刑法 | 司法試験 起死回生への道  

司法試験 起死回生への道  

屈辱の論文総合A落ちからどこまではい上がれるかを自己観察し続けるブログです



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因果関係完全スルーでA。第2問は試験終了直後の主観では死亡
認定だったのに、辰巳の某講師からは跳ねAといわれたのでその
せいかもしれない。

一 甲の罪責について
 1 甲は殺意を持ってクリスタルガラスの花瓶でAの後頭部を
  殴打して頭蓋骨骨折の重傷を負わせており、殺人未遂罪(2
  03条、199条)が成立する

 2(一) その後、乙と共にAを山中に埋めているが、これば
     時間的にも場所的にも離れているため別個の行為と評
     価される。そして、まだ生きているAを埋める行為は
     殺人罪(199条)の客観的厚生要件に該当する。も
     っとも、甲はAがすでに死亡しているものと思いこん
     でいるため、殺人罪の「罪を犯す意思」(38条1項)
     がなく、殺人罪の罪責を問うことはできない(同条2
     項)では、甲の認識していた軽い罪である死体遺棄罪
     (190条)の罪責を問えないか。重い殺人罪の客観
     的構成要件の中に死体遺棄罪の客観的構成要件が含ま
     れているといえるかが問題となる。

  (二) 思うに、客観的に発生した構成要件と認識していた
     罪の構成要件が異なっていたとしても、構成要件該当
     性は実質的・規範的になされるべきである。具体的に
     は、行為態様、保護法益等の構成要件メルクマールを
     基準に構成要件面で実質的な重なり合いがあるかどう
     かを判断すべきである
  
  (三) 本問においては、死体遺棄罪と殺人罪は、行為態様
     の面では死体を遺棄する点と虫の息の人間を放置して
     死に至らせる点で重なり合いがあるとはいえるものの、
     保護法益面では、殺人罪は人の身体・生命の安全であ
     るのに対し、死体遺棄罪のそれは国民の宗教感情とい
     うように全く異にするものである。したがって、死体
     遺棄罪と殺人罪との間には客観的構成要件面での重な
     り合いはなく、甲が認識していた軽い死体遺棄罪の罪
     責を問うことはできない

 3 もっとも、まだAが生きていたことに気が付かずに生き埋
  めにした点について、重過失致死罪(211条1項)が成立
  する

 4 以上より、甲には殺人未遂罪(203条、199条)、重
  過失致死罪(211条1項)が成立し、両罪は併合罪(45
  条)となる。

二 乙の罪責について

 1 乙は甲と異なり、まだAが生きていることを知りつつAを
  生き埋めにして窒息死させており、殺人罪(199条)が成
  立する
  
 2(一) さらに、乙は甲とともにAを生き埋めにしているこ
     とから共同正犯(60条)が成立するか

  (二) そもそも共同正犯が「すべて正犯とする」とされる
     のは、特定の犯罪を実現する意思で相互に相手の行為
     を利用補充しあって特定の犯罪を共同して実現した点
     にある。とすると、本問では甲は重過失致死罪(21
     1条1項)、乙は殺人罪(199条)を行っているの
     であり、特定の犯罪を実現したとはいえないとも思わ
     れる。
      しかし、それぞれの構成要件が異なっていても、構
     成要件が重なり合う範囲ではその限度で相互利用補充
     しあって特定の犯罪を共同して実現したといえ、共同
     正犯が成立すると考える(部分的犯罪共同説)

  (三) 本問においては、重過失致死罪と殺人罪は自然の死
     期に先だって生命を断絶させる点で構成要件面で共通
     性があるし、また規範的に見て故意は過失を含むとい
     えるので、重なり合いのある重過失致死罪の限度で共
     同正犯が成立する

 3 以上より、乙には殺人罪(199条)と重過失致死罪の共
  同正犯(60条、211条1項)が成立し、両罪は同時犯と
  なる

                        以上
一 借入申込書を作成した行為について

 1 甲が、氏名欄に本名である「甲」と記載した借入申込書を
  作成した点につき私文書偽造罪(159条1項)が成立する
  か

 2(一) まず、借入金申込書は、X社から金員を借り入れる
     ために債務者の身分関係を明らかにするための文書で
     あるから社会生活に交渉を有する文書といえ、「事実
     証明に関する文書」にあたる。そして、甲はかかる文
     書を金員の借入をうける目的で作成しているから「行
     使の目的」もある。

