銘柄紹介:IEA報告書を見て思う【長期投資】 | spider-thread-21のブログ

spider-thread-21のブログ

投資を通して皆が自分らしく生きられることを目標にしています

令和3年5月18日にIEA(国際エネルギー機関)の報告書が出ました。今日はこの報告書で考えたことをベースに銘柄紹介もしてみたいと思います。

 

石油と聞いて思い浮かべる組織はOPEC(石油輸出国機構)があります。これは文字通り石油産出国側の利益を守るための組織です。それに対して石油消費国側が作った組織がIEA(国際エネルギー機関)となります。IEAには石油という言葉が名称に含まれていませんが、明らかに石油を中心としたエネルギー安全保障のための組織だと思います。

 

18日の報告書では化石燃料への新規投資を取りやめることや、2035年までにガソリン車の新車販売を停止することなどを盛り込んだ工程表が出されました。今年11月に開催される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に向けた動きです。

 

上記の供給サイドと需要サイドの構図を見ると、このような需要サイドからの報告書は極めて政治的なものだと考えてよいと思います。IEAはパリに本部がありますが、米国の関わり具合は政権によって変わります。石油の中東依存を減らしながらエネルギー分野の主導権を取っていきたい欧州の狙いが見て取れますね。2019年のIEAレポートでは2040年の化石燃料比率がまだ74%となっていましたが、今回の報告書ではこの部分を2050年に再生可能エネルギーが占めるストーリーになっています。

 

<経済産業省資源エネルギー庁 HPより抜粋 出典: World Energy Outlook 2019>

 

石油の供給量に焦点を当てると、これから75%も供給量が減少することになっています。やはり政治的ですね。立派な名前の機関ですが、発信内容には注意が必要だと思います。

 

環境問題など様々なことを考えると勿論クリーンエネルギーが活用される社会はよいと思います。ただ、これからも石油需要自体は増加することが確実だと思いますので、石油メジャーなどが新規投資をするハードルが上がることは大きな弊害も生むと思います。世論、株主や環境団体からの攻撃をかわすために、これまではIEAからの新規石油投資の提言をうまく活用して投資していたものが、IEAの最近の方針転換で、石油への新規投資が一層難しくなるからです。

 

一部の識者が既に指摘している通り、これは既存の石油産出国側への依存度を増大させることになりそうです。IEAが設立以来目指していた石油価格の安定には逆行する流れとなりそうですね。北米のシェール・オイルなどへの投資はコロナ禍以降は抑制気味ですしバイデン政権下でも大きく伸びる環境にはないようです。今後はキャッシュ・フロー次第ですから、投資の活性化は石油価格が大きく上がることが前提となりそうです。

 

最近はガソリン車からEVへの転換が100年に一度の大きなイベントとして車業界の勢力地図を書き換えようとしています。ところが原油需要という角度から眺めると、乗用車の占める割合は25%前後と言われています。EV化が20年、30年で完全に進んだとしても、石油の需要が2050年に75%も減少するのかは大いに疑問です。

 

それよりもOPEC側やロシアなどの力が強くなることで需要が急激に減少するわけではない石油の価格が上がっていくことが予想されます。それに、産油国は長らく自国資源の恩恵に浸ってきたので、産業構造の転換は簡単ではなく、長い目で見て、もともと不安定な地政学的リスクが更に高まる可能性も十分にあると思います。ソフトバンクのビジョンファンドだけでなく、今後はオイル・マネーが金融市場に与える影響も更に大きくなるかも知れません。

 

こうしたことを考えると、石油依存度の高い国々は太陽光発電、風力発電、地熱発電などへのシフトを更に加速して進めなければならないかも知れませんね。

 

さて、日本はと言うと、そもそも世界で最も石油資源を中東に依存している国と言われています。日本は国債の発行残高が凄まじいので、中長期的に悪い意味での円安が進む可能性を否定できません。円安と石油価格高騰がダブルで起きた場合、日本の物価に与える影響や石油化学製品などその影響の及ぶ範囲が懸念されます。

 

ただ、メタンハイドレートやバイオマスなど日本には中長期的な展望もありますね。

 

最近のニュースとしてはイーレックスという会社がバイオマス発電への転換を進めようとしています。電力会社から火力発電の設備を安く買い取って活用しようというものです。燃料に使用するのはソルガムというイネ科トウモロコシ属の植物です。ソルガムはセルロースナノファイバー、バイオプラスチック、飼料、サプリ、デンプン、糖分など様々な利用が可能で、利用後の残渣を固形燃料(バイオマス)として使うことが可能です。イーレックスの進む道は、そのフレームワークやビジネス・モデルが中長期的に面白いと思います。

 

イーレックスのチャートを貼っておきます。抵抗ラインを突破しており今後は短期でも長期でも有望なのではないかと思います。僕はまだ買っていないのですが、ウォッチリストに入れました。