どう言うことだ?慶昌君様にやはり何かあったのだろうか?
チェ・ヨンは焦り小走りになる。
ウンスも必死に後を追う…
急ぎ、部屋に行き、恐る恐る扉を開くと慶昌君様は向こうを向いて布団に横になっていた。
良かった…何事もなかったようだ。取り越し苦労であったか…たまには俺の勘も外れるのだな…
ー少しはお休みになれましたか?
チェ・ヨンは部屋に入ると、慶昌君様の横に座り、火苦毒に焼かれた手に触れるが、そのことに気付かない…
慶昌君様は汗をかき、何やらかなり苦しそうな様子だ。
痛みがまた酷くなったのであろうか?
この方は、小さく弱きご様子なのに、あまり泣き言は言わぬ強さを持っておられるゆえ心配なのだ…
ー痛むのですか?
医仙!慶昌君様が!
なんだ、この不安は…慶昌君様はどうなされたのだ?ただの痛みではないようだ…
チェ・ヨンの顔が心配で曇る…
ーヨン……
ヨンよ…痛い…苦しい…でもそれがヨンでなくて良かった…うぅぅ~~身体中が燃えている…はぁ~いつまで苦しいのだろう…
その同じ頃開京では…
チュソクが辺りを伺いながら王の元へ行こうと宮殿内をうろつきながら、画策していた。
…官軍ばかりだ…迂達赤はどうしたのだ?
チュソクは不安になった…
官軍は、誰か探しているようだ…。
まさか…自分を?
だから迂達赤が1人も居ないのか?
副隊長の心配通りになってしまったのか?…どうしたら良いのだ?
俺の行動、言動で隊長や他の迂達赤、そして俺の生死が決まってしまうかもしれぬ…
はっ!?
考え事をしている隙に、後ろを官軍に取られてしまった。
捕まってはならん!
ー迂達赤か?
ーそうだが…官軍ごときが王を守る迂達赤に何を?
ー近衛隊に監禁令が下ったのだ!ひっとらえよ!
チュソクの身体は勝手に動いていた。
ここで捕まってはならぬ。周りにいる官軍は5~6人だ。この程度ならどうとでもなる。
中庭に出て 官軍を相手にするが、殺すと後あと面倒になるだろうから殺せぬな…
なかなか出来る奴がいるようで、手強い…官軍の人数が増えてきた!殺す方が簡単なのだが…逃げるか⁈
捕まりかけた時、いきなり官軍に空から玉が当たった!テマンだ!
今のうちに逃げねばと、チュソクは力の限り走った。
早く逃げて!ここは俺が何とかします!
チェ・ヨンは焦ってウンスを呼んだ!
ー医仙!医仙!急いで!
ウンスは何事かと駆け寄る。
癌なのだけれどそんなに急変するはずないんだけど…
どうしたのかしら?
ーいつから?痛みだしたの?
何かおかしい…癌による痛みとは何か違うような…
脈をとろうと右手を見ると真っ赤に焼けただれている!
ーあ…これは…何をしたの?
チェ・ヨンもその手を見た。そして慶昌君様の右手の小瓶に気付く…
何か飲まれたのか?でも何も持たずにここに来たはず…では誰かにこの瓶を渡された…?
チェ・ヨンは小瓶の臭いを嗅ぐ。
ー慶昌君様…まさかこれを?
すでに慶昌君は鼻から血を流し、意識も朦朧としている…
ーうん…
チラッとヨンに目を向けて答えた。
ー火苦毒の匂いが…
ー何なの?
ー慶昌君様に誰がこれをもたらしたのです?!一体誰が⁉︎
ー教えてよ!!
ー毒です…飲めば身体中を燃やし尽くします…
チェ・ヨンが慶昌君の合わせを解くと…
身体中焼けただれていた…
一体誰が!?強い怒りに震える…
もうきっと手遅れだ…慶昌君様なぜこんなことを?無理やり飲まされたのか?
医仙なら、天界の医術で治せるか?
疑問ばかりが湧いてくる…
ーそんなっ!!
ウンスは慶昌君様の身体をみて息が止まる!これは何?どうしたら…今、ここには治療するものが何もない…
ー塩酸かしら…
ー火苦毒だ!!!医員がそんなことも知らないのか⁉︎早く何とかしろ!!
あまりの怒りを抑えきれず、イムジャに当たってしまう…天界にはこのような毒はないのですね…?!初めて見たようだ…
イムジャのせいではないのに…俺が悪いんです。やはりあの時江華郡守を振り切り、ここへ戻るべきだったのだ…
悪い予感がしていたではないか…
俺が殺した…守りきれずに、俺が殺してしまったのだ…
ごめんなさい…だって初めてみるのよ。授業でもこんな状態は習って居ないの。そもそもここでは何も出来ない…
ごめんなさい、サイコ…慶昌君様…
サイコがこんなに怒っているところ、初めて見たわ…自分を責めているのね?
ごめんなさい…医者である私が、医者であるのに何もしてあげられない私が…半分責めを負うわ…だからそんなに自分を責めないで…
ー強い劇薬なの?
ー飲んだらひと思いに死ぬことも出来ぬ!内蔵が燃やされるのに、死ぬことも出来ないんだ!
ー毒だったら胃洗浄して見る?
ーイムジャ…もしや対処を知らぬのか?手立てが…?ないのか?
やはり…そうなのか…では手立てはひとつのみ…
チェ・ヨンの心が怒りに震えたのは7年ぶりだ…誰が…何のために慶昌君様に火苦毒など?!
…怒りと哀しみがチェ・ヨンの心を覆いつくす…
ーごめんなさい…
本当にごめんなさい…医者であることが今は辛いわ…現代でならなんとかなるかもしれない…でもここでは、私は何の役にも立たない。私の技術など、現代の道具や薬、システムに助けられているだけ…ここに来て良~くわかったわ…
ー冷や水を頼みます。熱だけでも下げなければ…早く!!
ウンスは水を汲みに走った!
おはようございます

ギックリ腰もどきも良くなって来ました

あー、本当に辛かったです。
そろそろ消えた小さな命編は終わりそうですね。それにしても、つらい…

チェ・ヨンが本当に辛そうで、でもきっと心を取り戻すのに必要な場面でもあるんだろうな…と思いながら書いてました。
この後のウンスとチェ・ヨンのシーン…みな様ご存知だと思いますが…
まだ悩み中なのです
書き始める前から何でって場面だったので…
書き始める前から何でって場面だったので…私ならあの時、あぁはしなかったと思うので、只今ウンスに聞き取り調査中です(笑)

解釈が別れるかと思いますが、自分なら…と自分なりのウンスを考えてみて下さいね

ではアンニョン


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