金利上昇が予測される中、銀行株を保有しようかと考えている人もいるかと思います。そこで銀行株を買うべきかどうか考えたいと思います。
銀行株を買う理由を少し考えると以下のようなポイントがあるかと思います。
① メガバンクの配当が高い(三井住友:5%、三菱UFJ:4.3%、みずほ:4.4%)
② フィンテックへの高い期待感
③ コスト削減による利益率向上
個人投資家にとっては高い配当が魅力的ですね。
次に、皆さんもご存じの通り、銀行にとって情報システムの安全性は非常に重要です。個人情報が洩れてはいけませんし、全国のATMはどこであろうとお金がおろせないことがあってはいけませんね。メガバンクは各行で凡そ1,000~1,500億円程度を情報システムの運用・保守に投じていると言われています。これは固定費ですから大きな負担であり、銀行がフィンテックへの果敢な投資をする上での足かせになっていると言われています。ですから、2017年1月に三菱UFJはアマゾンのクラウドサービスへの段階的移行を発表したわけです。メインフレームからクラウドへの移行は固定費削減効果が大きいと報道されていますね。
そして、銀行は数多くの店舗運営を行っていますが、これを順次軽量化していく流れとなっています。銀行に勤める方々にとっては厳しい部分がありそうですが、人件費削減はAIの流れでは確実だと思われます。そして、銀行が持つ個人情報はAIの活用で、やり様によっては莫大なビジネスチャンスを秘めていると思います。
それでは銀行株を買わない理由はどうでしょうか?
① クラウドへの移行が遅れている
② 低金利下の稼ぎ頭は海外収益だがこれ以上の増加は難しそう
③ 国内収益改善の道のりが長い(付加価値創造よりもコスト削減の比重が大きい)
フィンテックへの投資を加速するには勘定システムも含めたクラウドへの移行が必要ですが、なかなか計画通りに進んでいないようです。そして利益率の高い海外ビジネスを今以上大きくするのは邦銀としてはリスク管理上難しいように思います。すると収益改善は国内ビジネス如何と思われます。ですが、その施策は人員削減や店舗経費削減がメインにならざるを得ません。ここをスピーディーに押し進めることは日本の労働法の下では難しいと思います。最近は日本の金利がこれから上がることが銀行にとってプラスになるという論調ですが、これに余り期待は出来ないと僕は思います。なぜならば銀行の融資ビジネスはGDPビジネスと言われるように、その国のGDP成長率と強い相関があると言われているからです。金利が上がって日本のGDPが成長するのをイメージするのは難しいです。
蛇足気味ですが、もう一つ付け加えると、日本は自然災害の多い国です。もし南海トラフなど大きな地震が起きた場合は、100兆円規模の予算が必要になるかと思いますが、日本の財政赤字は今でさえGDP比で260%を超える物凄い状態です。更なる国債発行をしてファイナンスしようとしても海外からの信任を得ることは難しい可能性があります。その場合、国債価格が下がるなどの影響があり邦銀の財務を棄損すると思われます。まあ、この部分は国債を保有している邦銀株だけにリスクが極端に集中しているわけではありませんが・・・。
いずれにしても、様々なコスト削減で利益が5年、10年で10%~20%押し上げられたとして、邦銀株への投資に妙味があるかの判断になりそうですね。短期から中期であれば、配当が良いので投資妙味があるかも知れません。長期であれば、わざわざ邦銀株に投資するよりも、ビジネス展開がより国際的な企業に投資をした方が賢明かも知れません。
僕個人は銀行株は海外の銘柄を複数所有していますが、邦銀株は今年2月に全て売却しました。ニュースによると各行は貸倒引当金を積み増しているようですので来年以降は要注意かも知れません。この先、トレンドを見て短期や中期で売買することはあると思います。