商法 | 司法試験 起死回生への道  

司法試験 起死回生への道  

屈辱の論文総合A落ちからどこまではい上がれるかを自己観察し続けるブログです



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商法第一問

一 設問前段について

 1 株主Bは、新株発行無効の訴え(280条ノ15)を提起す
  ることにより、Q社に対する新株発行の無効を主張するという
  手段をとることができないか。

 2(一) この点、280条ノ15は何が新株発行の無効事由と
     なるかについて何も規定していない。そこで、何が新株
     発行の無効事由となるかは、新株を引き受ける者の取引
     の安全や旧株主が受ける不利益を総合衡量して決すべき
     である
   
      まず、新株発行にあたって株主総会特別決議(280
     条ノ2第2項)を欠いたことが新株発行の無効事由とな
     るか。  
      確かに、新株の発行により、旧株主は株価の下落等の
     不利益を受けることになる。しかし、思うに、授権資本
     制度(280条ノ2第1項本文)を採用する現行法の下
     では、新株発行は取締役会の権限に委ねられているので
     あり、取引行為に準ずるものといえる。そして、特別決
     議を経たかどうかは会社外の第三者には不明確なところ、
     かかる理由を持って新株発行が直ちに無効になるとすれ
     株式を引き受けた者に対し不測の損害をもたらすことに
     なる。とすれば、株主総会特別決議を欠いたことは、新
     株発行の無効事由にならないと考える。

  (二) 次に、「特ニ有利ナル価格」で新株を発行した点につ
     いて、無効事由となるかも問題となるが、この点につい
     ても(二)と同じく、会社外の第三者にとっては不明確
     であることから、無効事由とならないと考える。
   
  (三) よって、Bは新株発行無効の訴え(280条ノ15)
     により新株発行の無効を主張するという手段をとること
     はできない。
   
 2(一) そこで、株価の大幅な下落という損失を受けたBは、
     266条ノ3に基づき代表取締役Aに対し損害賠償を請
     求するという手段をとることができるか。

  (二) そもそも、266条ノ3の趣旨は、株式会社が経済社
     会において重要な地位を占めていること、そして会社の
     経営が取締役の職務に依存していることから、第三者保
     護の観点から特に取締役の責任を加重した法廷責任であ
     る。とれば、悪意・重過失は職務懈怠の点にあれば足り
     ると考える。
      本問では、代表取締役Aは株主総会特別決議を経ずに
     発行価額の20分の1もの安値で新株を発行しており、
     職務懈怠につき悪意といえる。そして、損害には間接損
     害も含まれると考えるので、株価の下落という間接損害
     も266条ノ3の損害に含まれる。そして、株主も会社
     との関係では第三者といえる。

  (三) 以上より、BはAに対し、266条ノ3に基づき損害賠
     償を請求するという手段をとることができる。

二 設問後段について
 
 1 それでは、新株発行事項の公示(280条ノ3ノ2)がなさ
  れていなかった場合において、Bは新株発行無効の訴えにより
  新株発行の無効を主張することができないか
 
 2 そもそも230ノ3ノ2の趣旨は、新株発行が旧株主の利益
  にとって特に重要であることに鑑み、これを事前に公示するこ
  とにより旧株主に不当に不利益を被らせないために設けられた
  点にある。とすれば、かかる目的は旧株主保護のために特に重
  要といえ、新株が無効とされることにより被る株式の引受人の
  不利益よりも重大といえる。よって、新株発行の公示を欠いた
  ことは新株発行の無効事由となると考える。
 
 3 以上により、設問後段の場合においては、Bは新株発行無効
  の訴えにより新株発行の無効を主張するという手段をとりうる。
 
 4 また、設問前段と同じく、266条ノ3によりAに対して株価
  下落についての損害賠償を請求するという手段をとることもでき
  る。

                       以上

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商法第二問
 
一 A社に対する手形金の請求について

 1 甲はA社の代表取締役ではないから、甲には手形の振出権限はない。
  よって、甲が「A株式会社代表取締役甲」名義で手形を振り出しても
  本人たるA社には効果帰属せず、A社の追認なき限りCはA社に対して
  手形金の支払いを請求できないのが原則である。 
 
 2(一) もっとも、表見代表取締役の規定(262条)によりCが
     保護される場合には、例外的にCはA社に対し手形金の支払い
     を請求できる。では、Cはかかる規定により保護されるか
   
  (二) そもそも262条の趣旨は、会社の犠牲の下、代表取締役ら
     しい外観を有する取締役の行為を信頼した第三者を保護する点
     にある。
      まず、取締役甲は議事録を偽造し、A社の代表取締役に就任
     した旨の登記をしており、あたかもA社の代表取締役であるか
     のような虚偽の外観が存在する。そして、A社がかかる事態に
     ついて知りつつ放置したというのであれば、消極ではあるが
     「附シタ」と評価でき、外観作出についての帰責性も認められ
     る。
      さらに、「善意」であるが、手形取引安全をはかる観点から
     は善意無重過失であればよいと考える。そして、手形の転々流
     通性質からは、転得者も保護されると考える
  
 3 以上より、受取人BもしくはCが、甲が手形の振出権限がないこと
  について善意無重過失である場合には、262条によりCはA社に対し
  手形金の支払を請求できる

二 Bに対する手形金の支払請求について

 1 CのA社に対する手形金の支払請求が認められる場合には、Bに対し
  ても手形金の請求が認められることについて問題はない。では、Cが
  262条により保護されず、A社に対する手形金の支払請求ができない
  場合についても、Cは裏書人Bに対して手形金の支払請求ができるか、
  手形行為独立の原則(手形法77条2項、7条)が裏書にも適用され
  るかが問題となる。

 2 思うに、裏書に手形行為独立の原則が適用されないとすれば、手形
  行為独立の原則の意義が小さくなりすぎる。そこで、裏書にも適用さ
  れると考える。
   もっとも、手形行為独立の原則は、手形取引安全の観点から政策的
  に認められたものであるから、手形行為独立の原則により保護される
  ためには政策的に保護に値する事情が必要と考える。そこで、悪意ま
  たは重過失で手形を取得した者は手形行為独立の原則による保護は受
  けられないと考える
 
 3 以上より、Cが262条により保護されず、A社に対する手形金の支
  払請求ができない場合には、手形行為独立の原則による保護もうけら
  れず、CはBに対して手形金の支払を請求することはできない。

三 甲に対する手形金の支払請求について
  
   甲は取締役にすぎず、甲の手形振り出し行為は無権代表行為である。
  そこで、甲は無権代理人として手形上の責任を負う(77条2項、8
  条)。
   もっとも、8条の趣旨は手形取引の安全を図るための規定であるから、
  8条で保護されるためには無権代理行為であることにつき善意であるこ
  とを要すると考える。
   そこで、Cは、甲がA社の代表取締役でないことにつき善意であれば、
  甲に対して手形金の支払を請求することができる

                            以上

 再現率80パーセント