民訴 | 司法試験 起死回生への道  

司法試験 起死回生への道  

屈辱の論文総合A落ちからどこまではい上がれるかを自己観察し続けるブログです



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一 民事訴訟法は私益を巡る紛争を相対的に解決することを目的
 とする制度であるから、当事者の意思を尊重することが望まし
 い。しかし訴訟手続の進行面において利害の対立する当事者の
 全くの自由に任せれば、逆に手続が混乱・遅延し、上記目的の
 達成は困難となる。そこで、法は訴訟手続の進行については裁
 判所が責任と権限を有するという職権進行主義を採用する。
  もっとも、当事者の意思も可及的に反映されるように一定の
 配慮がなされている。

二 では、職権進行主義において当事者の意思はどのように反映
 されているか、以下、手続の進行段階に沿って述べる

 1 手続の準備段階において
 (一) 準備的口頭弁論(164条)
     訴訟手続を迅速かつ効果的にに進めるためには、前も
    って準備しておくことが必要不可欠である。そこで、裁
    判所は争点及び証拠の整理を行うため必要があると認め
    る場合に準備的口頭弁論を行うことができる
     もっとも、裁判所は準備的口頭弁論を終了するにあた
    って証明事項につき当事者との間で確認しなければなら
    ず、この点において当事者の意思も反映されている(1
    65条1項)

 (二) 弁論準備手続・書面による準備手続
     準備的口頭弁論と同じ趣旨で、裁判所は事件を弁論準
    備手続に付すことができる(168条)また、当事者が
    遠隔地に居住している等の理由がある場合には、書面に
    よる準備手続に付すこともできる(175条)
     もっとも、弁論準備手続・書面による準備手続は公開
    主義か制限される等の不利益があるため、裁判所は当事
    者の意見を聞いた上でこれらの手続に付さなければなら
    ないから、この限度において当事者の意思が反映されて
    いる

 2 口頭弁論段階において
 (一) 期日指定権
     口頭弁論を行うための期日については職権で裁判長が
    指定・変更するものとされている(93条1項)
     もっとも、当事者に不利益な期日指定がなされないよ
    う、申立てをすることも可能であるし(同条1項)最初
    の期日の変更にあたっては当事者の合意がある場合にも
    許されており、この限度においてではあるが当事者の意
    思も反映されている(同条3項)

 (二) 訴訟指揮権(148条)
     円滑・迅速に手続を進行させるために、口頭弁論は裁
    判長が指揮するものとされており、不適切な発言を禁止
    する等の措置を講じることができる。
     もっとも、不適切な訴訟指揮権の行使により当事者の
    裁判を受ける権利が害されてはならない。そこで、裁判
    長等の訴訟指揮に不服のある当事者が異議を述べた場合、
    裁判所は決定でその異議について裁判をしなければなら
    ないとされ、訴訟指揮に関しても当事者の意思が反映さ
    れている

 (三) 適時提出主義(157条)
     攻撃防御方法の提出時期について、当事者の全くの自
    由に委ねれば訴訟手続が遅延し、迅速な紛争解決が困難
    となる。そこで、法は攻撃防御方法は訴訟の進行状況に
    応じて適切な時期に提出しなければならないという適時
    提出主義を採用し、時期に遅れた攻撃防御方法について
    は職権で却下する(158条1項)ものとして、円滑な
    手続の進行を図っている。
     さらに、時期に遅れた攻撃防御方法の提出により不利
    益を受ける相手方当事者についても申立てという形で却
    下を促すことができ、かかる形でも当事者の意思が反映
    されている
  
 3 判決段階において

   裁判所は、当事者の一方または双方が口頭弁論に欠席する
  等、訴訟手続の進行に協力する意思がないと認められ、相当
  と判断した場合には終局判決をすることができる(244条)
   もっとも、当事者の一方が出席もしくは在廷している場合
  には終局判決をする場合には、当該当事者の申出がなければ
  できないとされ(同条但書)、手続進行に協力的な当事者の
  意思が反映されている


