日本の製造業を考える【長期投資】 | spider-thread-21のブログ

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日本で長期投資をする上で知っておいた方がよい製造業の立ち位置について考えたいと思います。

 

下の表は内閣府の「国民経済計算年次推計」の資料です。日本の製造業はGDPの20%程度で推移しています。先進国で製造業比率が高いのはドイツで20%+程度です。ですので、日本はドイツの製造業促進事業などに注目しているようです。ちなみに米国、英国、仏国などは10%~12%程度、中国や韓国では30%程度です。日本の全人口に占める製造業就業者数比率は韓国とさほど変わらないようで、その他の国と比較しても高くなっています。中小企業などがアジア圏の競合と競って低賃金で頑張っている可能性が感覚としてはありましたが、データ上でもそのようです。

 

<内閣府HPから抜粋>

 

次に労働生産性を見たいと思います。以下は公益財団法人日本生産性本部の資料で、就業者1人あたり1時間に創出している成果です。日本は残念ながら先進国最下位です。経済産業省の過去のレポートでは全産業における生産波及効果は日本においては製造業が高く、経済全体への波及効果が大きいとしていました。これはガソリン自動車などのサプライチェーンを考えると正しい分析だっただろうと思います。実際に一人当たりの所得と製造品出荷額では愛知県が最上位に位置していました。

 

<公益財団法人日本生産性本部HPより抜粋>

 

最後に、世界各国の主要都市における労働コストを見たいと思います。スイスが高いですが、時計や精密加工の分野では存在感がありますね。中国の人件費が上がったなどとよくメディアで騒がれたりしますが、日本の労働者コストは中国の4~5倍になっています。そして、中国の労働コストはアジア新興国の4~5倍になっています。

 

<JETRO HPより作成>

 

これらのことを考えた場合、日本の生産性が低いのはあたり前のように思われます。労働コストが場合によっては25倍する先進国の日本で頑張って「モノづくり」をしているからです。製造業従事者の給料が上がるとは単純には考えられません。アナログ時代ならまだしも、デジタルの時代に、日本でしか製造できない高度製造品に本当に特化できているのかということです。もし出来ていた場合、日本企業は高度製造品を破格の値段で売っているのかも知れません。ドイツの場合は、国力に対してユーロが安いので、輸出産業が恩恵を受けていると言われます。ただ、実際にドイツと関わりの多い僕の意見では、彼らはかなり高付加価値の分野で製造業を行っており値段も相応に高い印象です。上の労働コストを眺めると製造の海外移転はコロナ禍で若干鈍化したとしても止められない趨勢のようです。

 

知り合いの話によるとここ数年、AIの技術者が全く足りず、新卒で1,500万円を用意しても獲得できないそうです。若い世代の人たちが製造業の労働生産性の低さを見ると、ブラック企業をイメージしてしまうかも知れません。すると情報感度が高く、優秀な人材ほど違う分野や違う国・地域を選択するようになると思います。大手であっても機動的な経営をしなければ、10年後の風景は全く異なるものとなりそうです。

 

製造業で長期に生き残って成長する企業は、圧倒的な開発力、製造技術、シェア、営業力(付加価値提案力)を持ったところになるでしょうね。一例をあげると、最近、好決算ですが、株価が下落している村田製作所などになるでしょうか。村田製作所はセラミック・コンデンサーや様々なRF系のモジュールで圧倒的な競争力がありますが、同時に、リバース・エンジニアリングをしてもコピーができないと言われるような製造技術も保持しています。

 

いずれにしても、世界はネットでつながっていますから、国や経営陣の変化が遅れた場合、個人の力量の集積が日本を変えざるを得ない状況に進むと思います。長期投資をする上では、そのあたりも冷静に見ておく必要があるかと思います。