現金分配と源泉所得税 | よく分かるSPC(特別目的会社)の会計・税務

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不動産証券化によく使われるSPC(特別目的会社)にまつわる会計・税務を分かりやすく解説しています。

出資した匿名組合で利益が生じた場合、現金での分配を受けていなくても、その生じた利益を自分(又は自社)の利益として認識する必要があります。

これを損益分配と言いますが(損益分配についての詳細はこちら)、認識した利益に対して税金がかかることになります。

このことが法人税基本通達というもので規定されているのですが、現金で受け取っていなくても税金は発生してしまうことに注意が必要です。

加えて、実際に現金を受け取った場合にも、別の税金がかかってくるのです。

それが源泉所得税というものです。



匿名組合から現金の分配を受けた場合には、その支払額に対して20.42%の所得税が源泉徴収されます。

源泉徴収という言葉、会社員であればよく耳にするかと思いますが、給料から引かれる「あれ」です(社会保険じゃないですよ)。

要は、利益に対して一定の税率で税金を計算し、利益の受取時に控除される税金です。

会社員であれば、給与所得という所得に対して課せられることになります。

仮に自分(又は自社)の確定申告時期でなかったとしても、利益に対して20.42%の税金を取られてしまうのです。

しかも、その利益は確定申告時期に改めて税金計算の課税所得に入れないといけないわけです。

何だか、二重取りみたいですね。

でも、安心してください。

先に徴収された源泉所得税については、確定申告で計算された税額から控除することができます。



ちなみに、この徴収された源泉所得税、営業者からすれば分配時に匿名組合員から預かったものということになります。

この預かった源泉所得税については、預かった翌月の10日までに納付する必要があります。

これを忘れて預かりっぱなしにすると、納期限から計算された延滞期間につき、延滞税が課せられることになりますので要注意です。

なお、一定の要件を満たした中小企業であれば、源泉所得税については届出によって半年に一度の納付とすることができる特例がありますが、匿名組合の分配については、例え営業者がその要件を満たしていたとしてもこの特例を使うことができませんので、この点も合わせて注意するようにしてください。



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