は情けなかった…
王とはなんなのであろう…この部屋に留まり絵を描くことが王たる者の仕事か?
政治は全てキ・チョルが手の中にある。
誰もおらぬ…余は一人なのだ…
名ばかりの王なのだ…余は…
チェ・ヨン…余はどうしたらよいのじゃ。


トギが馬糞を乗せた押し車を引き迂達赤の兵舎にやってきた。

テマンを中に入れるため気を引きに来たのだ。テマンは命の恩人…助けないわけには行かない。

トギが入り口の禁軍ともめている間に、テマンが柱を猿の様に駆け上がり屋根を伝い宿舎に入った。

トクマンが真っ先に気付き声を掛ける。

ーテマン!

周りのもの達も駆け寄って来る。

ー話しを聞かせてくれ!今、どうなってるんだ?

テマンは副隊長のチュンソクの所へ歩み寄る。

ーテマン、お前だけか?チュソクは?

テマンは相変わらず言葉が出にくい。

ー王様に会うと言って康安殿の方へ行きました。

チュンソクは厳しい顔になる。

ーあいつが王様に会うとは何のつもりだ?

ーた  た  隊長が、その…お  お  王様に…

あ~俺なんでちゃんと話せないんだよ!こんなに人がいっぱいでみんなが俺の話しを聞いている…みんなを隊長だと思えば…

トクマンに頭を小突かれ、しっかり話せと言われてしまった…

ー王様に伝言があるとか…


ー隊長は無事か?一緒じゃないのか?どう言うことだ?

トルベが心配のあまり、テマンの襟首を掴み…
ーもったいぶらず言えよ!

ーは 離して下さい。
王様は禁軍とキ・チョルの私兵に囲まれ何重にも警護され、入る隙間もないし、それに隊長は…

ー隊長がどうした?
トクマンが聞き返す。

ー隊長は捕またって噂が…

ーなんで隊長が捕まるんだ?
チュンソクは、俺の思った最悪の方向へ行ってしまったのかと、怒りを露わにテマンの襟首を掴む。


ー江華島で捕まり連行中らしいです…

ー誰がそんなこと言ってんだよ!

いつも穏やかな副隊長が怒ると怖い…とテマンは思った。

ーみんな、みんながそう言ってます。すごい騒ぎです。

俺が一番信じられないんです!隊長…捕まるなんて…

ーちくしょう!

ー隊長が捕まったら近衛隊はどうなりますか?

トクマンが誰にともなく聞く。本当に聞きたいことはそんなことじゃなかった。隊長はどうなってしまうんだろう…

ーあんな門蹴破って出ましょうよ!

ー門を蹴破って隊長を助けに行きましょう!!

ー名案だ!それが良い!

熱い二人…トルベとトクマンだ…

ー隊長を助けた後は?

ーこんな国さよならですよ。どうせ反逆者なって死ぬ位なら国境で一戦やりましょう!大盗賊になって!

チュンソクがトルベに蹴りを入れながら、ー馬鹿野郎!鎧も武器も持って行かれた。どう戦うんだよ!

俺だって出来るもんならそうしたい。俺は隊長からこの迂達赤を預かる身。冷静に判断しなければ…あの隊長が捕まるなんて、きっと何かお考えあっての事だ。
隊長が戻るまで迂達赤は俺が守る。

チュンソクの苦悩は続く…


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