フィクションです。
小説としてお読みください。
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”幸せになってはいけないと思ってた”
カルテを開いた瞬間飛び込んできたその文字は、私の中のスイッチをカチリと押した。
・・・
感情に任せて怒り狂う母親。
別人のように、
猫なで声で話しかけてくる母親。
日によって、気分によって、態度が変わる。
同じことをしても、また、何もしてなくても、
時に罵られ
時に無視され
時には、抱きしめられる。
今日はどうだろう。
今はどうだろう。
私はどうしたらいいのだろう。
怯えで心が締め付けられる。
困惑で頭の中が真っ白になる。
私の意識がすべて、母親の機嫌に注がれる…。
・・・
これは私の母親ではない!
何の想像?誰の記憶?
・・・
「内科で栄養管理しろってことらしい。」
同僚の声にはっと我に返る。
心療内科からの紹介状。
添付された検査結果は、飢餓状態を示していた。
”食べると吐く。食べろと言われたくない。1人になりたい。”
「一緒に来ているのは母親?」
同僚は答えず、無言で画面を指し示す。
”母親が怖い。自分が嫌い。”
「診察には1人で入るらしいよ。成人してるからね。」
娘の名前が呼ばれても微動だにせずスマホを触り続けていた母親に、先ほど見えた映像を重ねてしまう。
母親もまた、その母親からの愛に満足することができなかったのかもしれない。
そのまた母親も…
時代もある。
男尊女卑の価値観や、戦後の貧困や、兄弟の多さ。
愛情が行き届かない。
世代に受け継がれた不安の連鎖・・・
断ち切れ!
生きてていいのだと、
愛される価値があるのだと、
幸せになっていいのだと、
自分で納得できるまで、まだ時間が必要かもしれない。
生まれ育った環境で周囲が注ぐ愛情が、
1人の人間に及ぼす影響のなんと大きいことか。
母親と娘。
この関係にしこりを残す人がなんと多いことか。
日本という国独特の、性質?
もしくは時代が残した、負の遺産?
その連鎖を断ち切るための試練なのか?
乗り越えるべく、その人生を選んできたのか?
生きるべきだからこそ生まれたんだよ。
生きてることを喜んで、
幸せになることを楽しんで。
安っぽいありふれた言葉、
だけど、
これは私の本心だ。
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MENTAL HEALTH 1話目はコチラ。
母親の愛ってその後の子供の人生にほんと大きな影響を及ぼすのだなぁ、と、ヒプノで自分や人の過去を紐解くたびに感じます。
全国のお母さんが幸せでありますように。
私が自分の母親のために描いた絵で締めます。
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