                     以上

一 小問1について
 1 (1)について
  (一) 乙の訴えについて、反訴として提起できる以上別
     訴は許されないとする甲の主張は正当か。そもそも
     乙の訴えが、2重起訴禁止(142条)にあたり別
     訴が許されないのかが問題となる。
   
  (二) 2重起訴禁止(142条)とは、すでに係属して
     いる同一事件について訴え提起が禁止されることを
     いう。その趣旨は、同じ訴えを重ねて提起すること
     は訴訟不経済あること、また被告の応訴の煩や矛盾
     判決を回避することにある、そして、二重起訴に該
     当するか否かは①当事者の同一性と②事件の同一性
     を基準に判断される。

  (三) 本小問においては、甲の乙に対する訴えと、乙の
     甲に対する訴えとでは原告被告が入れ替わっただけ
     であり、当事者は同一であるといえる。しかし、先
     行する訴えの訴訟物は絵画の引渡請求権であるのに
     対し、後行する訴えの訴訟物は売買代金債権である
     から事件が同一とはいえないから、乙の訴えは2重
     起訴禁止にはあたらず別訴提起が許される。
      したがって、甲の主張は妥当でない

 2(2)について
  (一) 甲の請求について
   (1) 裁判所はその認定に従い「乙は甲に対し、70
      0万円の支払いを受けるのと引換に絵画を引き渡
      せ」との判決をすることができるか。申立事項と
      異なる判決が許されるのかが問題となる

   (2) 思うに、全部棄却判決を下されるよりは一部で
      も認容判決を受けることが原告にとっては有利で
      ある。そこで、原告の意思に合致し、被告にとっ
      ても不意打ちにならないのであれば申立事項と異
      なる判決、すなわち一部認容判決が許されると考
      える

   (3) 本小問では、原告甲にとっては絵画の引渡請求
      権について棄却判決を受けるよりは、代金を払っ
      てでも認容判決を受けたいと思うのが通常であろ
      うから、引換給付判決を受けることは原告甲の意
      思に合致する。また、被告乙にとっては無条件で
      絵画の引き渡しを命ぜられるよりも代金700万
      円と引換になる点で有利であり、不意打ちともな
      らない。
       したがって、裁判所が七〇〇万円の支払いと引
      換に絵画の給付判決を下すことはできる
  
  (二) 乙の請求について
   (1) では、乙の請求について「甲は乙に対し、絵画
      の引き渡しを受けるのと引換に七〇〇万円を支払
      え」との判決をすることができるか。前述の基準
      に当てはめる。

   (2) まず、原告乙については、一〇〇〇万円の代金
      債権が全部棄却されるよりはその代金額の一部か、
      あるいは目的物の引換給付判決を望むであろうか
      ら合理的意思に合致する。また、被告甲にとって
      も無条件の給付判決ではなく絵画との引換給付判
      決を受けられるのであるから不意打ちともならな
      い。
       したがって、裁判所が絵画の引き渡しと引換に
      七〇〇万円の給付判決を下すことができる。

二 小問2について
 1 甲の乙に対する訴訟において、「乙は~絵画を引き渡せ」
  との判決が確定した後に乙が甲に対し、絵画の売買代金額
  が1000万円であると主張してその支払いを求める訴え
  を提起することができるか。乙の訴えが前訴の既判力(1
  14条1項)に触れるのではないかが問題となる。

 2 既判力とは、確定判決の主文について生じる後訴に対す
  る通用力ないし基準性をいう。そして後訴においてこれと
  矛盾する主張をすることは紛争の蒸し返しになるから許さ
  れない

 3 本小問においては、主文たる「五〇〇万円の支払いを~
  引き渡せ」との部分に既判力が生じる。そして、乙が、絵
  画の売買代金額が1000万円であると主張して支払いを
  求めることは前訴の既判力に抵触することになるから、か
  かる訴えを提起することはできない。

                    以上