シガー<2>【熟成の失敗とヒュミドール】
私はシガー歴こそ歳のわりに長いほうだが、それゆえに大きな失敗もある。
私が信じた間違った情報は、シガーはヒュミドールに保管し、定期的に内部の葉巻の位置を循環させ、葉巻に呼吸させよというもの。
結果として10年前後の熟成となっているヒュミドールだが、間違った情報の実践の末に「熟成」というよりも「枯れた味」になってしまっているシガーも少なくない。
枯れた味も熟成の行く末とも言えなくもないが、正直、旨くないならそれは「熟成」じゃないだろう。
「ヒュミドール」というのは大半が、熟成のために作られたモノではない、ということに気付いた。
では、何のために大枚はたいてヒュミドールを買うのか。
1・バラ売りで買ったシガーを、一時的に保管するための箱がヒュミドールである。
2・または、箱から出してバラ売りするための展示什器でもある。
3・もしくは、イザ吸うときに好みの湿度に調整するための待機部屋である。
私のヒュミドールが二つに分かれており、その二つの湿度は異なる。
熟成向けのキャビネットは64~68%、待機部屋としてのボックスは72~74%となっている。
旨味成分は水分と同様に気化するように感じる。
それは、湿度を高めた後に嗅ぐラッパーの香りのほうが芳醇に感じるからだ。
気化する旨味成分をもつというのに、なぜに呼吸させるのか。間違った方法だと思う。
待機部屋としてのグラストップヒュミドール。
上の写真のように、ほとんどのヒュミドールは箱(25本や50本の)単位で保管できるスペースは用意されていない。
しかし、熟成には箱で買ったシガーを箱のまま(バラでも同じだが)ジップロック等の完全な気密性容器で保管する必要がある。
シガーの旨味成分は外気に触れれば飛ぶ(揮発?)ようだ。これは私の手元にあるシガーがそう言っているので間違いない。
精油成分と表現されたりしているが、まあとにかく、実際に旨味は飛ぶものであると認識してほしい。
私のヒュミドールはキャビネットタイプで、25本以上の箱でも保管できるスペースがある。
シダー材のトレーの上で転がし続けたシガーと、箱のまま保管されていたシガーとでは数年後の風味は異なる。
またはチュボスでも密閉と似た効果がある。
箱でなくともギチギチに積まれたシガーの中には密閉に近い状態となっている場合もある。その場合はやはり中盤で旨味が盛り上がるのだ。(ヘッドとフットは空気にさらされていることが多いため)
もちろん、どちらが旨いかは人の趣向によるので他人に向けての断言は避けるが、スカスカのヒュミドールに転がしっぱなしでは美味しくならない。が私の所感である。
この記事の最後に、グラストップヒュミドールは賛否あり、光(紫外線)が遮断できないことが最大のデメリットとなる。
ということで、私はガラスに99.5%UVカットのフィルムを貼っている。そのうえで鑑賞しないときは天面をカバーしている。
見えにくいが、適当に張ったUVカットフィルムに空気が残りまくっている。
鑑賞するのも好きな私にとっては、グラストップであることは外せない条件であり、それこそグラストップの最大のメリットなのだ。