2021年12月31日(金)
23時30分 大阪難波駅
例年、大晦日から元旦にかけて鉄道会社各社では終夜運転を行い、初詣需要に応えてきたわけですが、
新型コロナウイルスが蔓延しだした2020~21年は密を避けるように政府からお達しが出ていたため、全社終夜運転は取りやめていました。
そして、2021~22年にかけても各社変わらずに終夜運転を取りやめ、終電の発車時刻を繰り下げる対応を取っている中、
近鉄のみが一部路線は除くものの終夜運転を実施すると発表がありました。
近鉄は名古屋、京都、大阪難波と大都市に路線があり、沿線には誰もが知っている伊勢神宮をはじめ
多くの寺社があることが大きいと思われます。
詳細情報を見てみると、名古屋と大阪難波から伊勢神宮の最寄りの伊勢市を通る宇治山田行きの特急ひのとりが設定され、
ひのとりの運行開始は2020年3月なので終夜運転では初登場というのが最大の目玉だったようです。
是非とも史上初の終夜運転対応のひのとりに乗車しようと年越し間近の大阪難波に到着しました。
大阪難波発のひのとりだと0時、1時、2時発の3本が設定されていて、
特急券は0時発のレギュラーシートを確保済みで、改札を抜けて2番のりばに降り立つと、
まだ発車30分くらい前なのにえらく人が列を作っているのを目にしました。
列を作っていたのは0時発ひのとりのすぐ2分後に出発する臨時快速急行の奈良行きに並んでいた列で、
車両は20000系の楽という団体専用列車が充てられていて、普段は団体ツアー料金を払うなどしないと乗車できませんが、
無料で乗れるということで多くの客が殺到したようです。
発車20分くらい前からは乗車定員が決められていることから列車に乗れない場合もあるというアナウンスが繰り返し流されていました。
そんな様子を尻目に23時53分ごろに6両編成のひのとりが2番のりばに6両編成で入線してきました。
大阪難波は2面3線とホーム数が少ない中で非常に多くの列車を裁かなければならず、さらに特急の始発・終着駅でもあるため、
西側にある阪神なんば線の桜川に向かう途中に引き上げ線が1本、さらに桜川の次のドーム前へ向かう途中にもう2本設定され、
昔30分くらいホームで見学していたときには特急が到着するとすぐに回送列車として引き上げ線に向かうなど、
せわしなく列車が行き来していました。
それでも同じホームの発車時刻間隔がわずかな場合はホームが非常に長く作られていることを生かして縦列停車という手法を使うようになっています。
今回は同一ホームに0時と0時2分と2本立て続けに発車することから、
ひのとりの後ろに楽が停まるという珍しい光景を23時54分ごろに目にすることができました。
大阪難波0時→宇治山田1時54分
ひのとり5403列車
正確には乗降ドアが閉まったころだと思いますが、発車と同時に年越しとなり、
初めて年越しの瞬間を列車の中で迎えることができました。
乗車時には車両さんがこんな缶バッチを渡してくれて、
途中駅からの乗客には渡されなかったので、始発駅から乗った者にのみ与えられるサービスでした。(おそらく)
近鉄特急には俗に停車駅の数の多さで甲特急(停車数少なめ)、乙特急(停車数多め)と分けられていて、通常走っているひのとりは甲特急の部類に入ります。
ただ、今回乗車した5403列車の停車駅は大阪上本町、鶴橋、大和高田、大和八木、榛原、名張、伊賀神戸、榊原温泉口、伊勢中川、松阪、伊勢市ということで、乙特急にあたる停車駅数でした。
列車は鶴橋を出発して布施を通過すると、奈良線と分かれて大阪線を南東方向に向かって進んで行きます。
次の停車駅は奈良県の大和高田なわけですが、河内山本を通過する手前で減速をし徐行運転を始めました。
おそらく通常の営業列車が先行していたためか近隣住民への騒音配慮なのかと思いますが、
いつもだと速度を落とすことなく走り抜けてしまうので、臨時列車に乗っていることを感じさせてくれる瞬間でした。
大阪府と奈良県の県境にある田尻峠はスムーズに通過して、大和高田に到着する直前に再び徐行運転となり、
しばらくして通常の速度に戻ったところで到着。
大和高田を出発して大和八木から先は山間部区間を走っていきます。
すでに時刻は0時30分ごろで走行中のひのとりはあまり車体が揺れないわけですが、それでも微妙な揺れを受け続けていたため、
大和高田出発以降の記憶がなく、目が醒めるとそこは伊勢中川を出発したころで、気を失っていた間に6駅も停車していたようです。
列車は大阪線から山田線に入ったところで、松阪に停車。
松阪まで来ると、伊勢神宮は目と鼻の先の距離にあり、10分ほどで伊勢市に到着。
ここでかなりの乗客が下車しました。
伊勢市は伊勢神宮の外宮の最寄り駅ということで、JR参宮線も乗り入れている伊勢神宮の玄関口にあたる駅になります。
伊勢市を出発すると3分で終点の宇治山田に到着。
宇治山田2時38分→大阪難波4時27分
ひのとり3204列車
6両編成のうち1号車に乗車しました。
1号車ということは…分かる人には分かると思いますが、プレミアムシートに着席して戻ることになりました。
デッキから階段を登ってプレミアム車内に入ると五十鈴川から乗車した人が多く着席していて撮影はしにくかったので、撮影は控えることにして、
帰りは寝ないようにデッキのコーヒーサーバーで淹れたホットコーヒーを飲みながら過ごすことにします。
停車駅は伊勢市、松阪、伊勢中川、榊原温泉口、伊賀神戸、名張、榛原、桜井、大和八木、大和高田、鶴橋、大阪上本町でした。
伊勢中川を出発してすぐに行きでは寝落ちして見れなかったデルタ線を通過。
伊賀鉄道のホームが隣接されているわけですが、到着時刻が3時15分だったので電気はついておらず寝静まったままでした。
名張、榛原と停まっていき、行きでは停車駅になかった桜井に到着。
JR桜井線への乗り換えが可能で、到着したのが3時50分でしたが、JR西日本では終夜運転は行わず終電の繰り下げをするに留まったので、
もしも桜井線への乗り換えをする場合には朝6時前の始発まで待つことになったことでしょう。
1号車からは桜井で下車した人がいましたが、おそらく桜井に停車するひのとりはかなりレアなので、
特急券に桜井とひのとりが列記されたきっぷを発券したものと思われます。
大和八木を過ぎれば、市街地の中を通って行きます。
まだ夜が明けない時間なので、街は静まったままなのが新鮮でこれもまた夜行列車に乗っているような気分でした。
大阪上本町を出発すると、終点の大阪難波に到着することを伝えるために車内の照明がブルーに変化して、無事に到着。
大阪難波と宇治山田間を0時から4時27分までひのとりで往復したわけですが、
ひのとりはレギュラーシートも含め全席バックシェル構造ですから、シートを完全に倒し、特に帰りのプレミアムシートはまるで寝台特急に乗っているような状態で移動することができました。
寝台特急は現在はサンライズ出雲・瀬戸が残るのみで、なかなか乗るチャンスがないわけですが、かつて走っていたムーンライトながらに乗っているような感じでした。
ということで題名にもある通り、以上でミッドナイトひのとり(※)乗車記を締めたいと思います。
※ミッドナイトひのとりは勝手に弊ブロガーが名付けたものです。