辞書も英英、英和、和英、シソーラス(論文などを書くときに有効)などたくさん持っているが、電子辞書は歴代3つ。全てセイコーインスツルメント(以下SIIと略)製で中古である。
最初に買ったのがSR-E10000。古い液晶型画面でコンテンツも多くない。暗いためバックライト機能もついてるが、電池の消耗が激しい。バックライトを多用しなければ単四2本で最低半年超は平気で持つ。コンテンツは少なかったが使い勝手は非常によく、とても気に入っていた。が、中古のため、1年半ぐらいでキーボードの一部の反応が不調になり始め、次に購入したのが、SIIが電子辞書製造をやめたときの最後の傑作DAYFILERシリーズの一つ、DF-X901Bである。英語強化モデルだけあって、SR-E10000より格段にコンテンツが充実。リーダーズの3版が入っている。一方で The Oxford Dictionary of English(ODE。OEDではない) が無くなった。ODEは結構使っていたので継続してほしかった。
また、旧型と違って、TOEICの模擬テストがいくつか入っていたり、『ロイヤル英文法シリーズ』が入っていたりと至れり尽くせりのコンテンツ。ただし、これらを使うことはほとんどない。実物が手元にあると、電子辞書で検索やスクロールをやるのが却って馬鹿馬鹿しい。線を引いたり、新たに書き込みしたりしているので、電子辞書ので調べることは今はない。
問題は電池。でかい電池が内蔵式で入っていて、充電に時間がかかる割に消耗が激しい。カラー液晶とOSの問題が大きいようだ。さらに起動とキーボード反応に時間がかかる。相当にOSが重いようだ。SRの軽快さは全く無くなった。その原因がDAYFILERはスマホのように指先タッチのスクロールができる仕組みになっていることだろう。少しでも長くと照度を最小に落とすのが精一杯。
こうして、実質的にDAYFILERに移行したが、さらに理工向けのDF-X900Rも購入。理由はSIIがもう電子辞書から撤退したので、SRのように故障とか使えなくなったときの予備としてである。それに英語強化モデルの方が電池が弱っている感じで消費が早いようだ。自宅では理工向けを使い、会社では英語強化と使い分けして分散使用している。これで壊れることをある程度遅らせることができる。違うコンテンツのモデルにして、充実度も確保した。両方とも中古だったこともあって、2台(実は3台全部)でも一番の英語プロ用のDF-X10001より安い。自分の場合は英語強化モデルで十分である(理系の方にはLongmanが無いのが残念である)。
三省堂の辞典が入っていないのが残念だが、正直、あまりに辞書が多すぎても検索後に目的のものを見つけるのが大変で、翻訳家でもなければこれで十分すぎるともいえる。
リチウムイオン電池が特殊なようで壊れたときに入手できるか、キー故障は起きないかと心配で、紙の辞書と違って安心できないのが難点である。紙の方は40年とか50年のものが実績として持っている中にあるが、電子辞書がそこまで持つことはないだろう。
電子辞書は寝転がっても使えるが、やってみるとあまり使いやすくない。SR-E10000は軽かったが、DAYFILERは少し重い。電池の問題が大きく、いちいちスイッチオフをかける(もう使わないとなると電源オフで完全に落とす)。これが面倒だし、全辞書一括検索ではいちいちリセットされて入力しなおすことが多くてとてもいらいらさせられる。それと自分が気に入ってよく使っている辞書の方が意外に意味がよかったりすることもあって、いつも手元には、お気に入りの英和、DAYFILER、使いやすい英英(お気に入りというほどではない)の3つを手元においている。傑作と言われるPOD5版もおいているが、残念ながら現代で使用するには見出し語だけでなく、意味の方でも抜けが多く足りなくなっていて、あまり手を出さなくなった。以前はこれが一番手になっていたが、最近は厳しい。それだけこっちのレベルが上がったのだろうという都合のいい解釈をしている。
そのお気に入りの英和や使いやすい英英は何か。実はどちらもかなり以前に絶版になっている。入手は困難。古書もあるが高値がついていて、電子辞書より上だったりする。なので推薦は控える。その英和は小さいながら語彙が多く、意外に困らない。手頃な大きさで引きやすく、これほど引くことが楽しい辞書は初めてだった。寝転がっても引ける恩恵が自分にはかなりある。
論文を書くときには和英はもちろんのこと、英和でも別の辞書を活用する。これも四半世紀以上も前に絶版。その代わりになるものがなく、こちらも紹介はやめておく。正直、自分で実物を見て判断しないとこういうものは自分の手足になってくれない。
DAYFILERはコンテンツが豊富なのと例文検索が絶対的に優位だから使ってるが、SRより使い勝手は悪くなり、面倒でいらいらさせられるということもあって、使う率が通常で1、2割程度と低く、英文を書くときに3割強ぐらいである。例文検索に限ればさすがに電子辞書が圧倒的で8割ぐらいになるが、それでも、辞書読みした辞典でどこの辞書にもない表現とかがあったりするので、全面お任せにはならない。辞書読みした辞書がコンテンツに入っていたら使わないかもしれないが。
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電子辞書がいくら高機能で駆使しようと辞書読み後の感覚に到達する気がしない。やはりお気に入りの辞書を読みながらずっと引きまくって使い込んだものには勝てそうもない。いつまでも古い辞書では問題だろうが、傷んでいくにしてもプロでもなければ大事に扱えば十分に長持ちするので、自分の英語の核としていつまでも使い続けることは可能だ。そういう意味で最初の辞書選択が肝心。
登録している電子辞書があるのかどうか知らないが、現在の英語辞書群の中で異色なほど正確さにこだわったものとして山岸勝栄氏の辞書群がある。特に学習者にお奨めしたい。ただ、語数が十分ではないので、そのあとは一足飛びにどれかの英英に行くといいだろう。