ガタンゴトンと電車が走る


僕と咲人を乗せて


流れる景色をぼんやりと眺めながら
他愛もない話を繰り返す


もうすぐ
咲人が下りる駅


今日もまた
さよならする時間がやってくる


駅になんて着かなきゃいいのに


毎日毎日思うこと


だけど
僕の願い虚しく
電車はホームに滑るように入っていく


目の前の扉が開いて


「じゃあ、また明日ね柩」


『うん、また明日』

咲人は電車から下りて行った


咲人を下ろした電車は扉を閉め
再び走り出す


扉の向こうには手を振る咲人
僕もいつものように笑って手を振る


ホームを抜けた電車はガタンゴトンと僕を揺らす


窓には笑った顔のままの僕が映っていて


僕はゆっくり自分の顔が変わっていくのを眺めていた


『もう会えないわけじゃないのにね、』

別れの後の独りの時間が酷く寂しくなったのは

きっと咲人に出会ってしまったから


『早く明日にならないかな…』


あと3駅で
僕の住む街に着く
きっかけは
ほんの些細なことだった


例えば
自分が何か買いに行くときに
メンバーに声をかけて買って来てくれるとか


ご飯を食べる時に
食べやすいようにと取り分けてくれたりだとか


電車とかで席を譲ったりだとか


戒君は小さな優しさで溢れる人だと気づいたのは


戒君自身は何気ない行動なんだろうけど
気配りが苦手な俺から見れば羨ましいばかりで


戒君が凄く立派に見えた


今日だって
わざわざ0時ぴったりに誕生日を祝ってくれたりして


「俺は戒君に何を返せんねやろ…」


誕生日だからと
料理を作ってくれる戒君の背中を眺め考えた


「あかん、何も浮かばんわ」


いつも自分優先で生きてきた俺だから
他人のために何かするということが極端に苦手だった


「不器用すぎるやろ、俺は」



なら、少しは戒君のためにでも生きてみようか


いつも他人のために生きてるような戒君だから

たまには逆の立場も必要だ


「俺も、こんなこと考えられるようになったんやな」


少し大人に近づいた気がした今日、

それは他の誰でもない
恋人のため
「大根は食物繊維が豊富で体に良いのです」


「沙我様いきなりなんなんだな」


「ほっときなよポン
頭弱いんだからあの子」


「酷くない?!」


『沙我君は何が言いたいの?』


「よく聞いてくれたねNaoさん!!

ようは皆で大根を丸かじりしましょう☆」


「「「『無理』」」」


「声そろえなくても…」


「お前1人でかじってろ」


「はぁ」


「沙我様~
煮るのはダメなのか?」


「火を通すとね落ちるんだよね」


『じゃあ、大根おろしは?』


「どうしてするんですか!!」


『え…食べやすいように…』


「歯を顎を使いなさい!!

さあ今日は皆で大根を…」


「さ、練習再開するぞ」


「おー」


「虎氏に聞きたいとこがあるんだな」


『あ、俺も~』


「え、ちょ皆無視って酷くない?!!」







先生の驚きの発言
「今年も受験シーズンか…」


『今年もって始まったばっかじゃん』


「確かに
でも、センター試験て今日だよね」


『そうなの?』


受験、センター
高校を途中リタイアした俺には
来ることの無かった言葉


「多分ね」


『皆、緊張してるだろうね』


「手震えたりね」


『夢を切り開く一歩だもんね』


「ひつ、良いこと言うねぇ」


『なっ
からかわないでよ
もうっ///』


「からかってないよ
俺もそう思うもん
目指すものがあるって素晴らしいことだもの」


『うん、いい結果を迎えられるといいね』


「ね、たとえ失敗しても
そこだけがゴールじゃないしね」


『俺らみたいに?』


「あはは、あれは俺たちじゃなくて
千葉さんたちでしょ」


『まぁ一度でもやれただけマシかなぁ…
あれはあれで楽しいし…』


「複雑なところだね

でも俺たちのゴールもそこじゃない
あそこはただの通過地点でしかないんだ」


『ゴールなんてどこにもないかもね』


「人は貪欲な生き物だからね

でも、それぐらいがいいんだろうね」


『うん、飽くなき欲求が人を成長させる』


「いいね
もうすぐ春が来る
たくさんの桜が咲けばいいね」


『そうだね』







巷の噂で今日がセンターだと聞いたので…
「なぁ戒君、ぶりっこして」


『何いきなり』


「戒君のぶりっこが見たくて」


「俺がしましょうか」


「やめれ目が腐る」


「なぁ戒君~」


『俺がやっても気持ち悪いだけじゃ…』


「そんなことないべ」


「俺も戒君のぶりっこ見たいわ」


「さぁ注目してくれ!!」


「戒君~」


『何をするのさ』


「上目使いで」


「何かねだって」


『ねだる…』


「我が輩に屋敷を献上してはくれまいか」


「ぶりっこじゃねえ!!」


「お前何様やねん」


『うーは、
おもしろくない、よ』


「ここで上目使い来たかあぁあぁ」


「冷たい言葉だが羨ましいっ」


「麗にぶりっこはもったいない!!」


「戒君、2人でエデンを作ろうか…」


「意味わかんねえよっ」


「戒君俺にもやってくれ!!」


『もうやんないww』


「「「くそ家鴨うぅぅ」」」




まったく
何がしたいんだ私はorz