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感触。

君との繋がりは、溢れる程の優しさのおかげで、信じられる様になった。
言葉なくとも、君の想いは不思議と解る位に。

けれど君と離れる刹那、心では大丈夫だと思えるのに、身体は無意識に君を覚えていたがる。


私の掌に丁度収まる君の顎のカーブや、決して平らに寄り添う事のない私の筋と君の骨。
それらに伴う熱と安堵に触れたくて、私の身体は君に惹かれていた。

君の髪型、骨格、色彩、姿形を鮮明に、瞼の裏に焼き付けたくて、私の瞳はいつも君の姿を追っていた。

声音は勿論の事、呼吸、鼓動、寝息すら君のモノなら愛しくて、私の鼓膜は小さく震えた。


それでも。
どんなに繰り返し覚えても、時が経てば、感覚の輪郭は歪んでいく。
どんなに熱くても熱はやがて冷めるし、感触を保ち続ける事は難しい。
記憶の像を本物だろうかと疑ってしまうのもやむを得ない、雑踏に紛れて聞こえなくなる音もある。

悲しい事に、君の全てを失わずにいられはしないのだ。

それで私の身体は必死になる。
失わずにいたいのに、と無意識に君を欲する。
その穴を埋められるのは君だけで、その隙間は私を酷く痛めるから。


この先、君の何をも失いたくない。

五感に触れるモノは勿論の事、君への想いも君からの気持ちも。


例えばいつか君が思い出になるのなら、いっそ何も残さずに私の全てをさらっていってしまえば良い。


君を感じられない身体など要らない。

孤独とのたたかい。

君なしじゃ生きていけない。


多分ソレは事実なんだけれど、向かうべき方向は全てを依存する事じゃない。

私が求めているのは君の力じゃなくて、君という存在だ。

『大丈夫。』
そう感じさせてくれる君の暖かさや、
『独りじゃない。』
そう伝えてくれる君の優しさ。

それで充分頑張れる。
時々どうしようもなく見失ってしまう自分だけれども、君を想うだけでまた顔を上げて走り出せてしまう。

これも依存と言えば依存なのだろうけれど、会った時には何事もなかった様に笑うから、頑張る為に君を心に浮かべる事はどうか咎めないで。


独りだと思って頑張っていける程、私は強くないんだよ。

帰郷。

おかえり。
会いたかったよ。

ずっと我慢してたモノ、君に会ったら全部飛んでった。
他には何も要らないっていうのは、こういう事をいうんだろうな。

うん、今なら自信を持って言えるよ。
君の隣で生きていきたい。
それが何処だって構わないや。



『行くか』って言ってくれた、君が生まれ育った街。
君が大好きなその街は、いつか私を受け入れてくれるかな。
君を育てたその街を、私もきっと好きになる。

いつか一緒に帰れたらどんなに素敵だろうね。