自分の中に毒を持て 岡本太郎「自分という人間の全存在、生命それ自体が完全燃焼するような生にかけるべきなのではないか」
すべてがこの思想に貫かれています。
その生き方では「破滅する」「社会から消される」と忠告され、社会通念と対立しながらも、安全で安定した道をとらずに、「危険な道をとる」生き方をしています。そこには、自分の哲学を持って、発言と行動に筋を通して生きた凄みが感じられます。自分自身の全存在をかけて生きる芸術家とは、こういうことかと、厳しさと強さを思い知らされます。
今までの自分の人生では(多分これからも)、このまま普通に生きていても、会うことはないの人ではと、思える人です。
むしろ、こういう人が世の中に存在していたというのが驚きです。
(それに出会えるのが本の良さですけど。)
ついつい、読んでいても真似できないと思ってしまいますが、
「岡本太郎だからやれるので凡人には難しいという人がいる。そんなことは嘘だ。やろうとしないからやれないんだ」と叱られた気持ちです。
ここまで強烈だと自分の中で発想の転換がおきるというか、
自分の小さい世界観が分かり、もう一つ大きなものを感じます。
岡本太郎さんについては、「芸術は爆発だ」と「太陽の塔」のイメージしかありませんでしたが、読んだ後では、作品に対して「生きるパッション」というものがもっと伝わってくるようです。
誰彼比較でも、通俗的な成功でも、日常の生活に埋もれるのでもなくて、精一杯に自分自身と戦いながら生きること、そして泥臭くても、這い蹲っても、自分の人生を全身全霊で生きて情熱をパアッと開かせること、そんなことを感じさせてくれます。「俺は生きたといえる人生」って言いたいですよね。
ほとばしる情熱を感じる一冊です。
ぜひ一読してみて下さい。