  (二)(1) では、「偽造した」といえるか。甲は本名で
        ある「甲」を記載しているのであるから「偽造
        した」といえないのではないが問題となる
 
     (2) そもそも文書偽造罪の保護法益は文書に対す
        る公共の信頼にある。そして、公共の信頼は作
        成名義の真正さに向けらているから、「偽造」
        とは作成者と名義人の同一性を偽ることをいう
        と考える

     (3) 本問では、甲は本名を記載したのであるから
        作成者と名義人には同一性があり、「偽造した」
        とはいえないとも思われる。しかし、甲は20年
        以上もの長期間にわたって乙という名前で社会生
        活を営んできたのであり、しかも事実上の身分証
        明書としての役割も果たしている運転免許証まで
        取得していることから、文書の名義人は作成者で
        ある「乙こと甲」とは別人の「甲」であるといえ
        る。とすると、本問借入金申込書の作成者と名義
        人には同一性がないから、かかる文書を作成した
        甲は「偽造した」といえる

 3 以上より、甲には私文書偽造罪(159条1項)が成立する

 
二 イメージスキャナーで読みとらせた行為について
 
 1 前述の借入金申込書をイメージスキャナで読みとらせてディ
  スプレイに出力させてYに閲覧させた行為について、偽造私文
  書行使罪(160条1項)が成立する

 2(一) では、免許証の氏名欄に「甲」と記載した紙片をはり
     つけた上、これをも読みとらせてディスプレイに出力さ
     せた行為につき、公文書偽造・同行使罪(155条1項、
     158条1項)が成立するか
 
  (二) 思うに、前述の通り、文書偽造罪の保護法益は文書に
     対する公共の信頼にある。そして、公共の信頼は通常は
     原本に向けられているから、写しは文書偽造罪の客体と
     はならないとも思われる。もっとも、写しであってもこ
     れが原本と同様の社会的機能を有する場合には、これに
     対する信用をも保護する必要があるから文書偽造罪の客
     体となると考える

  (三) 本問においては、イメージスキャナーは媒体を光学的・
     機械的に読みとる機器であり、これがディスプレイに表
     示されれば、これを見た者はあたかも画像と全く同じ原
     本が存在するかのごとくの信頼を抱くといえる。

 3 したがって、甲には公文書偽造罪・同行使罪が成立する

三 キャッシングカードを発行させた点について
 1 画像を確認した係員Yにカードを発行させた点につき、詐欺
  罪(246条1項)が成立するか。

 2 甲は、前述の通り、偽造文書を用いて身分を偽り、欺罔行為
  ありといえる。そして、係員Yはこれにより錯誤に陥っている。
  そして、Yが発行したカードが「財物」といえるかが問題とな
  るも、カードが有れば限度額内であれば何度でも借り入れが可
  能であるから「財物」足りうる。したがって、Yはカードとい
  う財物を処分したといえる。゛

 3 したがって。甲には詐欺罪(246条1項)が成立する。


四 現金支払機から30万円を引き出した点について

 1 では、引き続いてカードを使って現金支払機から30万円を
  引き出した点につき窃盗罪(235条)が成立するか。カード
  の発行をもって詐欺罪として包括して評価すべきかが問題となる。

 2 思うに、カードが発行されたとしても直ちに現金が引き出さ
  れるとは限らないし、また、係員Yはカード発行をもって現金
  支払機内の現金について処分したともいえない。
 
 3 したがって、30万円を引き出した行為について別途窃盗罪
  (235条)が成立する。

五 罪数
  甲には①私文書偽造罪②同行使罪③公文書偽造罪③同行使罪④
 詐欺罪⑤窃盗罪が成立し、①②と③④はそれぞれ牽連犯(54条
 1項後段)となり、これらと⑤、⑥は併合罪となる

                            以上