景気回復の実感が湧かない日本の経済だが、実態的には中国のぶら下がりにすでに成り下がっている。しかし、多くの日本人はそう思っていないだろう。中国から多くの観光客の来訪や爆買いの様子を聞いて、日本の方がまだまだ上と思っているかもしれない。また、TVや動画でも日本ってスゴイ!という自画自賛的なものが蔓延っている。残念ながらそれらはもう妄想に過ぎないと言っていいだろう。全体的に見れば、保守的で複雑窮屈な社会システムの中で、余計で複雑な工夫をあちこちに施しているところが神業的に見えるだけのことであって、現実は先進国から外れかかっているといえる。その原因は当然、保守的で閉鎖的な日本の社会システムである。もちろん、思考的にも指向的にもそうなっている。現在の中国人が日本に抱く印象はもう次のようなものである。
http://diamond.jp/articles/-/152598
元々、少なくとも現代中国人はある意味品が無く、成金趣味的なところが強いし、何でも新しくてキンピカが好きというような民族的傾向がある。だから、それが基となっている感想をこそ、そのまま真に受ける必要はない。しかし、無視できるような状況ではもうないことは確かだろう。
一方、話変わって、北朝鮮の核問題。日本人のある意味変な落ち着きは現状のところよい方向で出ているが、残念ながら、アメリカが何とかしてくれるという以外何も考えていないだろうと思う。そんなことより、SNSやスマホゲームが楽しい、最新話題のアプリは何か、で思考停止という気がする。
人気取りのために軍事行動を取りかねない、おバカ大統領トランプが本気で日本を救ってくれるかということを心配した方がいいだろう。仮に本人はその気でも、国防省とかの取り巻きが従うかどうかはかなり疑問だ。日本が法的に軍事行動に出ることはできないから、プロ市民や左翼が実質的に有効な対策を希望する抗議先としてはアメリカ大使館に行くべきである。地位協定の状況からすれば、日本政府に言うより米国だ。
地震ではなく、非常電源を津波でやられて冷却ができなくなった福島原発を地震不安で差し止めするより、あちこちで起きている紛争と犠牲の現実を見て、アメリカ本体に文句を言うべきだ。国会議事堂前ではない。それで結果を出してこそ左翼の面目も立つというものだろう。そういうことを本気ではやって来なかったし(アピールしにくいからだろう)、国民生活に反映できなかった。だから、多くのまともな国民から信用を失ってしまっている。抗議の声だけはでかいが的を外している。
同様に長期の国内限定平和によるボケが右にも蔓延していて、北朝鮮を懲らしめろという希望論でアメリカの軍事行動を支持する人も多い。日本が無傷で済むわけはない。朝鮮戦争時と違い、相手は明確な飛び道具を持っているのだ。しかも、その実行を決めるのはキムぼっちゃま。基本的には脅し口調ばかりではあるが、米国が本気で軍事に出たら、おぼっちゃまだけに何をしでかすかわからない。簡単に今のバランスが崩れるとは思わないが、起きたら、私もブログ更新は不可能だろう。以下が参考になる。
http://diamond.jp/articles/-/156198
さて、これらに共通した基盤は何だろうか。戦後の日本の反省姿勢と経済的成功、保守的閉鎖的社会システム(日本文化そのものともいえる)によって、戦前、日本は神の国だから、いざとなれば神風が吹くからと信じて冷静に対策を練らなかった当時の軍部や国民と、現在の国会や庶民と同じだということである。さらに、言えば世界をきちんと冷静に判断することができなかったし、そういう舵取りができる人材も稀少で発言力が与えられなかった。そして、国内の中で議論を回していて、左翼が邪魔と混乱を助長し、堂々巡りをやっている(北を対話で解決というなら、左のカラーを活かして相手と交渉したらどうだ。小泉首相でさえできたのだから)。全て内向きで世界の中での立ち振る舞いを取ることをしなくなっている。
一体どうすればいいか。明治や昭和初期や戦後初期のように外に向かう意識、もっと露骨に言えば、政治なり、技術なり、経済なりで外国を手玉に取ってやるという、ある意味成り上がろうとする意識と、目的を明確にする意義をしっかり把握することが必要だ。戦後、日本人は敗戦国民族として委縮しすぎたし、豊かさでダレている。
優秀な人間がいても留学する人間は少なくなっている。留学しないにしても、海外での活躍を目指すことをしなくなっている(M&Aだけは進んでいるが)。実際に海外で暮らすのは容易ではない。それについては前にも触れたが、現地の人間になるのでなくても派遣されてビジネスなりを自分や国益のために取ってくるという意志が今は希薄ではないかと思う。自信もないのだろう。
海外に行こうなどというつもりがない、もしくは行きたくもないくせにTOEICの点数だけは高得点にとだけ努力するような人間が日本には多すぎる。時間とお金とエネルギーを費やして、結局は使わない資格取得(それも目的があってではなく、単に資格として言えるため)に過ぎないもので終わらすというのが最悪なのだ。ほかのことで努力して世の中に貢献してもらった方が日本のためである。