大卒サラリーマンは中学入試を解けるか?(当世中学受験風景) | An Ulterior Weblog

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関連企業で仕事をお願いしている人たちが何人かいる。そのお一方のお子さんが私立中学を受験するという。そして、受験先からもらった過去問をやらせたところ算数の問題が全然解けなくて、危機感を持った。何でできないのかと自分がやってみたら、やはり難しくて解けない。それで解いてくれないかと言う。


職場のある地域は謂わば田舎だ。進学校の私立中学があるというのにまず驚いた。競争率は例年1.2倍前後だという。自分と自分の家族や周囲の状況で中学受験は信じられなかったので、なぜ受けることにしたのかを訊いた。配偶者がそこの出身で入りやすいというのと、このあたりの中学と高校の事情によることがわかった。普通に中学に進んで、塾にかなりのお金を注いでいるのに希望の公立進学校に進めない事例が周囲に多いという。それを知って、中高一貫のその私立に行かせることにしたのだそうだ。たしかにその高校からはいい大学に行っているのが調べてわかった。しかも塾代を考えると出費には大差がない。


職場には有名難関大を出た人が圧倒的に多い。旧帝大に東工大、筑波、早稲田、慶応といった連中が転がっている。ほかに高専出身などがいる。私の直下の部下は京大大学院の修士を出ている。問題をもらって2人で解いてみた。これが結構難しい。大問で8つ。小問合計20問で5点配点になっている。単純な計算も難問も全て5点。これを40分で解かなくてはいけない。1問2分。全問正解は不可能だと思った。できないことを前提にしてるとしか思えなかった。単純な問題は30秒ぐらいで片づけて時間を稼ぐなど時間配分ももちろん要るが、文章を理解して条件を抽出して回答戦略を取ることを要求していたり、中には明らかに中学の範囲の知識を使わないと解けないものがある(範囲逸脱でなくても、高校の数列や行列への接続を意識したようなものまであり、出題者は相当意識が高い)。残念ながら京大の部下はあまりうまく解いてくれない(ほかの人にも渡してみたが同じだった)。これではお子さんは理解できない。問題を解くことはそれほどでなくても、小学の範囲でわかる回答を作ることが大変なのである。あとである問題集があって、その解答も見たが、どう考えてもわかりやすくない。そんなこんなで結局、私が全部解く羽目になった。しかも、受験まで残された時間は1ヶ月ちょっとしかない。(家庭事情で受験を決めたのが直前だったため)


まず、過去問2年分の2形式4セットの入試問題をやった。これだけでは足りないから、塾経由でさらに過去問を集めてもらった(塾や学校で教えてもらえばいいのだが、実は、その説明がよくわからず、私のがよくわかるというので、完全に頼られてしまった。塾は落ちるものと端から思っているような冬期プログラムを組んでいる始末だった)。現在の指導要領になってからの2年分を追加して計4年分8セットをやった。中にはえらく難しいセットがあって、生徒の点数は相当下がっただろうと思ったら案の定、翌年はまた元に戻ったりしていて、比較的傾向が安定していることもわかった。数学というと受験のときには『大学への数学』というのをやったが、その下の『高校への数学』というのもあった。しかし、調べると『中学への算数』というのがあることを知った。時代は変わったというべきだろうか。全入時代になったにも関わらず、こういう雑誌で商売が成立するというところが皮肉である。(考えろよ日教組と文科省!ちゃんと仕事しろっ!)


とにかく160問全部の解答を作り、解説も加えて渡した。ときに理解できずに説明を求められるものがあったが、それは中学の範囲で、こればかりはどうしようもないから覚えてほしいと伝えた(公立高入試にそのまま使えそうなのが毎年出されていた)。あとは本番練習もするよう指示して頑張ってもらうことにした。連日、夜遅くまで一緒に算数の問題と格闘したようで、寝不足に陥っていた様子だった。


今年は受験者多く、競争率1.5倍超。準備期間があまりに少なかったのでただでさえ希望が薄いのにこれでは厳しいかと最初から親と私は敗戦ムードだった。親は知合いから中学受験を無理矢理やらしているのではと批判されたり、お子さんもなかなかうまく解けずに癇癪を起して、明後日には試験だというのに親と大喧嘩するなど、暗雲が立ち込めた。仕方ないので、本人と面識のある私はお子さんに語りかけるメールを送ることもした。また、お子さんの受験についてはクラスには知られないようにしていたが、ほかの学区のお子さんは知られてしまい、何が何でも受からないといけないような状況に追い込まれ、少し遠い塾への送迎を急遽始めたとも聞いた。


そして、試験の日を迎えた。試験開始と同時に親の控室にも問題が掲示された(問題は持ち帰れない)。それを親が列をなしてタブレットやスマホで順番に撮影していったという。そのあとに親子で面接に臨む。内容的にはいい応対だと思ったが、そこで親もびっくりのお子さんの発言。「小説家になりたい」。今まで聞いたこともない発言に一番驚いたのが隣に居た親の自分だと言っていた。

懸念の算数は後で見せてもらった画像から本人が解けなかったという問題をその場で解いて解説した。全体的に傾向は例年どおりだが少し形を変えていた。本人は出来たと言うが、こればかりは何とも言えない。

試験翌日に合否の通知が速達で発送された。さて、結果は。。。合格だった。そのメールでの連絡を私は喜んだ。受かったこともそうだが、もう問題を解かなくていい自由の身になったからだ。



※入学直前の3月下旬、年明け以降にある複数の試験の合格者を含めた全合格者をクラス分けするための選別試験があると連絡が後日あった。すでに解答した分の一部が対象になると推定されるので新たにすることはないが、科目が増えるし、それなりの準備をしておかないと不味いだろうと伝えた。今後の人生を左右することになるだろう学校の選別に努力は必要とは言え、今の小学生も親も大変だ。

ちなみに過去問以外、役に立たなかった塾は全国チェーンの明光義塾である。