赤信号で立ち止まって
いつもより軽い手首に気づく
馬鹿げた問いが不意に浮かんだ
「僕は何時何分を生きてるの?」
薄暗い土曜日はそれでも
怖いくらいにざわめいていて
意味のない焦燥に震えた
「僕は何色なんだろう?」
いつから こんなに遠く
空は 冷たくなったのか
アスファルトの感触だけは
痛いほど鮮明で
ここにいるって教えてよ
嘘じゃないって 笑ってよ
「僕」を作るすべてが
滲んで溶けてしまいそう
ここにいるって教えてよ
僕がいるって解ってよ
無彩色の雑踏に
飲み込まれてしまう前に
聞き覚えのある名前が
砂嵐の中 響いたような
そんな気がしたんだ
『思い出してよ』
そう言って 君は泣いていた
「思い出したよ」
『ここにいるって教えてよ
嘘じゃないって 笑ってよ』
無責任な約束が
それでも 優しかった
『ここにいるって教えてよ
僕がいるって解ってよ』
僕は解ってるよ その 声が届く先を
無彩色の雑踏に
今、小さな色が咲く
20130516
「無彩色の雑踏」
この言葉がぱっと思い浮かんで、そこから展開した詞。
Lost articleあたりとはかなり似ている気がしますが・・・
「」『』の区別に凝るのはいつものことですが、できるだけ素直な言葉で書いたつもりです。
半年ほど寝かせていたのでけっこう手直しが入っての投稿になりました。
これも結構展開としては不規則なので、どんな曲をつけようかと妄想が広がりますね。