☆ストレスで出る咳の治し方と漢方薬
とても合わない職場で、数年ムリして働かれた30代女性のご相談者さま。
スキルは問題なしですが、人間関係と、会社の上層部の方針に、大きな負担を強いられたそうです。
何とかそこを辞めて脱出されたときには、
・眠れない
・起きれない
・何もヤル気が起きない
といった、「燃え尽き」症状がバッチリ出ていました。
自宅でのんびり静養して、漢方薬を2種類を服むと、2週間で眠れるようになり、朝起きて「今日はあれして、これして……」と予定を立ててそれを実行できるまでに回復しました。
2週間後にお会いしたとき、それに伴って出ていた
・数ヶ月前に風邪を引いて以来、咳が止まらない
という症状が、グンと軽くなったことをご報告いただきました。
「ストレスで出る咳」というのがあります。
中医学的には、「肝火犯肺」という言葉で表される状態で、
「ガマンし過ぎた」「腹が立った」
↓
「肝」(気の巡りの調節を担当)に「熱」がこもる
↓
「熱」は上へ向かう
↓
「肝」からの「熱」に「肺」が炙られて、「肺」の気が上へ勢いよく吹き上げられる(上逆)
↓
咳が出る
という構造になっています。
さらにいうと、「肝」と「肺」とはどちらが強いかというと「肺」なんです、本当は(相克)。
「肝」の働きが強まりすぎないように、平常時だと「肺」が「肝」を適度に抑えているはずなんですが、「肝」が不調過ぎて、抑えられている相手である「肺」に影響が逆流している(相侮)。
このご相談者さまのように、長く強いストレスが加わっているところに、風邪を引いたりすると、風邪が治ったあとも咳が止まらない……ということが起こったりするんですね。
このタイプで出る咳はほかに、「ちょっと神経質なお母さんのこめかみがピクッとした瞬間に、ゴホゴホ咳き込む子ども」ような例があります。
どちらも、「肝」が気を巡らせる働きをスムーズにすれば改善します。
こういうとき、よく使うのは、「逍遥散」という漢方薬です。
以前漢方メーカーさんのご依頼で行った講座で、「こういう子どもの咳には『逍遥散』」とお話しすると、「逍遥散なんて更年期のくすりじゃないですか!?」と受講生にビックリされたこともありますが(^^ゞ
「●●●●散/湯」は▲▲▲▲に使う処方……みたいな覚え方をすると、本当の使いどころを見失うのでご注意くださいね。
このご相談者さまのお咳は、その後順調に治ってます。
漢方薬のあまりの効き目の速さに驚いて、「本気で中医学を勉強しようかな」とおっしゃってました。
今日のお話は「プロ向け」でしたが、五臓の仕組みと働きを知っていれば、不調がなかなか治らないとき、「これは中医学的な対策が必要だぞ!」と気づくことができます。
そもそも、「肝」とか、「肺」とかって、楽しいよ~!

